絶望世界 もうひとつの私日記

第38週


7/1(月) 雨
これ以上誰に聞けというのでしょうか。
どうしようもなくなり遠藤さんにも電話してしまいましたが、電話はもう使われてませんでした。
あれから全く連絡をよこさないことを考えると、たぶん私などもうどうでも良くなったのでしょう。
とっくに見捨てられてたんだ。


7/2(火) 曇
田村さんは怯えてカザミの正体を教えてくれません。
奥田さんのことも重要なことは何も知らない。
もう駄目なんでしょうか。これ以上進めないんでしょうか。
やはりこんなこと諦めた方がいいんでしょうか。


7/3(水) 晴
何をすれば良いのかわからず、田村さんの家に上がり込んでネットを探しました。
「奥田」さんはどこか。「処刑人」はどこにいるのか。
検索しても本当に欲しい情報などでてこない。
本気になって探せば見つかるのかもしれない。
元々ネットで探すべきものなのかもしれない。カザミもそう思ってるのかな?
だとしたら、わかってない。
私のように自分のパソコンすら持ってない素人に、そこまで調べ上げる能力は無いのよ。私が「処刑人」だった頃も、所詮はその場にあったものをいじっただけ。
素人なのに。誰もそう見てくれない。


7/4(木) 曇
わからない。どうしてもわからない。
私はカザミに助けを求めました。
「川口って人は死んだらしい。これ以上わからない。奥田さんもあなたも、どこにいるのかわからない。」と。
私は精一杯叫んだつもりでしたが、メールに書くと小さな画面にこじんまりと収まる。
届かない。これじゃ全てが届く分わけがない。


7/5(金) 雨
カザミからメールが来ました。
全然期待してなかっただけに驚きました。
そしてその内容は・・・何を言ってるんだろう。
「僕の予想だと、直に向こうから現れると思う。最後に逃げ込む所はそこしかないから。」
これは誰のことを?奥田さん?カザミが来るわけじゃないの?
向こうから来る。ということは私はもう何もしなくていいのでしょうか。
このまま待てばいいのでしょうか。


7/6(土) 雨
私はじっと待ちました。
天命を待つほど人事は尽くしてないかもしれない。
けどもう信じるしかない。カザミの言葉を。
来るのは恐らく、奥田さん。
川口さんを殺したのであれば、今は逃げ回ってるということ。
最後に逃げ込むのが・・ここ。なぜ私のところなんだろう。
私は奥田さんなんて人は知らない。
でも来る。誰かが。
私を知る誰かが。


7/7(日) 曇
来ました。
確かに「誰か」が来ました。
戻ってきた。
その人は私の顔を見ると「ただいま。」と言いました。
私は「あれ?おかえり。珍しいね。」と答えました。
「しばらく実家に戻ることになった。世話になるよ。」
私のよく知る声です。
お兄ちゃん。


第39週