サイドストーリー −僕の日記−
(;´Д`)<さん
第9週「驚愕」
10月23日 月ようび あめ
たいけんがっきゅうでパソコンをすることになりました。
いつもは五、六年生しかパソコンきょうしつに入れないけど
今回はとくべつにぼくたち四年生もつかえます。
コンピューターせんもんの先生もくるらしい。
パソコンっておもしろそうだから、いまからみんな楽しみにしてます。
ピカチューの絵をあつめたいんだけどできるかな。
なんかやっとまともなチャイルドライフがおくれそうです。
もうへんな人はいないよね。
10月24日 火ようび はれっ
ひさびさのあきばれです。
ドッチボールびよりです。けいどろもできるし、かんけりもできる。
ひさびさにしょうがくせいっぷりをたんのうしました。
いちにちじゅうかけまわってたからちょっとつかれちゃったな。
ここちよいつかれです。
じんせいになやみもない今がいちばん楽しいじきです。
いずれはじゅけんせんそうにまきこまれて、いをいためてべんきょうしても
いいだいがくにはいれなくて何ろうかしたあとはいった3りゅうだいがくは
ダメにんげんのたまりばでいつのまにかドロップアウトしてて
むしょくになっておやのすねにかじりついてる日々がまってます。
ずっとこどもでいたいなー。
10月25日 水ようび くもり
ちょっとあめがふってたけど、かまわずドッチボールしてました。
こどもはかぜのこです。こさめくらいじゃへこみません。
でもけっこうふってきたのでとちゅうでだんねんしてしまいました。
それからみんなでたいいくかんになだれこみました。
ボールがたくさんあったので、あたりかまわずなげまくってたり
ドッチボールをしたりしてあそんでました。
きょうもたのしかったです。
10月26日 木ようび はれ
明日からはいよいよパソコンきょうしつがはじまります。
たんきかんだけど、ここでもこどもっぷりをたんのうしたいとおもいます。
マウスのボールをコロコロさせてよろこんでみたり
むしんけいにがめんをべたべたさわってみたり
さわっちゃいけないボタンをおしてひどいことになってみたり
先生にしょしんしゃまるだしのしつもんしまくったり!
こどもってりゆうだけでなんでもゆるしてもらうぞー!ビバ!しょうがくせい!
とてもたのしみです。
10月27日 金ようび くもり
さていよいよパソコンをどういじってやろうかと思ってた時です。
マウスをコロコロころがしてたら、パソコンの先生がじこしょうかいしてました。
どっかで聞いたこえだなーて思って顔をあげました。そしたら。
「はい。こんにちわー。みじかいあいだだけど、みんなにパソコンを教えることになった
遠藤智久です。わからないことがあったらなんでも聞いてねー。」
うそぉん!?
おじさんでした。どう見てもおじさんです。なのに・・・・なのに・・・
「あれれ?なおや君じゃないか。ここの学校だったんだ!きぐうだねー。」
なんでそんなにさわやかなのっっっ!!!??
「なおや君とはね。同じ病院に入院してたんだよー。」ってみんなに言ってました。
しかもなんか好かれてます。人の良いふとっちょさんキャラになってます。
おかしい。ぜったいおかしいです。
でも女の子が「先生ってよく食べるでしょー。」って質問して「ははは。君もたべちゃうぞー。」
っておどけて答えた時、おじさんの目がいっしゅんあやしく光ったのを見逃しませんでした。
じゅぎょうがおわったあと、おじさんのところに行ったら
「今日はちょっといそがしいから明日ゆっくり話そうよ!」ってこれまたさわやかに返されました。
てゆうかおじさん何者?
10月28日 土ようび くもり
きのうやくそくした時間、こうえんに行くとすでにおじさんがまってました。
てゆーかスーツきてました。モアサイズです。にあってるのがなんかくやしいです。
けいたい片手になにやらおはなししてました。それが終わるとようやくぼくにきづいて
「なおや君!ごめん。今日これから仕事が入っちゃったんだよ。」だって。
ぼくは「はぁ。」ってあいまいなへんじしかできませんでした。
おじさんは「先方のシステムにトラブルがあったらしくて・・・って言ってもわかんないか!」
などとさわやかにのたまわっておりました。
「またあしたここにきてよっ!」とにっこりわらって手をふりふり去っていきます。
本当にこの人があのくされブタ?トムクルーズになるんじゃなかったの?
こんなマトモなおじさんなんて、おじさんじゃないよ!!
ぼくにはもう、りかいできません。
10月29日 日ようび 雨
おじさんとまちあわせ。きのうみたいにさわやかにとうじょうです。
「おまたせー!」だって。そうしておじさんの家につれていかれました。
ぼくはなんかどうでもよくなってました。こんなおじさん、つまんない・・・
だせいてきについていって、アパートにつきました。
中はひっこしたてらしくあまりかたずいてなかったです。
あるのはパソコンくらいかな。そんなのどうでもいいや。ぼくはやる気をうしなってました。
その時です。おじさんが「あーつかれたっお仕事終了!」ってネクタイをはずしました。
するとおじさんの顔が見る見るうちに・・・
たるみました。そしてスーツをぬぐと、モワっとあのいやなにおいが!
「なおやっちぃ!ひさしぶりいいいい!」いきなりだきつかれました。
しんけんな顔で「ねぇねぇ。トムクルーズになる方法みつかんないよぉ。」と。
このバカっぷり。やっぱりあのおじさんだ!おじさん、ひさしブリッ!
ぼくらはあらためて再会をいわいました。
やっぱりおじさんはふめつです!
第10週「順応」
10月30日 月ようび くもり
おじさんはふだんはあそんでばかりだけど
お金が無くなるとちゃんとしごとをするそうです。
そうしてお金がたまるとまたあそびほうけるらしい。
コンピューターにくわしいから、りんじの先生やってみたり
プログラミングをしてみたりセキュリテーなんとかのチームに入ったりと
けっこう仕事はあるんだって。おじさんオタクっぽいからそーゆーの得意そう。
でもなんでそんなにあたまいいのに、あんな変な人になっちゃったんだろう。
まさかひとには言えないようなつらい過去が・・・
なさそう。アレはただのバカだと思います。
だっておじさんだもん。
10月31日 火ようび くもり
おじさんちにあそびに行くとマンツーマンでパソコンのことを教えてくれます。
みんなとの差をつけるチャンスです。これをあしがかりにスーパーハッカーになれるかも。
インターネットっておもしろいです。おかしな人たちたくさんいます。
おじさんオススメのページが引っ越しちゃったらしく見れなかったのは残念でした。
「また消えちゃったんだよよぉぉ。」ってひとりでなげいてました。
他にも色々あったらしいけどなんか前のパソコンがなくなったとかでアドレスがわかんないとか・・
そこらへんのことはよくわかんなかったです。
かわりにリアルピカチューのがぞうも見せてもらいました。
グロかったです。
11月1日 水ようび あめ
おしごとモードのおじさんはかんぜんに別人です。
でんわがかかってきたらちょーさわやかにしゃべってました。
そして「ちょっとごめんね!」ってピカチューがぞうをさがしてるぼくをおしのけて
おもむろにパソコンをあやつりはじめました。
その時のがめんをみつめるおじさんの目、きりっとしてます。
さらにキーボードを打つはやさがじんじょうじゃないです。ゆびがみえない。
おじさんのくせにこんなかっこいいのうりょくを持ってるなんてなまいきです。
「メール送信っと!」とかろやかにのたまってしごとしゅうりょう。
それと同時にまた顔がデレーっと元にもどりました。
この差はいったい何なんでしょう。オトナってみんなこうなのかな?
みんな仕事とプライベートはつかいわけてるんでしょうか。
少なくとも村上さんはどっちもやる気がないのに。
オトナは世界はわかりません。
11月2日 木ようび あめ
おじさんが面白いページをさがしあてたようです。
「やっと見つけたーはっけそ!はっけそ!」とへんなさけびかたをしてました。
見てみるとジャンクなんとかっていうページでした。
そこで聞けばはなんでも知ることができるというすばらしいとこ。だそうです。
「トムクルーズになる方法もここで聞けばわかるかなぁ。」
と吐いてました。そして本当に聞いてました。
なんでこんなにバカなんでしょうか。村上さんに見せてあげたいです。
そうそう。おじさんはトムクルーズになるまでは村上さんにあわないつもりらしいですよ。
バカなのにむだにこんじょうはあります。
というか当たり前のようにおじさんのいえにあそびにいってる自分がこわいです。
こころなしかぼくもちょっぴりバカになった気が・・・
うつっちゃった!?
11月3日 金ようび くもり
きょうはきゅうじつだからおじさんのおしごとはナシです。
「ぺどに会えない。」とざんねんがってました。ぺどって何だろう?よくわかんないや。
ふとパソコンを見ると、ぼくのクラスの女の子のめいぼがうつってました。
「みーるーなーよぉー。」とてれながらがめんをかくしてたけど
ちらっと見ただけでもものすごいじょうほうりょうでした。
身長、体重、体格、性格、顔、趣味、癖、好感度・・・・
いちどしか会ってないはずなのになぜこんなに!?好感度ってのも気になります。
いっかいですべてを見ぬいたんでしょうか。それともこまめにしらべあげたんでしょうか。
「なおやっちぃ。のぞくなんてえっちだぞー。」と、それ以上見せてくれませんでした。
えっちなのはおじさんの方なのでは?
いや、でもおじさんくほどのとしの人が小学生にきょうみをもつなんてありえないはずです。
きっと先生としてじゅんすいに教え子の事を知りたかったんだね。うん。
ものすごいいきおいでそうじゃないような気がするんですが、気にしてはいけません。
あれ。なんかさむけが。
11月4日 土ようび はれ
いつものようにおじさんちにあそびに行ったらなんだかちんみょうな事になりました。
「おっはー。」てあいさつしても「ややぁ。ななななおやっち。きょうはいいてんき?」って。
ろこつにたどたどしかったです。きょろきょろ目がおよいでました。
しきりに汗をかいてフゥフゥ言ってます。もあっといやーなスメルがたちこめました。
あげくのはてに「あの、ボク、これから仕事することにするから、あ・・・あそべないんダァー!」
などと、うそぶいてました。ぜんぜんお仕事モードじゃないくせに。
アウアウアーときょどうふしんのままドアをしめてしまいました。
ひとり取り残されたぼくはさびしさのあまりメソメソ泣き出しました。
うそです。ほんとはあっけにとられてポケナンとつったってました。
ずっとほうけてるわけにはいかないので仕方なくかえったけど
お仕事モードとはちがうあのかわりっぷり。おじさん、ぜったい何かかくしてます。
女の子リストかな?でもアレはきのうふつうに見ちゃったし・・・
ぁゃιぃです。
11月5日 日ようび はれ
どうしてもなぞをかいめいしたかったのでまたおじさんちに行きました。
そしたらさらにおかしなことになりました。
「なおやっちーいらっしゃーい。」とさわやかにむかえられました。
きのうのぁゃιさはみじんも感じられません。またさわやかおじさんになってます。
おやと思ってズバっときのうはどんなお仕事したのか聞いてみたら
「しごとー?何それ。きのうはずっとねていたにょ?」と
ふざけた話し方でこたえてやがりました。ますますぁゃιぃ。
てきとうに流しておいていつものようにパソコンをやらせてもらいました。
フフフ。ぼくは知ってるのだよ。
インターネットでは何のページを見たのか「履歴」に残ることを!
くちぶえまじりにさりげなーくチェックしてやりました。
すると・・・何もない。何のデータも残ってませんでした。
ふとおじさんの顔を見ると、「んんー?」と目をクリクリさせてかわいく笑ってました。
くまプーみたいに本当にかわいく見えたのがむしょうにくやしかったです。
にしてもおじさん、本当に何もしてなかったんでしょうか。
さわやかになったりデレっとなったりきょどったり・・・ぁゃιさだいばくはつなのに。
バカなだけかなぁ。そんなバカになれちゃってるぼく。
どーなんだろう。
第11週「疑惑」
11月6日 月ようび くもり
困ったときの村上さんだのみです。
おじさんが先生やってることをチクるついでにぁゃιげなこうどうの意味も聞いてみようと思いました。
さっそくナースセンターに行ったけど村上さんはいませんでした。
きょうは休みかな?そう思ってほかのかんごふさんに確認してみました。
すると「あれをごらんなさい。」とにっこりえがおを返されました。
そのお姉さんがさしたのはホワイトボードでした。
かんごふさんたちのきんむひょうがのってます。村上さんのらんがあったのでよく見てみました。
「あゆはしばらくたびにでます。ちゃお〜。」
なんて人だ。
11月7日 火ようび はれ
村上さんにたよれないとなると自分でかいけつするしかありません。
おじさんのなぞをあばくにはどうしたらいいかな。うーんサスペンスちっく。
かといっておじいちゃんの名にかけるわけにもいきません。
ここはひとつコナンばりにあたまをつかうべきかな。
めがねかけておこさま紳士の服を着て。シューズをはけばほら、コナン!
てきとうなめがねが無かったのでこの前村上さんにもらったサングラスをかけました。
服も紳士っぽいのは黒いのしかありませんでした。こうなればかわぐつをはくしかありません。
なんだかものすごくかけはなれてる気がしてなりませんでした。
黒いスーツにサングラス。むしょうにマシンガンを持ちたくなるのはなんでだろう。
おとこ心がくすぐられます。
11月8日 水ようび はれ
おじさんががっこうにやってきました。きょうはじゅぎょうないはずなのに。
れいによってがっこうではさわやかおじさんです。またみんなの人気をあつめてました。
何しに来たのかきいてみると「今日はね。お仕事の打ち合わせなんだよ。」とふいてました。
ぜったいちがう。ぼくはもうおじさんをカケラもしんようしてません。
うらになにかあるはずです。ただでさえうらおもてにんげんなんだから。
そのことをあつし君に言うとわられました。
「えー。まめっち先生いい人じゃんー。」
いつのまに「まめっち」なんてあいしょうをしんとうさせてたんだ!?
びっくりしました。やつはやっぱりぬけめないです。
そしてみごとにみんなみごとにブタまめ先生になついてました。
みんな、だまされてるよ・・・
11月9日 木ようび くもり
きょうはおじさんはこなかったけどへんなじけんがありました。
女の子のリコーダーがぬすまれてたそうです。
しかもかわいい子のばかり。ブス山さんたちのはノーダメージでした。
もちろんぼくたちだんしのはまったくの手つかずです。
たぶんきのうのほうかごあたりにぬすまれたんだろうってことだけど
きれいにリコーダーだけ抜き取れててまるでプロのしわざみたいだって話です。
リコーダーなんてぬすんでどうするんでしょうか。
はんにんは家でピーピー吹いてるのかなぁ。そんなことして何がたのしいんだろう。
おかしな世の中です。
11月10日 金ようび ちょいあめ
おじさんのじゅぎょうです。みんなたのしく聞いてます。
ぼくはもうおじさんちでしゅうとくしたちしきばかりだったので、かってにネットであそんでました。
じゅぎょうがおわると、まめっち先生とおしゃべりタイムがはじまります。
女の子がおなかのにくをプヨプヨさせるたびにおじさんの目があやしくひかってました。
しかもなぜかいきぎれしてました。みんな気づいてないみたいだけど。
そろそろえんもたけなわといったかんじなったころ、おじさんが女の子たちに声をかけてました。
「よーし。じゃあみんな!明日、先生がおいしいモノをたくさんごちそうしてあげるよ!」
せすじがビリビリきました。女の子たちは「わーい!先生ありがとー。」ってよろこんでます。
そしておじさんはみんなに聞こえないくらい小さな声で、ボソリとつぶやきました。
「ホント、ごちそうがイパッイ・・。」
どーゆーいみ!?とてつもなくいやなよかんがします。
おじさんはぼくと目が合うと、目をパチクリさせて「んんー?」としらばっくれてました。
ぜったい何かたくらんでるよ。ぼくレーダーがピコンンピコンきけんを知らせてきます。
なんとかしなきゃ!
11月11日 土ようび はれ
おじさんが来てました。おしょくじかいは本当にやるようです。なかにわで女の子たちがくるのをまってます。
ぼくはじゅぎょうがおわるとすばやくなかにわにとんできました。そしてスルスルとおじさんのもとへ。
「ゃぁなおやっち。今日はざんねんだけど女の子だけなんだよ。男の子はたくさん食べるからよさんがねっ。」
よゆうちゃんです。ぼくはあさからねってたさくせんをかいししました。
「みんなこないって。」
おじさんの目がすごいいきおいでおよぎました。これ以上ないあせりっぷりです。
「ままままままじぇっすか!?」どもってます。かわいそうだけどぼくはうなずきました。
女の子たちをケダモノからまもるためです。心をおににしておいうちをかけました。
「『先生くさいからヤダ』って言ってた。」もちろんウソです。
でもそのあとのなげきっぷりと言ったらなかったです。かわいそうすぎて見てられませんでした。
自分のからだのにおいをかいではスンスンとなきごえをあげて・・・
そしてとぼとぼとかえっていみました。せなかがすすけてます。
とてもイヤなきもちになりました。これはちょっとやりすぎた?
あとから来た女の子たちにおじさんがかえったことをおしえると「えー楽しみにしてたのにー。」とかなしんでました。
やっぱりぼくはまちがったことをしたのでしょうか。むねがシクシクいたみます。
もしかしたらおじさん、本当にじゅんすいなきもちで教え子とせっしたかっただけなのかも。
なのにぼくはかってなかいしゃくでみんなとの仲をひきさいてしまった。
ああ、ぼくはなんて悪い子なんだ!
11月12日 日ようび はれ
おじさんにあやまりにいきました。ここままじゃ足をむけてねれません。
おじさんちにむかってると、とおくできょたいがうごめいてるのが見えました。
おじさんです。テクテクいそぎあしで歩いてました。どこに行くんだろう?とりあえずつけてみることにしました。
歩いてるとこうえんにつきました。誰かをまってるようです。
ぼくは回り込んでそばの木のかげにひそみました。少しの間いきをひそめてると、誰かやってきました。
「おや。やくそくのものはどうした?」そいつが言いました。かげになって顔がよく見てません。
おじさんは「あの、それが、ちょっとつごうつかなくて・・。」ときよわになってます。
「なんだと?それじゃあアレは教えられないなぁ。」となぞのじんぶつはいいはなちました。
なんかどっかで聞いた声です。でも誰だか思い出せません。
「いや、その、そのかわりコレはちゃんと手に入れました!」
おじさんがカバンからごそごそ何かをとりだしました。何本か棒みたいな・・・ってリコーダーじゃん!!
「おおおお!スバラシイ!ちゃんとびしょうじょげんていだろうな?」
「よりすぐりですよ。ウフフフ。」などとおじさんがほざいてます。犯人はおじさんだったの!?でもなんで?
ぎもんに思ったのもつかのま、答えはすぐにわかりました。
「よしよし。これならまぁいいだろう。やくそくどおりアレを教えてやろう・・・トムクルーズになる方法を!」
そのことばと同時に、日が射してきてそいつの顔が見えました。
・・・・・・・・・アッキー・・・・・
ぼくはもうげんなりしてズルズルとそのばにへたりこみました。
ふたりが帰ったあともしばらく起きる気がしなかったです。
なにやってんだこの人たちは。
第12週「卒倒」
11月13日 月ようび はれ
なんてことなくおじさんちにあそびにいきました。
この前のことをわびるつもりなんざサラサラありません。おじさんもふつうにむかえてくれました。
パソコンいじらしてもらってるとき、さりげなーくさぐりをいれました。
「そう言えば最近ね。学校で女の子のリコーダーがぬすまれるじけんがあったんだよ。」
おじさんがビクリとからだをはんのうさせました。
「へへへえぇぇぇそうなんだあぁぁぁ。」ダラダラ汗をかきはじめました。うーんわかりやすい。
おじさんはトムクルーズになる方法をアッキーにおしえてもらおうとした。
へんたいアッキーはその見返りに女の子のリコーダーをようきゅうした。なんでリコーダーなのかはしらないけど。
さらにあわよくば女の子そのものも手に入れようとしたけれど、ぼくのせいでしっぱい。
おおかたこんなところだと思います。
ぼくはおじさんにさらなるさぐりをいれました。
「それでね。先生たちがよーくみはることにしたんだって。これならもう犯人も女の子に手を出せないよね。」
「まじぇっすか!?」これいじょうないくらいあせってました。
やっぱこの人、まだ女の子たちのことあきらめてなかったんだね。
させないよ!
11月14日 火ようび くもり
アッキーじしんは何もできません。おじさんさえおさえれば女の子は守れる。
つまりおじさんにトムクルーズになることをあきらめさせればすむこと。そう思っておじさんをときふせにいきました。
きのうと同じようにパソコンであそばせてもらってる時、さりげなく言ってやりました。
「トムクルーズにはなれないよ。」
びくんとはんのうしました。「ななななにを言っているんだい?」れいによってうわずってます。
おじさんのことなどおみとおしさ!ぼくはかまわずつづけました。
「この前こうえんにいた人。ぼく、あの人知ってるんだ。あいつのトムクルーズはインチキなんだよ。」
「そんなことない!」とつぜんのおおごえにびっくりしました。「いくらなおやっちでもおこるゾォ!」
おじさんがいかっている。だけどびびっちゃいられません。ただしいことをおしえねば。
「だってあいつのは、たんなるコスプレだよ!」
カッと目を見ひらきました。そして「オオオ・・」とうめきごえをあげてます。
よかった。おじさんもなっとくしたみたい。そう思ったやさきでした。
「すばらしい。」
うっそぉぉぉ!?
おじさんったら目をかがやかせてます。コスプレでいいの!?
いや、でもトムクルーズになるってぐたいてきにどんなふうになるかってきかれると・・
そんなぼくのしこうをさえぎるように、おじさんはたけり立ってさけんでました。
「ボクはトムクルーズになるんだ!それをじゃまするやつは、なおやっちでもゆるさない!」
きょたいがしゅーしゅーとけむりをあげてにおうだちしてます。そのかおはまさにオーガでした。
やばい。これはほんきだ!ぼくはあわててにげかえりました。
どうしよう。おじさんをてきにまわすなんて。あんなのにかてるわけないよ!
ケダモノと化したおじさんがおそってくるのをそうぞうして、ぼくはこれ以上ないくらいのさむけをおぼえました。
食べられる・・・
11月15日 水ようび ややあめ
きょうふのあまりひとりプルプルふるえてました。
あつし君に「かおいろわるいよ。」とまで言われるしまつです。
金ようにはまたおじさんのじゅぎょうです。かおあわせたくない・・・
そんな時にかぎってあってしまうもんなんです。
げこうちゅう、あつし君がとおくを歩くおじさんをめざとく見つけてしまいました。
「あ!まめっち先生だ。まめっちぃ〜。」しかもよんでしまいました。
ぼくがきまずい顔してるのにも気づかず、しきりにおじさんをまねきます。
おじさんは「ゃぁゃぁ。」と言いながらよってきました。でもそのとなりには。
やつもまた気まずい顔してましたあつし君もやつに気づいてびびってました。
アッキーです。またおじさんとみっかいしてやがったんでした。
おじさんだけがさわやかなトークをてんかいしてました。場の空気をおさっししてほしかったです。
たえきれなくなったアッキーが「あの、ボクはこれで。」とにげました。
ぼくはホッとしたんですが、わかれぎわのことばにふたたびこおりつきました。
「じゃ、金ようびにがっこうで。」
「はいはーい。おまちしてまーチュ。」
その時はじめておじさんと目があいました。これでもかってくらい目がわらってました。
おじさんと別れたあと、あつし君はしきりにアッキーとおじさんとかんけいについてそうぞうをふくらませてましたが
ぼくはずっとあのことばがきになってました。「金ようびにがっこうで。」
アッキーがくる。イコール女の子たちがあぶない。それをとめられるのは、おじさんとしたしいぼくだけ。
だけどとめようとするとおじさんがおにになる。そうなるとぼくがしぬ。
ああ、どうすれば。どうすればぼくも女の子たちもたすかるんだろう。
だれかおしえて。
11月16日 木ようび くもり
明日がえっくすでーなのに何もいいかんがえがうかばない。
おじさんのふてきでいやらしいえがおが目にちらつきます。
アッキーのおぞましいいきづかいがきこえてきそうです。
だけどぼくにはなにもできない。
いえでもがっこうでも、一日中あたまをかかえてたけどかいけつさくはでてきませんでした。
あいつら、かよわい女の子たちにひどいことするに決まってます。
それをそしするには、こうなったら・・・こうなったら・・・
またトムクルーズになるしかない!
ひきだしからすすけたサングラスをとりだしました。
はいぼくがいやなら、たたかわなければなりません。それが漢(オトコ)のいきざまです。
明日ぼくは、オトコになる。
11月17日 金ようび あめ
おじさんとアッキーはなかにわでたのしそうにはなしてた。
ぼくはこうしゃのかげにかくれてじゅうをかまえていた。こさめがふり、こごえるようなさむさだった。
このくらいじゃぼくのハートはさめないぜ。ぼくはかんぜんにリアルオトコになっていた。
じきに女の子たちがやってくる。その前に・・・ヤる。
ぼくはこしからじゅうをとりだしみがまえた。オトコのしにざまみせてやれ。いざ、しゅらばへダイブ!
「アッキー!」
りょうてにけんじゅう。黒いコートにサングラス。これいじょうないオトコっぷりです。ぼくはやつらをにらんだ。
「ぼくがあいてだっ!」
なんてあついセリフ。一度言ってみたかったんだ。
「うわ。またお前かっ!いっつもじゃましやがって。」
アッキーめ。しっかりぼくをリメンバーしてやがった。
おじさんがキっとぼくにガンくれた。やっぱりこうなるうんめいだったか。けどぼくは、たたかうんだ!
「そんなみずてっぽうでかてると思ってるのか?あン?」
あらバレてる。
「ダサッ。しんでいいよお前。」
「なおやっち。言っただろ?じゃまするやつはなおやっちでもゆるさないって。」
いきなりピンチ。でもだいじょうぶ。リアルオトコはピンチになるほどよくもえる!
ふたりがじりじりとぼくのほうによってきた。ぼくはかまわずじゅうをかまえてる。
「みずてっぽうなんざきかねぇよ。あン?」
「なおやっち。どうしてもわからないってんなら力ずくでもっ!」
ぼくはふてきなえみをうかべたままうごかなかった。
「しかたねぇ。やるぞ、えんどうまめ!」
「この、わからずやぁぁぁ!!!」
ぼくをめがけて2ひきのブタがはしった!!ドスドスじひびきならしてるっ!
ここがオトコのみせどこだっっ!!!むかえうてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!
「ケーサツよぶよ」
ボソっと一言。
アッキーはあわてふためいてにげかえっていきました。おじさんもしきりに汗かいて何かといいわけしています。
うーんやっぱリアルコトバはきくなぁ。
オトコ?知らないなぁそんなの。黒いコートにサングラス?かっこうよかっこう。いみなんかないって。
にんげんできることからやんなきゃね。それにほら、ぼくこどもだし。おとなにたよるのはとうぜんでしょ。
いやぁこれでやっとむねのつかえがとれました。きょうはグッスリねむれそうです。めでたしめでたしっと。
・・・何か?
11月18日 土ようび はれ
ふーやれやれ。とおちついてかえろうとしたときでした。あつし君がけっそうをかえてやってきました。
のどかなほうかごになにごとだろう?ただごとじゃなさそうです。
「アッキーがいるよ!しかもまめっち先生と!」
ただごとじゃありませんでした。あの人たちまだこりでなかったの?
あつし君とげんばにかけつけました。ごていねいになかにわからうらにわにばしょがかわってます。
げんばにはすでに女の子がやってきてました。
まにあわなかった!?あつし君とかおをみあわせました。
もうちゅうちょはしてられません。こうなったら本当にケーサツに・・・
そのとき、おじさんたちのかいわがきこえてきました。
「この人、先生の友だちなんだぁ。」
「おじょうさんたち。よろしくねぇぇぇぇ。」
アッキーが女の子たちに手をさしのべました。手をにぎるつもりだ!
いちどふれたらへんたいきんがうつってしまいます。止めなきゃ。でもまにあわない!そう思ったら。
「あーこの人、前にもんだいになってたアッキーって人だー。」
「あー私も知ってるー。」
「まじぃ?いやーさいあくー。」
「くさーい。ちかよんないでー。」
「せんせー私この人きらーい。」
「私もー。まめっちぃ。この人どっかやっちゃってぇ。」
・・・・おそるべしギャルよびぐん。
女の子たちのいがいなはんのうにあわてたアッキーは助けをもとめておじさんを見ました。
「オゥベイビー、イェェェ。」
おじさんはいみのわからないことばをもらし、ためいきをついてくびをなんどもよこにふりました。
「だれおまえ。」
わお。
アッキーは「え?え?」ととまどいまくってました。そのうちいたたまれなくなったらしく、スタコラにげていきました。
おじさん、友だちって言ってたのに・・・。これがうわさの「てのひらがえし」ってやつでしょうか。
そのあとおじさんは女の子たちとなかよくおしゃべりしてました。
「オトナってこわいね。」あつし君がいいました。「うん。こわい。」ぼくは相づちをうちました。
「あれ、なおや君いたんだ。いっしょにあそぼーよー。」
ぼくらもおしゃべりの輪にまじり、みんなとあそびあかしました。
これですべてがもとどおり。ぼくのチャイルドライフもあんたいです。
さわやかないちじんのかぜがぼくらのあいだをかけぬけます。ぼくらのわらいごえをのせて。
花びらがそらに舞いました。ぼくはこっそりいのりました。このしあわせが、いつまでもつづきますように・・・
おじさんがボソっとぼくにみみうちしてきました。
「明日さ、トムクルーズになってみるから見にきてょ。」
ダメじゃん。
11月19日 日ようび くもり
おじさんとアッキーはインターネットで知り合ったそうです。前にみつけたジャンクなんとかってとこで。
それにしてもアッキーのようなあやしげなやつをかんたんにしんようするなんて。
そう言ったけどおじさんは「そう?ふつうの人だったじゃん。」などとほざいてました。
同じブタどうしなら、ブタなのが当たり前なんだね。なんかなっとくしてしまいました。
さて、おじさんはトムクルーズのコスプレにチャレンジしました。
コンビニで買ってきたというサングラスをいとおしそうにながめてます。
「これでボクもあこがれのトムに・・・。」
そんなんでいいのかなぁと思いつつも、おじさんが楽しそうだったので何も言いませんでした。
いよいよサングラスそうちゃくです。おじさんの手がプルプルふるえてました。
じわじわとかおにちかづけて・・・「お・・おおお・・・・ふぉおぉぉおおおお!?」
おじさんのぜんしんがビリビリきてる。そしていま、サングラスがおじさんの顔に・・・・・!!
やった!マメクルーズのたんじょうだぁぁぁぁぁぁ!!
パキリ
サングラスがわれました。ボロボロとざんがいがおちていきます。
おじさん・・・顔もふとってるから・・・
おじさんはカッと目をひらき、口元に楽しそうな笑みをうかべたままかたまってました。
ぼくが声をかけてもはんのうしません。かんぜんにお出かけ中でした。
あまりにあわれだったのでぼくはかえりました。
かえりみち、とおくの方から「ムキィィィィ!!」とやじゅうのようなおたけびがひびいてきました。
まったく。リアルアニマルがっ!
さてさて、あんなのにかまってるとあたまがいたくなってしまうから
ぼくはもうねることにします。てゆうかなんかほんとにあたまいたいです。
いやほんと・・・・・・・・・・・・・・あれ?・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ちょっとこのいたさはしゃれにならないぞ・・・・・・・・・・・・・・・・・・
なんかきゅうに・・・めのまえが・・・・・・くらくなって・・・
・・・・・ぼく・・・・・どうしちゃったんだろ・・・・・・・・・・・・
まさか・・・・・・また・・・・・・・・・・・・びょうきが・・・!!
・・・・・やだよ・・・・・・・・・・・せっかく・・・・・・・・
・・・・手が・・・・しびれ・・・・・・・・・・
・・・・・くるしい・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・
→(ρ_;)ノ<し