絶望世界 もうひとつの私日記

第5週


11/12(月) 曇
お弁当を作るのも恥ずかしくなってきました。
付け焼き刃じゃおいしいものができるはずないです。
卵焼きなんて誰でも焼けます。


11/13(火) 曇
疑問を感じながらも同じものしか作れない現実があります。
今日もおいしくない卵焼きを焼いてお弁当に詰め込む。
寂しくてたまりません。


11/14(水) 晴
お弁当を作るのをやめました。
いつものようにパンを買ってればそれでお腹はふくれます。
田村さんに「今日はお弁当作る時間無かったの?」と聞かれましたが
適当にごまかしてしまいました。


11/15(木) 曇
自分で作る料理がマズくて仕方ありません。
今日は頑張ろうと思ったのに。いつもあんな酷い卵焼きを作ってたなんて。
新しい趣味を見つけたなんてとんだ思い違いでした。調子に乗ってただけでした。
田村さんだって私の弁当マズイと思ってたに決まってます。


11/16(金) 晴
弁当を作るのがイヤになった事を漏らしたら
田村さんが「早紀ちゃんの作ったお弁当食べたかったのにな。」と言ってくれました。
嫌味にしか聞こえませんでした。私はハッキリ言いました。
私の料理は豚のエサだから。そもそもそも料理なんて呼べるシロモノじゃないから。
田村さんは否定しました。そんなことないって。頑張って否定してくれてました。
泣きそうになりました。


11/17(土) 晴
こんな私でも料理はできるんでしょうか。
田村さんは言います。最初から全部できるわけじゃないからと。
一緒にやろうよ。私が教えてあげるからって・・・。
甘えさせてもらっていいんでしょうか。
教えてもらってもできなかったら田村さんが恥をかいてしまうんじゃないでしょうか。
できないのは私に能力がないからなのに。


11/18(日) 晴
とても恥ずかしいことなんですが、私は料理が好きになりかけてました。
何もできないくせに。作っても豚のエサしかできないくせに。
それでも料理がしたいです。せっかく見つけた新しい趣味だから。
田村さんに教えてもらおうと思います。
料理の勉強をするくらい罪にはならないよね。
大丈夫だよね。


第6週