絶望世界 もうひとつの私日記

第25週


3/26(月) 晴
いざその時となると心臓がバクバク鳴ってしまいます。
呼び出す場所は夜の公園?夜の学校?人が少ない所じゃないと殺せない。
学校の側に小さな公園があったな。あそこにしよう。
私は電車でわざわざ行かなきゃいけない距離だけど、牧原さんの家からなら歩いて来れる。誘い出すには丁度いい。
この電話をしたらあとはもう進むだけ。
もう少し、心の準備を・・


3/27(火) 晴
励ましてくれた多くの人々のためにも、私は勇気を持って電話しました。
なのに誰も出ません。何度かけても、家に誰もいない。
困りました。この可能性を考えてなかった。
くそ。ちゃんと家にいなさいよ!


3/28(水) 曇
今日もひたすら電話したんですが誰も出てくれませんでした。
親も居ないの?そんなのおかしいじゃない。マトモな家庭なら親くらい居るはずよ。
居留守?それとも春休みを利用して旅行でも?
そしたらせっかくの計画がパアに。


3/29(木) 雨
これ以上待ってるわけにはいかない。
思い切って家に直接出向きました。お腹に仕込んだ包丁が冷たかった。
ドアをトントントントントントントントンしつこく叩いてたらようやく人が出てきました。
牧原さん。そう思って身構えたけど出てきたのは汚いおばさんでした。
「誰?」まさかこんな人が出てくるとは思わなかった。
とっさに「公子さんいますか?」と聞いたら「もういないわよっ!」と怒ったように吐き捨ててドアをピシャリと閉めてしまいました。
帰るしかありませんでした。


3/30(金) 雨
よくよく考えてみるとあのおばさんは牧原さんの母親だったのでしょう。
でも「もういない」ってどうゆう意味でしょうか。
まさか、私の計画に気付いて一人夜逃げを・・?
そんな!


3/31(土) 曇
せっかく練った計画をフイにするわけにはいきません。
牧原さんが本当に逃げやがったのか確認するためにもう一度家に電話しました。
今日は出ないからってすぐには切りませんでした。
5分以上ずっとコールを鳴らしてました。10分経って切りませんでした。
15分くらいしたらようやく電話に出ました。「うるさい!」
例のおばさんの声でした。余計な会話はさせてもらえなさそうなので
私は間髪入れずに「公子さんどこにいますか?」と聞きました。
すぐに返事がきました。「私が教えて欲しいくらいよ!」
電話を切られました。親にも居場所を知らせないなんて。
やっぱり逃げてしまったんだわ!


4/1(日) 
リクエストくれた人達に申し訳ありません。
まさか私の先を行かれるとは思わなかった。
仕方ない。次のターゲットを探しましょう。
処刑人はまだ健在よ。


第26週