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希望世界 まめ日記

第一部<追撃編>
第三章「塊」


第九週「下僕」

2月14日(月) バレンタイン
sakkyがチョコレートをくれた!記念に日記つけちゃお。
「ボレロさん。失敗しても気にしないでね。」だって!ウゥゥゥゥゥ!!
画像もハート型チョコだし。良かった。これで今年は安泰だよー。
ちょっと重いメールだったけど、それだけの価値はあったね。
偽sakky抹殺計画で、ボクは大役をもらったのに失敗しちゃって・・・。
それで嫌われちゃったかと思ってたけど、大丈夫だった。
やっぱハクの方法教えてあげたのがポイント高かったみたい。
カノンやワルキューレに負けてられないよ。
「希望の世界」には「奥田の遺志を継ぐモノ」なんて変なヤツがきてたな。うざッ!
大丈夫だよsakky。ボクが守ってあげるから。何があってもね。
ずぅっと。ボクの愛は変わらないヨ。


2月15日(火) 寒〜
さってと、昨日はチョコもらって浮かれたけど、今はそんな喜んでいられる場合でもないんだよね。
偽sakkyを取り逃がして以来次の作戦がなかなか決まらない。
ラカンパネラとかは家を攻めろとか無茶言うし。sakkyはカゲキなのは嫌いだってのにわかってないね。
やっぱ年期浅い奴等はダメだよ。ボクの様に一年以上追っかけやってないとね。
えんどうまめって名乗ってやれないのが悔しいな。けどsakkyに名付けてもらった「ボレロ」も好き。
意味わかんないけど響きがイイ。さすがsakky素敵なセンスしてる。ホンモノも絶対素敵だ。
ワタベなんてあの女は全然sakkyのイメージじゃない。あんなんが偽sakkyなんて許せない。
あー。ちゃんとヤッとけば良かったー。


2月16日(水) 雪気味
今度ラカンパネラが東京に来る用があるから横浜にも寄るかもとか言ってる。
で、「sakkyも会えたら会おう♪」なんて抜かしてやがる!!!
僕にだってまだ会ってくれないのに許せない。
ラカンパネラもエアもトロイメライも作戦係とかイイながら何もしてないじゃないか。
トロイメライちゃんの「sakky姉様ついてきます。」には萌えるけどね♪
結局神奈川勢の僕らが実行部隊になるしかないんだ。
僕とカノンとワルキューレ。はっきり言って仕事してるの僕たちだけ。
sakky、あんなのに会っちゃダメだよ。心配だからメール送っちゃった。
「sakky、僕には会ってくれないの?」
ホントなんで会ってくれないんだよぅ。


2月17日(木) 晴れ〜
「会ってもイイケド・・みんなと争わない自信、ある?」これがsakkyの返事。
何度も言われる事だけどやっぱ自信ナイ・・・。
少なくともワルキューレよりは僕の方がカッコイイけどsakkyがカノンみたいなキザったらしいの好きだったら
あんな遊び人っぽいヤツにsakkyが騙されちゃいけないからちゃんと目を覚ましてあげないと。
sakkyも僕の事好きなくせに奥手なコだから僕の方からいってあげないとダメなんだよね。
そしたらやっぱカノンだけでもどうにかしなきゃいけないから争うことになるかもしれなくて・・・。
まだ会えないじゃん。
でも今日はそのカノンからメールが来たよ。
「明日緊急集会を決行します。議題はラカンパネラについてです。来られそうですか?」
すぐにオッケーの返事を書いた。カノンもすぐにレスしてくれた。
なんだろう。ラカンパネラがsakkyに会おうとするのは気にくわないからヤッちゃおう♪て話かな。
そうだといいな。違ったら一人でやろ。


2月18日(金) くもり♪
前の「決起会」と同じジョナサンでの集会。
カノンは相変わらず若者作りしてた。サングラスと変な帽子が気にくわないー。
ワルキューレみたいなブサイク少年は眼中ナシ。絶対sakkyの好みじゃない。
でも話の内容は良かった。やっぱりみんなもラカンパネラの事が嫌いだったみたい。
ブサイク君は「あんな何もしてないヤツがsakkyに会おうとするなんて許せないッス。」と粋がってた。
カノンの「じゃ、やっちゃいましょう。」の一言で即決定。
二人の話聞いてると僕も盛り上がってきちゃった。「やろうやろう。」って超やる気になっちゃった。
またカノンが計画を立てる事になった。ラカソが詳しいこと言ってくるまでとりあえずはおあずけ。
解散直後カノンにそっと言ってみた。
「またオイシイ役をお願いね。」
ちょこっと笑って「名誉挽回ですか?ご安心を。イイ役あげますよ。」って答えた。
あいつ僕が偽sakky仕留めずに偽ROMマニアの方をやっちゃった事を気にしてると思ってやがる。
・・・・・・・・・・・・鋭いヤツだなぁ。

守る会掲示板にsakkyの書き込みがあった。
「ラカンパネラさんこっち来るんですか?是非お会いしたいです。詳しい日程決まったら教えて下さいね♪」
やっぱラカソは消さなきゃダメだと思った。


2月19日(土) はれ
ラカソをやるのはどうやるんだろう?
偽sakkyの時みたく「先取り」するのかな?僕がROMマニアって名乗って先に偽sakkyと接触する。
けどあれはもう一人の偽ROMマニアに先越されて失敗しちゃったしなぁ。
まぁいいや。カノンに任せておこっと。
今日もいつもの仕事をしなくちゃね。希望の世界掲示板の浄化。「a」をたーんと打ち込んでっと。
sakky直々のお願いだから断れないさ。偽sakkyとか最近じゃ奥田の遺志を継ぐモノとかに汚されちゃったから。
本当のsakkyが発言する時は浄化はしない。タイミングはsakkyがメールで直接知らせてくれる。
あー。sakkyを守る会が立ち上がった時の事思い出すな・・・。
12月の終わりごろだったかな。サキちゃんが会ってくれないから放置プレイしてた時だ。
サキちゃんも我慢できなくなったみたいで直接メール送ってきてくれた。
「えんどうまめさん、助けて下さい。」とか言っちゃって!!
んーでも助けを求めたのが僕だけじゃなかったのが残念だったな。
守る会メンバーはそれぞれsakkyから名前をもらってる。僕の「ボレロ」はすぐに気に入っちゃった。
みんな力を合わせてsakkyを守る。sakkyも誰か一人を選ばずにみんな平等に愛する。
ウゥゥゥウウそれが何でラカソだけ特別に「会いたい。」なんて言うのさぁあぁぁぁぁあ!!
sakkyがそんな事言うからラカソも調子乗って「俺、sakkyのハートGETしたっぽい♪」なんて腐った発言をぉぉ!!
うん。やっぱヤんなきゃダメだね。


2月20日(日) あめ・・・
荒らしだ。これは荒らし以外何者でもない。
守る会掲示板が「a」で埋め尽くされてる・・・・・・・・。
僕じゃない。僕は汚された「希望の世界」掲示板の浄化しかしてない。
ココは汚れてないのに。誰が。なんで。なんでだよぅ。

何時間も途方に暮れてると、電話がかかってきた。カノンだった。
「見ましたか?」といつも冷静なカノンも焦ってた。
僕も焦ってとにかく僕じゃない事だけは説明しておいた。浄化は僕の役目だけど、守る会には・・・
カノンが「わかってます。」と遮った。
「やったのは、奥田の遺志を継ぐモノとか偽sakkyとか、希望の世界を汚してる奴等です。間違い有りません。」
嘘そんなまさかなんで??あいつらは「sakkyを守る会」のアドレスは知らないはずでしょ??
僕が捲し立てると電話の向こうで深いため息が聞こえてちょっと間があって悔しそうなカノンの声が聞こえた。
「僕らの中で、裏切ったヤツがいるんですよ。アドレスを売ったヤツが。」
そうなの????じゃ誰が???誰が裏切ったの???
「それはまだ、わかりません。けどこれで・・・奴等と本格的に闘わなくてはならなくなりました。
僕は裏切りモノを探すので、ボレロさんは奴等の相手をお願いします。」
もちろんオッケーだよ。お互いガンバローね。
とりあえず僕がやったワケじゃないコトは納得してくれたから良かった。
僕がボレロとして招待された時にはもうカノンもワルキューレもエアもトロイメライちゃんも居た。
こいつらのコト何も知らないからカノンに任せておいた方がイイね。
にしても、誰かが、裏切った。許せない。僕たちを侮辱してる。サキちゃんを侮辱してる。
これは制裁を加えるべきだ。

「a」の中にsakkyの発言を見つけた。「これどうなってるんですか??なんか、怖い・・・。」
大丈夫大丈夫ダイジョブだよサキちゃんんん。僕が守ってあげるからねぇぇぇぇ。
台所から聖剣を持ってきた。サキちゃんに頼まれてタケシをヤった時に使った正義の包丁。
鎧と兜も装着した。レモンクラブの鎧。ズボンに何冊もレモンクラブを差し込んだ。
防災ずきんの兜。小学校の頃から使ってるから僕の気が何年にも渡って込められてる。
ドラクエみたいにおナベのフタも装備した。剣と盾を構えてみる。
おおおお。カッッッコイイィーーー!!ボクボクボクボク、サキちゃんを守る正義のナイトだぁ!!!
さぁ来い。サキちゃんを汚そうとする敵たちよ!
僕が成敗してくれるっっっ!!!



第十週「道化」
2月21日(月) くもりぃ
勇者ボレロの旅が始まった。
パトリシア号に乗って町に繰り出してきた。キシキシいってたから今度油を差しておこう。
忌まわしき横浜まで行ってみた。過去二回も計画が失敗した場所だ。
三木抹殺計画はギリギリになって計画中止になった。カノンから突然待機要請が来た。
ニセsakky抹殺計画はニセROMマニアの登場で失敗した。浄化の途中でさりげなく謝っておいたからいっか。
一通り見回りをしたけど特に新たな情報は無かったな。
守る会掲示板に、とうとう敵が姿を現した。「奥田の遺志を継ぐモノ」が来た。
「よう。お前等sakkyに騙されてるぜ。」
もちろん誰も信じない。けどみんな大慌てしてたな。
トロイメライちゃんは「え?あ、どうやってココ知ったんですか??」と驚いてた。
ワルキューレなんか「ヤバイいんじゃないスか?コレ。どうにかしなきゃマズイッスよ!」ってほざいてる。
そしてsakkyも「なんでそんな嘘付くんですか!アナタ誰なんですか!」と怒ってた。
ボクは「大丈夫だよ、sakky。ボクが守ってあげるから・・・。」と言っておいた。
勇者ボレロ、推参!!


2月22日(火) はれ!
騎士はボクだけでいいのに!!
ラカソまで「僕が守ってあげる」発言してやがる!!!
敵はボクが倒すんだ!邪魔するなよおぉおぉうううう!!!
こいつはことごとくボクとsakkyの愛の邪魔をする。何様のつもりだ。
「奥田を遺志を継ぐモノ」がまた「sakkyは男だ。」と酷い嘘ついてる。
sakkyはイワモトサキちゃんだっつーーの!!!どう見ても女の名前だろぉぉぉぉx!!!
ヤツもハクしてやろうかと思ったけどサキちゃんに「もうハッキングなんて危険な真似はしないでね。」と言われてるから・・・。
サキ。俺はお前の言うことなら何でも聞いてやるさ。
お前も俺が危険な目に会うのは嫌なんだろ?仕方ないヤツめ。
ウフーーーーーーーー!!!!


2月23日(水) あめ気味
ふう。今日はラカソとチャットで熱いバトルを繰り広げてしまった。
もう守る会から希望の世界へは解禁されたから、思う存分やりあった。
「sakkyはボクが守るんだ!彼女を想う気持ちは誰にも負けない!」「俺だって負けないさ!」
「フ。このままじゃラチがアカナイな。どっちがsakkyのナイトの資格があるか、決闘で勝負をつけようじゃないか!」
「望むところだ!」「いくぜ!おりゃぁ!」「カシャンッそんなんじゃ効かないぜ!くらえ!ビュン」「バシ!なかなかやるな!」・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・結局、勝負をつける事はできなかった。
ボクはどうもラカソを勘違いしていたかもしれない。あいつのsakkyに対する想い、本気だ。体で感じ取った。
でもボクだって本気だ。負けるワケにはいかない!!絶対に!!
フフ。もしかしたらあいつ、これから良い好敵手になるかもしれないな。
サキ。ちゃんと見てるんだぞ?これが誇り高き男達の、ホンモノの決闘だ・・・。
くううううう!!!カッコ良すぎ!!!!


2月24日(木) は・れ
僕らの聖戦をヤツが汚しやがった!奥田なんたらめ、許サン!!
「昨日のチャット・・・・。お前等、バカだろ。」だとほざきやがる!!!
この発言はみんな許さなかった。
ワルキューレが「バカとは何ですか!!僕たちのsakkyさんに対する誠意がわからないんですか!!??」
トロイメライちゃんが「sakky姉様を守るのは私達の使命です。ボレロさんとラカンパネラさんの闘いもその現れで・・。」
そしてあのラカソもまでも「俺達の誇り高い決闘を汚すなんて許せネェ!!」と怒ってる。
sakkyだって「二人とも・・・私の為に争わないで。けど・・・・・・・・嬉しいです。」
そうそうそうそうそれでこそ闘った甲斐があるってモンだよねぇぇぇぇ!!!
みんなもちゃんと分かってる!!僕たちは、真剣なんだ!!
奥田なんて野郎はダメだね。バカって言うヤツがバカなんだよ。
ま、しょせんバカには誇り高き闘いなんて到底理解できないだろうけどね☆
カワイソウな奴だ・・・・。
ボクも止めにカキコしておいた。
「みんな!バカの相手する事ないサ!安心しな。sakkyだけじゃなく、みんなもボクが守ってアゲル!
ボクはもう最強装備だからね。どんな敵が来てもへっちゃらサ!!
聖剣・エクスカリバーの攻撃力は最高値!既に一人立証済みサ!
防災頭巾の兜はボクの魂が込もってる!かぶるだけで体力回復!
レモンクラブの鎧なんか防御力レベル特A!!!十冊は軽く仕込んであるヨ!!
そしてそして、盾は「お鍋のフタ」。ドラクエをナメちゃダメだねー。コレがまた結構使えるゾ!!
奥田、いつでも俺が相手してやるぜ!!返り討ちにしてくれる!!!
勇者ボレロに、死角ナシ!!!!!」
あーもうなんてイイセリフなんだろ。自分で書いてて震えちゃったよ。
参ったな・・・。これでまたサキが惚れ直しちまうゼ。
てへっ☆


2月25日(金) くもリ
始めはワルキューレだった。
「レモンクラブってエロ本ですよね?それに防災頭巾って・・・。やべ。俺、なんか引いちゃいました。
いくらなんでもそりゃ・・・ねぇ。ラカンパネラさんもそんな格好してるんですか?」
すぐ次にトロイメライちゃん。
「あの・・・ボレロさん。それ本気で言ってるんですか?だとしたらちょっと・・・・怖いです・・・・。」
そして・・・サキ。
「ヤダ・・・ちょっとこの人達・・・・気持ち悪い・・・。」
あのラカソはあっけなく裏切った。
「おいおい待ってくれよ。俺を一緒にしないでくれって。そこまで変態じゃない!!!
エロ本身にまとうなんて俺にはできないよ。ってゆーかさ。ボレロお前、ちょっとおかしいよ。」
それから幾つか似た内容のカキコが続いた。
その中に紛れて「奥田の遺志を継ぐモノ」の発言があった。
「死角ナシか。資格ナシの間違いだろ?」
みんな大笑いしてた。
敵ながらあっぱれとか。ちょっとアレは勘違いしてるよねとか。だからオタはダメだとか・・・・

鏡に向かって自分の格好を確認してみた。
聖剣で盾をカンカン叩いてみた。やっぱりお鍋のフタは堅くて強い。
完全装備。ポーズを取ってみた。カッコイイ。カッコイイ、けど
急に全部嫌になった。
防災頭巾を放り投げてレモンクラブもドサドサと落とした。
本がたくさん入るようにわざわざ大きめのズボンを買ってある。
レモンクラブを全部抜くとブカブカになって超緩い使えないズボンになっちゃった。
そう思うとなんでか知らないけど涙が出てきた。
ドバドバ出てきて口に入ってしょっぱかったりした。
防災頭巾で拭ってもお鍋のフタを構えても聖剣をかざしても泣きやんでくれない。
・・・・オナカイタイ


2月26日(土) くもりん
どうも泣き疲れてそのまま寝ちゃってたっぽい。
ケータイちゃんが鳴ってるのにしばらく気付かなかった。
ハっと目が覚めて急いで取ったらカノンだった。
頭がボーとしてて何言ってるのか最初理解できなかったけど
耳が慣れてきたら何を言ってるのか分かって急に目が覚めた。
「裏切りモノが分かりましたよ!」
裏切りモノが???ホント??誰??誰??誰???
カノンはすぐに答えてくれた。
「あのラカンパネラですよ!!」
ラカソ・・・・昨日あいつに裏切られてみんなにもなんか言われちゃって僕は泣いちゃって・・・
つまり。え。どうゆうこと?ラカソには昨日裏切られたけど裏切りモノの話は前からあって
頭の中で色んなコトがくるくる回ってうまく整理しようとしてたらカノンの声が耳に入ってきた。
「大丈夫。落ち着いて、私の話を聞いて下さい。」
この言葉で僕は妙に落ち着いた。なんでこんな落ち着くんだろ。
「まず言っておかなきゃいけないコトがあります。」
うんうんと思わず頷いちゃった。
「『奥田の遺志を継ぐモノ』・・・アレは、ラカンパネラの自作自演です。」
ええええええええ!!!???何ソレつまり、え?だからどうゆう・・え?え?え?
「驚くのも無理ありませんね。僕も驚いてるんですから・・・・。何がどうなってるのか説明しますよ。」
電話を持つ手にも力がこもったよ。
「ラカンパネラはsakkyに会いたがってました。僕らを出し抜いて、ね。
その為には僕らよりもsakkyに好印象を与えておく必要があります。
そこで考えついたのが、ナイトになるコトです。敵からsakkyを守る。
方法は簡単ですね。自分で敵を演じ、自分がそれを倒す。それだけでsakkyで喜ばれる・・・。
しかしそこで、思わぬ障害がありました。ボレロさん。アナタですよ。」
ボク??????なんで????いきなりボクの名前が出てきてびっくりした。
「そうです。ナイトの役をアナタが取ってしまったんです。」
だから慌てて計画を変更したんでしょう。とにかくアナタをナイトにさせない事が先決になった。
昨日の掲示板を思い出して下さい。」
言われて思い出してまた涙が出てきた。
ボク・・・・ボク・・・・ちょっと泣き出したらカノンが慰めてくれた。
「大丈夫。アナタは悪くありません。みんなラカンパネラに騙されてるだけですよ。」
そうなの????ボク悪くないの??聞き返したらまたすぐに答えてくれた。
「ええ。絶対アナタは悪くありません。安心していいですよ。
悪いのはラカンパネラ。あいつです。あいつがみんなを煽ってアナタをのけ者にしようとしてるんです。
ラカンパネラこそ、消すべき敵なんです。」
そうだったのか・・・・。みんなあいつに騙されてただけだったのか・・・・。
安心すると同時に急に怒りが込み上げてきた。
じゃ何だ?ボクはラカソのせいでみんなにバカにされたのか?
奴の自作自演に付き合わされたあげくのけ者されたボクは・・踊らされてってコト!?
ムカツク。これはマジでムカツク。許せにゃい。もう怒った。マジ怒った。キレた。
最初から気にくわなかったんだよアイツ。ヤルしかナイ。俺のサキを奪おうなんて1000年はええんだよ!!!
カノンはさらに面白い情報を仕入れてた。
「ラカンパネラも許せませんが・・・・実はあいつに、仲間もいたんですよ。」
仲間???なんだアイツ生意気にも仲間なんざ連れてたのか??
「仲間って言うより・・・どうもお互い出し抜こうとしてたらしいんですけどね。
エア。最近あいつ書き込んでませんよね?その理由、教えてあげましょうか?」
話を聞いてボクはひっくり返りそうになった。
なんだなんだ。まさかそんな風に繋がってたなんて・・・・
エアとラカソの情報も教えてもらっちゃった。カノンも情報収集はまかせてくれって言ってた。
よし。もう迷うことない。ボレロ様の怒らすと怖いコトを思い知らせてやらなきゃな。
サキ。安心しろ。お前の心も必ず取り戻してやるからな!
ъ( ゚ー^)


2月27日(日) く・も・り
エア。お前もまた手柄を横取りしようとしたんだな・・・。
昨日カノンに教えてもらった病院に行った。エアに今一度制裁を加える為に。
以前行った病院と違って普通の病院だった。そだよね。外科だし。
勝手に入ってっちゃったりしてマズかったかもしれないけど平気だよね。日曜だし。
言われた通りの病室に川口君の名前があった。
部屋の中はカーテンに仕切られてた。入ってすぐのカーテン空けるとベッドに寝てる人がいた。
違う〜。すぐ閉めて次のカーテン開けた。ガキが寝ててオバチャンが付き添ってた。
目があったけど無視してすぐにカーテン閉めた。さて次。
カーテン開けた。ビンゴ!!足にギブス。間違いナイね!
顔は良く覚えてなかったけど言われてみれば確かにこいつだ。この足、ボクが突き落としたからだしね。
生意気にも本を読んでた。よく見るとピカピカの教科書だった。
何コイツ、勉強してんの!!???びっくりしたさ。
エアこと川口正義君。カノンの情報通り、足の骨折って入院中。
カーテン閉めてボクがニコニコしながら立ってるとキョトンとした目で見てきた。
「あ・・・・何でしょう・・・・。」だって!!ウフーー!こいつ何も分かってねぇよ!!
でもそーなんだよねー。コイツはボクがボレロだってわかんないんだよねー。
突き落とした時も後ろからだったしー。ま、こいつがボクの手柄横取りしようとしたのが悪いんだけどー。
「エア。『何でしょう』じゃナイだろ?」ってキメてやった。
はぁ?って顔してた。おやおや。トボけようったって無駄だヨン
「お兄さんに言っておいて。ボレロが来たぞって。」
まったく。こいつら兄弟そろって抜け駆け好きなんだから。困っちゃうよなー。
兄のラカンパネラ。弟のエア。バカ兄弟め。お前らことごとくボクの邪魔をする。
カノンには超感謝してるよ。こうして奴等の正体を突き止めてくれたんだから。
最初から知ってたらあの時もっと思いっきり叩いてたんだけどな☆
けど、やっぱりボクの判断は間違ってなかった。偽ROMマニア、エアを叩いたんだから!
さて。じゃ、制裁加えちゃおっかな。
まだトボけてるエアの足を掴んだ。ギブスのついてない方を。
え?って声出してた。あー。声までトボけてるよー。
次の瞬間、何とも言えない嗚咽が聞こえてきてた。
ボクの体重全部乗っけて、足を曲がっちゃイケナイ方向に曲げちゃったから♪
顔は必死に叫ぼうとしてるんだけど、声が出てきてない。
そうそう。骨折った時って呼吸困難になるんだよねー。
安心してたら手が伸びた。ふと見ると、ナースコールのボタンが・・・。
アブナーーイ!!必死になって腕を掴んだ。エアも泣き顔のまま必死で抵抗した。
ヤルしかない!

勇者ボレロの攻撃!ボレロは正券突きを放った!バシュッッ!!
痛恨の一撃!ドンッッッ!!エアに100のダメージ!エアは力尽きた・・・・。

ふー。こんなコトもあろうとワザをマスターしておいて良かったゼ。
毎晩布団向かって修行した甲斐があった。
エアもやっつけたコトだし長居は無用!ちゃっちゃとオサラバナリー。

けどやっぱ一番許せないのはあいつの兄、ラカソだね。
ボクはサキに「自作自演はもうしないでね。」って言われて素直に守ってたのに
あいつあっけなく破りやがった。約束破っちゃダメ、絶対!
悪は、滅ぼさねば・・・



第十一週「対決」
2月28日(月) \はれ/
ボレロは忍者に転職した。
くさりレモンククラブかたびらを装備した。
防災頭巾に気合いを込めると忍者頭巾に変化した。
聖剣を天にかざした。蛍光灯から聖なる光が放たれた。
光を浴びたエクスカリバーは、妖刀マサムネに変身した。
腰の後ろに隠し盾を装備。何処から見ても完全な忍者になった。
ラカソ抹殺の任務遂行の為に・・・。ボレロ、いざ参る!
ニンニン


2月29日(火) うるうどし〜
ボレロは忍び足を使った!
カノンの情報によりラカソの居場所は割れている(カノン情報サンキュ!)
もちろん隠密行動は夜。真っ暗な闇の中、忍者ボレロは音も立てずに疾走した。
指令を復唱:ラカソこと川口豊の暗殺
今日は作戦の為の密偵。ヤツの家を確認する。
・・・住所通りの場所に川口家。結構いいマンションに住んでやがる。
本日の任務は終了!速やかに撤収。
次回はヤツの顔を確認せねばでゴザル。

守る会掲示板にも希望の世界掲示板にもラカソの書き込みは無かった。
代わりに奥田なんたらが「殺す」と一言だけ書いていた。
ウプ。弟をやっつけられて怒ってるのカナー?
ヤツの言葉にみんな怖がってる。よしよし。もう少し待ってくれな。ヤツは必ず俺が仕留める。
ターゲット、ロック・オン!


3月1日(水) はれっぽい
困った。川口家付近をいくら張ってても、奴の顔がわからない。
一日中張ってたけどラカソらしき人間は見つからなかった。見かけたのは若いカップルくらい。
どうしようー。これじゃ任務遂行できないじゃないか!
くそう。ヘタに家族と住んでると(しかもマンション!)ターゲットの特定がムズカシイ。
忍者の知恵を駆使して考えるんだ、ボレロ!
チ チ チ チーン
よしオッケー!いい方法思いついたゾ!
困った時のカノン頼み!メールで「ラカソの顔がわからない。調べて欲しい。」と送っといた。
フフフ。仲間を駆使するなんて、ボク頭イイな。
カノン。お前はボクの操り人形に過ぎない。しかし悪く思うなよ。
これもすべて、サキの為なんだ。ボクに任された重要な任務。よもや知らないとは言うまいな?
まかせとけって⌒☆


3月2日(木) くもりー
とりあえず隠密行動は続けてる。
けどラカソらしき人物はまだ見かけない。奴はちゃんと家に帰ってるのか?
夜も野球青年が素振りしてたくらいで特に何も無かった。
これじゃ任務遂行できないよ〜。いっそのこと火遁の術でも使おうかなぁ。
けど確かちょっと前にどっかで放火があったとかで騒いでたっけ。
犯人捕まったって聞かないな。
コワイコワイ(>_<)
警戒されてたらヤだしやめとこ。忍者の家業は暗殺だしね☆

カノンからはまだメールの返事が来ない。早くしろよ!
お前がちゃんとラカソの画像送ってくれないから任務が遅れてるんだぞぉ!
妖刀マサムネも血を吸いたがっててウズウズしてる。こいつを怒らせると怖いゼ?
なんかカキコも減ってるしー。カノンのせいだよカノンのせい。
ぷんぷん。


3月3日(金) ひなまつりっ
マンションの前で張ってると、夜また野球青年が素振りをし始めた。
爽やかだねー。と思って見てるとなんかモゾモゾしてる。
小石を拾ってたらしい。トスしてバットで打ってた。カン、って軽い音が響いてた。
おおー。良く飛ぶねぇ。感心してしばらく見てた。暇だったし。
何回か打った後、また小石を拾ってた。トスバッティングが再開した。
足の位置とかバットの角度とかを丹念に確かめてる。青春を謳歌する青年の姿に少し感動した。
カン、と軽い音。ガサっとボクの近くで音が聞こえた。ハハハ。見当違いの方向に飛んでら。
また打った。今度はボクの足をかすめてった。危ないゾォ。コントロール悪くなってきてるゾ?
カン。ガシ。ボクの腕に当たった。超イタイ!
てめ、ドコ打ってんだ!危ないじゃねぇか!心の中で叫んだ。
青年は目を細めてボクの方を見てる。小石をトス。バットを引いてぇ。カン!打った!ゴス。当たった!
ボクの手に!
指先に当たると強烈にイタイ。文句を言おうと思った矢先、また小石が飛んできた。
次々に飛んできてはボクに当たる。青年は無表情のままバッティングを続けてる。
っていうかボクを狙ってるジャン!明かにボクを見ながら打ってたぞ!
うわコイツ最低!てめぇ俺様を怒らせたらどうなるか思い知らせてやんよ!
怒りの電波を送ってすぐに帰った。コワイコワイ。変な人に目ぇつけられるのは嫌。
あー酷い目にあった。

家でメールチェック。ゼロ!
カノンちゃんどうしたよ。いつまで俺を待たせる気だよ。早くsakkyを救いたくねぇのか?
けど肝心のsakkyのカキコも今日は無かった。掲示板は昨日と同じ状態。
みんなラカソにビビってカキコしなくなっちゃったのカナ?
川口の画像早く送れっつの!どーせ腐ったデブなんだろ?
てゆーか絶対そうだよなぁ。あんな性格腐ったヤツは油ギッシュに違いない。
カノンー
はーやーくー


3月4日(土) ボレロ英雄記
本当は今日は行きたくなかった。
けど何度もメールチェックしてもカノンから画像は送られてきてない。
仕方ないから地道に隠密行動を続けることにした。
昼間はずっとメールチェックしてたから行くのは夜になった。
流星号にまたがり、ササッと迅速な移動。
一時間ばかりかけて到着!いい汗かいたゼ。
マンションの玄関前へ。ん?いつもの場所に誰かいるぞ?
近づいてみると、例の野球青年だった。けど素振りはしてない。
バットで肩をトーントーンと叩いてる。
闇の中に金属バットがチラチラ光るのがちょっと不気味だった。
変なヤツ。どうしようか。引き返そうかな?
そう考えてると、目が合った。

突然、ヤツは無表情のままこっちに走ってきた。
ん?ん?何でこっち来るの?考えてる間にもどんどん近づいてくる。
バットを振りかぶった。
ドン、という音と同時にお腹に衝撃が走った。
ナナメから振り下ろすカタチで、バットがお腹に当たってる。
僕がウッと声を漏らすと、ヤツは始めて表情を変えた。ニヤリと笑ってる・・・・。
「弟な、アバラ何本かイっちまったてよ。内臓にも影響出たらしい。」
始めて声を聞いた。僕が何か言おうとすると、バットが動くのが見えた。背中に強い衝撃。
膝がガクン、となって四つん這い状態になった。
「中学浪人決定だとさ。」
また背中に衝撃。ボク、バットで殴られてる。何回も何回も殴られた。
「この豚!」ヤツが叫んだ。
「何がsakkyを守る会だよ。ボレロ?笑わせんじゃねぇ!」
何回目かの衝撃で、ボクは思わず声を出してしまった。
カワグチユタカ・・・・・・
「ほう。どうやって調べたんか知らねぇがよく分かったな。俺の本名。」
なんでボクがボレロだって分かった・・・・
ラカソはバットでボクの頭をコツンと突っついた。そして「防災頭巾。」と一言だけ言い放った。
ボクは頭を抱えて縮こまった。体への衝撃が再び始まった。断続的に続いてる。
ああ、意識が遠のいていく。ヤツが何言ってるのか良く聞こえない。何か叫んでるけど・・・
風見はドコだだって?何でカイザー君がいきなり・・・・・ていうかボクヤバイじゃん・・・
ラカソ・・・不覚だった・・・・こんな顔だなんて聞いてないよ・・・・
なんだよこの強さは・・・ああ・・・ボクこのまま死んじゃうのカナ・・・意識が・・・
痛い・・・・・体が・・・・痛い・・・・・イタイ・・・・・・イタイ・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・イ・・・・・・・・・・・・・・タ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
イ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・???
あれ??全然痛くないぞ???????
確かに体に衝撃が走る。けど、それだけ。別に痛みは感じない。
ん?ん?これは?これは・・・・・・・・・これは・・・・・・・
これはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!
防御力レベル特A・レモンクラブの鎧の効果ではないかぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
むぅぅぅぅぅぅさすがさすがさすがぁぁぁぁ!!なんか力が沸いてきたゾォォォォォ!!
ボレロ・・・・・ふっかぁぁーーーーーーつ!!!!

シュバッ!
ボレロは立ち上がった!

その拍子にレモンクラブが二、三冊落ちた。そのくらいどうってこと無いサ!
ボク様の復活にラカソは驚いてた。ヤツは構わずバットを振りかぶった。
フッフッフ。甘ぁぁあぁぁい!お前の行動なんか予測済みさ!!

ラカンパネラの攻撃!
ボレロは腰からオナベのフタを取り出した!頭の前で盾を構える!
ガキィイイィイイィィイィィィィンッッッ!!!
ミス!ダメージを受けない!

腕に軽い衝撃がきたけど何てことない。うむ、むしろ心地よい衝撃だ。
ラカソの顔色が変わった。下に落ちたレモンクラブとオナベのフタを交互に眺める。
「お前、まさか本当にそこまで・・・・・。」
ウフーーーー!!オナベのフタをバカにしてたのは誰だっけーー???
クソ!と、やけになったラカソが今一度襲いかかってきた。

ラカンパネラの攻撃!ラカンパネラはバットを振り下ろした!
ミス!ボレロはひらり身をかわした!
ボレロの攻撃!ボレロは妖刀マサムネを取り出した
妖しい光がほとばしる!忍者の魂が覚醒した!!
秘技・妖刀乱舞!!!!!!!!
ズバズバズバッ!
ラカンパネラに70のダメージ!!!

だから言ったろ?こいつを怒らせると怖いって・・・。
妖刀マサムネは血を吸って御機嫌なようだ。ん?まだ吸い足りないって?
ラカソはうまくよけて腕を切っただけだった。パックリいっちゃってるけどネ☆
さぁぁて二回連続攻撃しちゃうぞーーー?
マサムネを構えると、腕を押さえたラカソと目が合った。
手から血が溢れ出てる。けどヤツは、傷の部分を見て痛々しくなるほど強く握っていた。
ガラガラ、とバットを引きずって、血の付いた手で再びバットを構えなおす。
腕の傷の部分を口に持っていった。何をするかと思ったら・・・・
ペロっと舐めた。目、笑ってる・・・・。
おやマサムネ君。もう血は十分だから帰ろうって?
仕方ない。キミがそう言うなら今日の所はこれで勘弁してやろう。
早速流星号を持ってきてまたがった。アディオス!敗者君。今度ヤルときゃもっとレベルアップしてから来いよ?
逃がさねぇ。背後で誰かなんかそう言ったような気がしたけど聞こえない聞こえない。
超特急で帰宅した。

フウ。今日の自分の闘いっぷりを思い返すとホレボレする。
家の近くで原チャが止まる音が聞こえて思わず外に出て確認したけどラカソはいなかった。
で、そうそう。ボクの今日の強さと言ったらホレボレする。
最強装備・・・・強すぎる・・・・・
ボク、無敵?敵なし?最強?
無敵無敵無敵無敵無敵ィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!!!!
今日はイイ夢見れそうだゼ。


3月5日(日) あぅ・・
ラカソ。結局止めは差せなかった。
追撃するべきか?フフ。手負いの鼠ほど何をするかわからない。
君子危うきに近寄らずってヤツだね。ボクはそんな無謀なコトはしない。
鎧にも改良を加えてもっと強くしておいた。20%増冊中。

マサムネ片手に近所を警備。ラカソはいないね?いないね?
昨日の「逃がさねぇ。」って声が蘇ってくる。コワイコワイコワイコワイコワイコワイ!!!
流星号の速さに付いてこれるとは思えないけど一応ね。
ボクは用心深い方だから。うん。ね。残心ってヤツよ残心。
近所ぐるっと一回りしたけどラカソはいなくてひと安心。
良かったー。ホントに追ってこられたらコワイコワイ。
フン。やっぱ追ってこられるワケねぇんだよ!流星号よか早い足を持ってるヤツはいないゼ?
真っ暗な道をテクテク歩いてると、向こうパッと何かが光った。ブルルンとエンジンのかかる音。
まさか・・・ラカソ!?光と音が凄い勢いで近づいてくる!
・・・・そのまま横を通り抜けて行った。
んだよビビらせんなよ!ラカソかと思っちまったじゃねぇかよ!!
「おい。」と後ろから声が聞こえた。振り向いてみた。
ラカソだった。
左腕にグルグルと包帯が巻き付いたままその手でグリップを握り、右手にはバットを持って、原チャにまたがって・・・・・
ヤツの後ろに乗ってるのは、誰??暗くて顔がよく見えない。
Uターンする格好でこっちを見てる。ブルン、と音がしたかと思ったら、もうバットが目の前に来てた。
一瞬のうちに装備のコトを考えた。大丈夫。強襲されてもこのパワーアップした鎧さえあれば・・・!!
コン、と軽い音がボクの頭に響いた。
その場に倒れ込んだ。
目の前がグルグル回って何がなんだかわからない。

なんか声が聞こえてきた。意外と簡単に見つかったな。そうね。で、どうする?まずはこの人が知ってる・・
一人はラカソ。もう一人は・・・・女の声だぁ。後ろに乗ってたの女の子だったんだ。
ボクは動ける分だけ動いた。二人の会話に割って入って土下座してた。
「ごめんなさい。ラカンパネラ様。ごめんなさい。ボクはまだ死にたくないです。ごめんなさい。」
このままでは殺されると思った。だから必死になった。
二人は顔を見合わせてた。なにやらごにょごにょ話してる。
ラカソが口を開いた。
「お前、俺があの『ラカンパネラ』ってやつだと思ってたのか?」
虚ろな目のままボクはラカソを見上げた。え?てゆーかラカソなんでしょ??
ラカソが笑ってた。「そう来たか。」なんて言ってる。
女の人は考え込んで「じゃあ他のメンバーなんてのも、いないかも・・・。」と呟いてる。
そんなコト、どうでもいいから、ボクを、解放シテクダサイ。お願いシマス。
ラカソがニヤニヤ笑ってる。「ヤダね。お前には弟の恨みもあるしな。」
女の人が「ちょっと川口君・・・。」と何やら止めようとしてる気配。
ガンバレ女の人。ボクは手足が痺れてて動けないんだ。
「聞きたいコトは山ほどあるんだがな。とりあえず弟の敵を討っとかねぇと気が済まねぇんだよ。」
コワイことを言う。ボクが何をしたと言うんだ。エアは悪いヤツだからやっつけただけだ。
もう二人とも原チャから降りてる。ラカソはバットでコンコン、と地面を叩いた。
「また今度でいいじゃない。」と女の人。そうだ。もっと頑張ってこいつを止めてよ。
「止めるなって渡部。今がイイんだよ今が。」
渡部・・・?あ・・・・この女の人・・・・・・・偽sakkyだ・・・・・・・・
「そう。じゃぁもう勝手にしたら?」・・・・やっぱ止めてくれなかった。
「そうさせてもらう。」とラカソがニヤニヤしながら言った。こいつなんでそんなにニヤニヤしてるんだ?
もしかして・・・・・・楽しんでる?
イチローみたく袖を触ったりスタンスを確かめたりしてバットを揺らしてる。
ザッザッと足場を固める音が。
「安心しろ。死なない程度にやるのは慣れてる。」
一呼吸置いた後、耳元でビュン、という音が鳴った。
次の瞬間にはスコーン、と心地よい音が脳に響いてきた。

ぴぎゃあ

ボクは叫んでた。
目の前が真っ暗になってた。遠くで「やべぇ。」とか言ってるのが聞こえたような聞こえなかったような。
そのまま意識は飛んでった。

目が覚めた時、真っ暗なまま周りに人はいなかった。
あいつら、ボクが叫んだから逃げちゃったのかな。けど誰も助けにこなかった。
ボク、ほったらかしにされてたっぽい・・・。
グラグラ揺れながら家に帰った。
守る会へ繋いだ。今日もカキコはなし。メールチェック。ゼロ。
ケータイちゃんを取り出した。カノン・・・こうなったら直接・・・・
あ、けどボクあいつの番号しらないや。
着信履歴を見てみた。非通知設定ばっか。
連絡取れない。
助けてよぅカノン。ラカソが襲ってくるよぅ。偽sakkyまであっちにいるよう。
ボクヒトリじゃ寂しいよぅ。サキも・・・・・・ドコ行っちゃったのさぁ・・・・・・
グスン。



第十二週「集結」
3月6日(月) くもり。
外に出たくない。出るのがコワイ。
ラカソにはまだウチの場所まではバレてないよね?けど、ここら辺に住んでるってコトは知ってる!
このアパートが割れたらボクはもうオシマイだ。コロサレル。
今度こそ本当に殺される・・・・・
ボクがこんな状況だと言うのに、守る会の人達はボクを助けてくれない!
なんだよみんな。連絡も取れないなんて!
掲示板で助けを求めようと思った。さっそく繋いでみた。
ボクは画面の前でひっくり返った。
「sakkyを守る会」が・・・・無い!
試しにバイオちゃんの方からモバイル接続。それでもダメだった。
鯖が混んでるのかと思って何回も何回もリロードした。
・・・ダメ。掲示板レンタル元ごとダメなのかと思って言ってみると、そこはちゃんと大丈夫だった。
守る会だけ、消えた・・・・・。
「希望の世界」の方の掲示板では奥田が「ボレロ撃墜せり。さらに追撃の予定。」とコワイこと書いてる。
sakkyのコメントは無い。他の人のカキコも無い。
ナイナイナイ。何もナイ。
ナイー。


3月7日(火) は  れ
見捨てられたのはボクだけじゃなかった!
ケータイちゃんに電話があった。非通知設定だったからカノンかと思ってすぐに取った。
けど聞こえてきた声はカノンじゃなかった。もっと汚らしい声。
ワルキューレだった。
「ボレロさんスか?ワルキューレですけど。」と聞き苦しい声が。
「sakkyを守る会入れます?なんか消えてるっぽくないスか?」
ボクは大喜びした。やっぱボクだけじゃなかったんだ!
でしょ?でしょ?でしょ?ボクもなんだよ〜。なんかおかしいよね!
「そっちもそうでした?良かったー。俺だけ見捨てられてたらどうしようかと思ってましたよ。」
うんうんうんうんわかるわかるよその気持ち。
「sakkyさんはおろかカノンさんやトロイメライさん、ラカンパネラさんまで連絡つかなくって・・・・・。」
ラカソ!そうか。このガキはラカソの正体とか知らないんだ!
ボクは説明してやった。ラカソが裏切り者でそのおかげでボクは酷い目にあって・・・・
ブサイク君は「そうだったんですか・・・・。」って驚いてた。
今更知っても遅いんだよバーカ!
けど、なんだかんだでこれからどうするのかとかの話は全然進まなかった。
残ったボクら二人でどうしろと言うのだろう?
ワルキューレはまた相談しましょうね、と言って電話を切った。
はぁ。にしてもよりによって何故あのブサイク君と二人きりにならなくちゃいけないんだよぅ。
sakkyと二人きりになりたかったのに。それがダメならせめてトロイメライちゃん・・・・・・
みんな・・・何やってるんだよぅ・・・


3月8日(水) はれはれ
二人だけじゃなかったよぉぉぉぉぉぉ!!
てゆーか、トロイメライちゃんの声始めて聞いた!!
ケータイ最高!持ってて良かった〜
「こんにちわ。トロイメライです。」ってイキナリかけてくるんだモン!
ボクひっくり返っちゃったよ〜なんだなんだぁ?TELしてくるなんてボクに気があるのかぁ?
「守る会消えちゃってびっくりしてますー。そっちはどうですか?」だって!
ボクも大変だよー!なんか二人で大変なコトになっちゃってるねー!
ワルキューレなんてのもいたけどあいつは無視♪
やっぱパートナーはブサイク君よか萌えちゃんでしょ。
「やっぱりそっちもですか・・・。どうもありがとうございました。」
これでプッチリ。
会話終了!ちょっとそっけない辺りがまた素敵!
無愛想な言葉の節から、チラと見えるわずかな好意。
男心くすぐるねぇ。sakkyとはまた別タイプで萌えるかも〜
ボレロとトロイメライ。突然消えたsakkyを守る会。
全ては謎に包まれたまま。しかし残された二人は共に生きる決意を・・・・。
んー。いいかもしんない。
けどそれをラカソのバカが邪魔をする。ヤツさえ居なけりゃボクは自由に外に出れて
すぐにでもトロイメライちゃんの元に駆けつけるのに。
ラカソが憎い・・・・
でもコワイ


3月9日(木) コワイ
昨日は夢のような気分だったのに。
今日は・・・・イヤーな気分。それもすんごく。
ラカソが懲りずに奥田なんたらとかいう名前で掲示板にコワイことを書いてた。
「遠藤家をしらみつぶしに探す事にした。覚悟して待ってな。」
そしてご丁寧に「本日の探索記録」とかいってどこら辺調べたか報告書まで書いてやがる。
前ラカソに襲われた場所らへん一帯だった。
って、結構近いジャン!!!!
表に出てすぐに表札をしまった。これなら見つからない・・・・?
待てよ。となるとボクはずっと家にいなきゃいけなくなる?
ご飯を買いに行くことも漫画を買いに行くこともお散歩することもできなくなる!?
ラカソが張ってたら、見つかっちゃうYO!!
やばいよぅこのアパートまで来られたらもう逃げられないよぅ。
今のウチにお引っ越しすべきなのかもしれないけどその作業見られたらオシマイだしいやまてよ
今からお金もってどっかいっちゃおうかイイ考えかもでもあのカキコは実は嘘でもうここら辺で張ってて
ボクが慌てて飛び出すのを待ってて罠にハマって捕まっちゃって・・・・・・・・
どうしようどうしようどうしようどうしようどうしよう何もできないじゃないか
今すぐにでもそこの窓を割って家に入ってくるかもしれないあのバットでドアをたたき壊してくるかもしれない
やめてよボロアパートなんだからボクのネット収入でも弁償しきれないかもしれないしけど来たら止められないし
そうだ迎え撃たなきゃ装備だ装備だ兜に盾に鎧に剣に

あああーーー!!!でも一度破られてるんだったーーーーーー!!!

ダメじゃんダメじゃんまたやられちゃうだけじゃんどうしようどうしようどうしよう
sakky助けてカノン助けてトロイメライちゃん助けてこの際ワルキューレでもイイから助けて
ラカソが来るよぅバットでボクを叩くよぅ殺されるよぅコワイコワイコワイ
コワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコ
ワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワ
イコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイ
コワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコ
ワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワ
イコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイ
コワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワ
イコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコ
ワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワ
イコワイコワイコワイコワイコワイ
コワイコワイコワイ
コワイコw


3月10日(金) da-chu-ra
部屋を真っ暗にして布団にくるまってプルプル震えてもう夜になった。
一日中震えてたから体がだるい。ラカソ、来るな。ラカソ、来るな。ラカソ、来るな。ずっと呟いてた。
ケータイが鳴った。ラカソかと思ってひぃと悲鳴をあげた。
ずっと鳴ってて怖かった。来ないで来ないで来ないで来ないで来ないで
けどふと思った。ラカソはボクのケータイ番号知らないんじゃ?
ちろっとケータイちゃんに目をやった。非通知設定。
トロイメライちゃん!!??
あわてて通話ボタン。「もしもし。やっと繋がった・・・。」・・・・男の声。しかも聞き苦しいアノ声。
ワルキューレだった。最初はがっかりした気分だったけそすぐに嬉しさが込み上げてきた。
ブサイク君でもイイ。ボクを助けて!!
「ワルキュウーーーレェェェ。」と助けを求めた。「どうしたんスか?」とワル君。
ボクは事情を説明した。ラカソが襲ってくること。外に出られないこと。そして・・トロイメライちゃんのことも・・・
ボクだけの秘密にしておきたかったけどもうそんな事言ってられない。
正直に全部話してワルキューレに助けてもらわないと・・・
「トロイメライさんと話したんですか・・・。いいなぁ。」・・・・ちょっと優越な気分になった。
「警察に言ったらどうですか?」とワル君が言った。
わかってない。それはダメなんだ。警察だけはダメ。とにかくダメなんだ。
ワル君は「そんなに言うのなら別にいいんですけど・・。」と分かってくれた。
助けてよ。ボクは外に出られないんだ。ラカソをやっつけてよ。コワイんだよ・・コワイ・・・・コワイ・・
「なんなら、ボレロさんトコに行きましょうか?二人ならなんとかなるかも。」
おおおおおおお。いいねいいねぇイイ考えだよぉぉぉぉ!!
野郎を家に上げるのはちょっとイヤだけどラカソにやられるよかマシだ。
あのラカソにワル君が太刀打ちできるとは思えないけど盾くらいにはなる。
「来て来て是非来てよ。お願いおねがいおねがい!!」
わかりました、とワル君は承諾してくれた。
で、・・・・とちょっとあっちに沈黙が。「ボレロさんち、ドコにあるんスか?」
あーあーそうだよ。何処かわかんなきゃ助けに来てもらえない。
ボクは詳しく説明してあげた。「じゃ、明日にでもお伺いします。」
待ってるよーーー。

掲示板では奥田なんたらが「本日の探索記録」を報告していた。
まだボクんちまでは届いてない。じゃぁ昨日の報告はホンモノだったのか!
昨日逃げておくべきだったかも・・・でも今日こそ罠かもしれない・・・
もしこのペースで探されたら明日にでもボクんちに到達される。
ああ、ワル君。早く助けにきておくれ。トロイメライちゃんもカノンもsakkyも消えちゃった。
もう頼りになるのはワル君だけ。ボクを助けるんだ。助けろ。ラカソを殺す。ラカソを殺せばボクは助かる。
一緒にあいつを殺そうよ。ボクらの敵だ。
ワル君、僕らはsakkyを守る会。塊となってヤツに向かうべきなんだ。
カノンはいないけど、以前誓った通りになったね。
二人でラカソをヤっちゃおう。やろう。ヤろう。
殺ろう。


3月11日(土) ・
痛い
酷い
なんだよコレ
血はもう止まったのかな?
あ・・乾いてる・・・・

夕方、ノックの音がした。ddって。
ラカソかと思って布団をかぶってガタガタ震えてた。
もう一回ddって聞こえた。ボクはひぃと小さく悲鳴をあげた。
「ボレロさん。ワルキューレですけど。」
ワル君だった。慌ててカギを外しにいった。バンってドアを開けるとワル君が立ってた。
すぐに部屋の中に入ってもらった。周りを見渡してみるとラカソはいなかったのでほっとした。
上がっていいスか?とワル君。どうぞどうぞ。
とりあえず無事にワル君が着いて一安心。良く来てくれた。
早速今後の事を話し合おう。ラカソをどう迎え撃つかsakkyを守る会はどうするか。
「ちょっとゆっくりしてからにしましょうよ。」
ワル君はお疲れの様子だった。結構歩いてきたのかな?駅から遠いもんね。
そうそう。来る途中ラカソみたいなやついなかった?
「別に・・・特に変わった人はいませんでしたよ。すれ違ったりしたのも普通の人ばっかです。」
ああ、何人かはすれ違ったんだね。改めてワル君のブサイク面を眺めてみた。
傷だらけで気持ち悪いほど醜い顔。たぶん火傷だ。傷が無い状態の顔なんか想像つかないよ。
初めて会った時はかなり引いたけど、話してることは普通だったからなんてことなく会話できた。
顔は醜いけど、結構イイ奴だしね。
ボクも結構人から嫌なこと言われたりするけど、ワル君の顔に比べたらまだマシかな。
考えてみれば、ワル君はボクにとって生まれて初めて優位に立てたヤツだったかもしれない。
けど・・・よくこんな顔で人前を歩けるナ。案外勇気のあるヤツだと思った。
「そう言えば、あの装備は本当にしてるんですか?」
ワル君が聞いてきた。うん。アレは本当だよ。あの装備、すっごく強いんだから!
折角の機会だったから、ワル君の誤解を解いておこうと思った。
ワル君掲示板では引いてたみたいだったけど、実物の強さを見ればこの良さを分かってくれるはず!
ボクは最強装備をワル君に見せてあげた。どうだいコレ。カッコイイでしょ。
しげしげと見つめるワル君。ボクはポーズを取って格好良さをアピールした。
「なかなか・・・強そうですねぇ。」
でしょ!?どうやら納得してくれたらしい。特にこの鎧はラカソのバット攻撃を凌いだほどなんだよ。
触ってみ?頑丈だよこれ。
「あ・・・でも本と本の間にちょっと隙間ありますね。」
ハハハ。そいつはご愛敬だよ。そですね、とワル君も笑ってくれた。
あとね、この妖刀マサムネ。ラカソにもかなりダメージを与えたんだよ。凄いんだよ。
おおー、と感心してくれた。あとねあとね。この盾もこの前役立ったんだ・・・
「ちょっとその包丁、見せてくれます?」
うんいいよ。是非手にとってその強さを確認してくれたまい。
マサムネを持ってみてワル君はさらに感心したようだった。「すごいなぁ。」とか言いながら光に当てたりしてた。
「あ、ちなみに今、何時でしょうか。」
えっとね・・・。あとちょこっとで6時になるところ。
「ありがとございます。もうそんな時間ですか。ギリギリになっちゃうな。」
何が?

一瞬何が起こったのかわからなかった。
自分が見ているモノを理解することができなかった。
コレは?
ボクのお腹にマサムネが刺さってる。「ご愛敬」の鎧のスキマに刺さってる。
じわりとレモンクラブが赤く染まってきた。え?え?どうなってるの?
もう一度マサムネに目を向けた。マサムネを握る傷だらけの手。目を上に上げた。
ボクは悲鳴をあげようとしたけど、あまりの怖さに声が出なかった。
あんな顔見たことない。何て言うんだろう・・・
恐ろしいまでの、無表情。傷だらけの顔に、何の表情も無い。
ワル君がマサムネでボクを刺していた。
その表情のままワル君が口を開いた。
「みんな、なかなか死んでくれないんですよね。」
その声が聞こえた時、体が急激に熱くなってきた。特に刺された部分が。
痛い。
ようやく声が出た。これ以上ないくらい絶叫した。
近所迷惑のことなんか考えてられなかった。
マサムネが動いた。ワル君が動かしてた。やめて。やめて。死んじゃう。ボク死んじゃうよ!
やめてーーーーーー!!!

バリーンと大きな音がした。
ガラスの破片がパラパラ散らかるのが見えた。
もう一回、バーンと音がした。
同時に黒い影がガラスの割れた窓から入ってきた。ガラスの破片にまみれた金属バット・・・
ラカソだった。
ラカソはボクとワル君の姿を見てすごく驚いた顔をしていた。
ワル君がサっと身を引いた。ドアに素早く駆け寄って逃げようとした。
ドアを開くと、外に女の人が立ってた。
ボクとワル君に視線を走らると、ラカソ同様すごく驚いた顔をした。
・・・偽sakkyだった。
ワル君は、身がすくんだ偽sakkyの横を一瞬にして通り抜け、逃げた。
ラカソが「追え!」と叫んだ。
偽sakkyはハっと我に返り、ワル君の逃げた方を見て叫んだ。
ラカソも叫んでた。ボクも叫んだ。
三人の声は同時だった。

「風見!」
「アラちゃん!」
「ワルキューレ!」

ボクらは顔を見合わせた。偽sakkyもワル君は追わずに立ちつくしていた。
何がなんだかわからなかった。ラカソと偽sakkyは何か言い合ってた。
その間ボクは今日の出来事の事を考えてた。
ラカソを迎え撃つ為にワル君を盾にしようと呼んだけどなんか和んで雑談してると何故かワル君に刺されて
ラカソと偽sakkyが襲ってきてワル君の事を風見とか呼んで・・・・
「おい遠藤。」とラカソがボクの本名を呼んできた。
「お前風見と会った事あるんだろ?なんでわかんなかったんだよ!!」
そうなの・・・?あれ・・・カイザー君だったの・・・?気付かなかった・・・・
いや・・・あの・・・・・そんなことより・・・・ボク・・・・
ボクが呻いてるとラカソがようやく気付いてくれた。
「うわ。お前ソレ・・・ヤツにやられたのか!?」
ラカソがナイフを抜いてくれた。死んじゃうんじゃないかってほど血が出たけど
何故か痛みは麻痺してた。不思議な気分。痛いんだけど痛すぎて痛くない・・・
偽sakky・ワタベちゃんも手伝って治療してくれた。
こうしてみるとワタベちゃんも結構カワイイかも・・・なんて思った。
「お前、脂肪のおかげで全然刺さってなかったぜ。」とラカソが笑ってた。
この肉のカタマリが、って言われた。

ワタベちゃんに「病院行く?」と聞かれたけど断った。病院には嫌な思い出が・・。
結局今日はボクもこんな状態だし詳しい話は明日にでも、って事になった。
一日たてば落ち着くだろうって。
「お前、コレ知ってるか?」とラカソに紙を見せられた。メールをプリントアウトしたものだった。
そこにはボクの住所と「午後6時にお待ちしてます。」ってメッセージが書いてあった
差出人は「風見」だった。もちろんボクはそんなの知らない。
二人が帰る時、今度はボクがワタベちゃんにちょこっと質問した。
「君がトロイメライちゃん?」
ワタベちゃんはきょとんとして「知らない。」と答えた。そうなのか・・・。
二人が帰った後は、ボクはもう途方に暮れることしかできなかった。
ラカソ。あいつはもうボクを殺すつもりは無いらしい。敵じゃ・・・・なくなった・・・?
ワルキューレがカイザー君でARAでもあってボクを刺したし
ラカソもワタベちゃんも襲ってきたかと思ったら怪我の治療をしてくれたし・・・・

誰か・・・状況を説明シテ・・・・


3月12日(日) アメン
雨が降ってた。風が吹くと体に当たって冷たかった。
けど、熱かったからその冷たさが気持ち良かった。
炎の前に立ってると嫌でも熱くなるから。
自分の家が燃えるのを見るのはなんか不思議な気分だった。

炎の音で目が覚めた。パチパチと音が聞こえてきた。
最初は何の音か分からなくて放っておこうと思った。
昨日の傷がまだ完全に塞がってなかったし動きたくなかった。
しばらく寝てると、音はさらに大きくなって、さらには焦げた匂いまでしてきた。
そこで、そうやく起きる気になった。
ゆっくりと体を起こすと、もうまわりは火の海だった。
一瞬にして状況が把握できた。こればっかりは、見ただけでわかる。
部屋が燃えてる。
すぐに逃げなきゃ、って思った。荷物・・・大事なの何か持っていかなきゃ!!
足下に置いてあったバイオちゃん一式と枕を抱えて飛び上がった。
ドアは目の前。ちっちゃいアパートだからドアを開ければすぐ外。
大急ぎでドアに駆け寄った。ガチャガチャいじくってカギを開ける。
なかなか開かない!焦っちゃダメだよ。焦っちゃダメ!!まだドアは燃えてないから大丈夫!!
落ち着いて・・・ガチャ。ほらできた!さぁ出ろ!
ガタン
何かが引っ掛かってた。ドアが、開かない。
何度も何度もガタガタやった。それでも開かなかった。
ドアの向こうに・・・何か置いてある!!!
パニックになってドアをガンガン叩いた。力を入れるたびにお腹の傷が疼いて痛かった。
助けて・・・!!助けて・・・・!!燃えちゃう・・・・燃えちゃうよぉぉぉぉ!!!
ドアまで焼け始めてきた。火の回りが早い・・・
なんで?なんでなんでなんで??こんな狭い部屋から出られないなんて!!
酷い・・・酷すぎるよ・・・
お腹の傷がまた凄く痛んできた。熱くて汗がダラダラ出てきた。
涙も出てきた。もう嫌になってた。何もかも、どうでも良くなってた。
目の前に出口があるのに、出られない・・・・・。
そんなのないよ・・・
ボクは全てを諦めた。痛いし熱いし息苦しいし何もできなくなってた。
壁が燃えてる。パソコンも燃えてる。鎧も兜もマサムネまでも炎の中だった。
抱えたバイオちゃんはまだ無事。けど・・・・
ボクもじきに燃えちゃうんだね・・・
足下に火の粉が落ちてきた。昨日結局着替えるのがめんどうで私服のままなんだった・・・。
そんな事を考えてると、顔に火の粉が飛んできた。

・・・・・・熱い。熱い熱い熱い熱い!!!!
嫌だ嫌だ嫌だこんな熱いのは嫌だ燃えたくない燃えたくない嫌だ死にたくしにたくない死にたく死にたく
死にたく死にたく死にたく死にたく死にたくないいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!
生きるぞボクは生き残るここから出て生き残る生き残ってやるんだああああああああ!!!
無我夢中になって叫んでた。
生きる。この意思だけでボクは立ち直った。
キっと部屋を見渡すと、炎に穴が開いてるのが見えた。
すぐに理解した。そこは・・・昨日ラカソが割った窓だ!!
猛ダッシュで炎の中を駆け抜けた。
そして・・・・そのまま窓に飛び込んだ。

ボクは助かった。

鎮火したころ、ラカソとワタベちゃんが大慌てでやってきた。
「何だ!?どうなってるんだよ!!」
そんなの見たら分かるだろ。ボクのアパートが燃えちゃったんだよ。
他の住人はみんな避難してた。ボクが最後だったらしい。
早めに鎮火したから全焼はしなかった。
けど、ボクの部屋だけは完全に燃え尽きてる。
残ったのは・・・今日記を書いてるこのバイオちゃんくらいか。

ボクらは昨日の約束通り話をした。
それどころじゃない気もしたけど、かといって他にする事もなかったから。
そこで出た結論。僕らの共通の敵は、ワルキューレ。カイザー君だ。
ラカソ・・・いや、これは結局誤解だった。sakkyを守る会は全てカイザー君の自作自演らしい。
ユタカ君とワタベちゃんもカイザー君を追ってるトコに、あいつに色々騙されてたボクに出会った。
二人はボクがカイザー君の仲間だと思ったから襲ったそうだ。
カノン。トロイメライちゃん。他にもたくさんわからない事はあるけど・・・・
とにかくカイザー君さえ捕まれば、きっと何かがわかるはず。
お腹を刺され、家まで燃やされて・・・カイザー君。ボクは君を許さない。
火事について警察にはカイザー君の事は言わなかった。
ユタカ君もワタベちゃんも同意してくれた。
あいつは、ボクらが捕まえてるから。

さて、これから忙しくないそうだ。
いつまでもカプセルホテルに泊まってるわけにはいかない。
幸い貯金は残ってる。新しいアパートを探さなきゃ。
日記書いてる暇無いかもしれない。
これから何が起こるのか・・・・・そんなのボクには想像つかない。
ただこれだけは言える。
ボクは死なない。絶対に。
肉のカタマリだもん。

死んでたまるかょぅ


第1部<追撃編>
 第4章「駒」