CLUB MAMECHITTマメ日誌

Ma-me vol.5


8月31日
ACHIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII!!!
夏休みはMAMECHITTAもお休みかしらと首をひねってるKIMI!CLUB MAMECHITTAへようこそ!
DJの遠藤“MAHOMECCHI”智久だYO
チェックイットアウト チェックイットアウト

夏休みももう終わりだね!みんな有意義に過ごせたKANA?
BOKUはというともうダメです。ええ。夏はBOKUを殺そうとしてます。
これは殺人ですよ。汗をかくとかそんなレベルじゃないんです。
溶かされるんです。わかります?人間が暑さで溶かされるんですよ?
まずその兆候が出たのは下腹部の中央でした。俗に言うゴールドボールマスクです。
通常でもかなりの広がりを見せるものですが、見て下さいコレ。
ほら。尋常じゃないでしょ。子供一人くらい包めちゃいますよ。
良かったら包まれてみます?素敵な気分になれますよ?
まぁそんなわけなんで。このたび、正式に夏さんを訴えさせていただくことになりました。
冬さんには非常によくしていただいてるんですよ。なのに夏さんときたら。ねぇ。

ところでみんな。夏休み最後の日にこんなメールが届く理由がお分かりかな?
夏と言えば何?スイカ?そうめん?カキ氷?
BOOOOOOOOOOOOO!!!正解は「宿題」ですぅうううううう!!!
そう、宿題。休み前に出した宿題、忘れてないよね?
あんなに簡単な宿題だもの。もうやってるよね?
読書感想文より簡単だもんね!何しろ、みんな大好きCLUB MAMECHITTAの感想文なんだから!
これを忘れないように、わざわざ夏休みの最後の日に学校まで来てメール打ってるんだYO
決して間違えて一日早く学校に来ちゃってやることないからパソコンいじってるわけじゃないYO

あーそれにしてもはやくみんなに会いたいYO
早く小麦色に日焼けした水着のアトを指でなぞってあみだくじがしたいYO
そして髪を茶色くしたあのコに「あれ?ちょっと大人っぽくなったんじゃない?まさか休み中にカレと??」
「やだぁそんなことないですよぉ。ただ茶色くしたくなっただけですってばぁ。」
「またまたそんなこと言っちゃって。あやスィーなぁ☆」
「やめてくださいよぉ。ホントに何でもないんですってばぁ。」
「そうやってムキになるところがますますアヤスィー☆☆」
「もう、いじめないでくださいよぉー。」
「ア・ヤ・ス・E!ア・ヤ・ス・E!」
「やーん。放っておいてくださいよぉー。」
「いやいや放っておけないよー。だって君は僕にとって・・・いや、なんでもない。」
「え?先生、今なんて?」
「なんでもない。」
「僕にとって・・って続き、なんて言ったんですか?」
「なんでもないって言ってるだろ!忘れろっ。」
「わかりました。忘れます。」
「そうしてくれ。」
「でも最後に一言だけ。」
「なんだ。言ってみろ。」
「私もね、先生のこと・・・。」
「・・・・・・え?」
「ううん。なんでもない」
「何だよ。気になるじゃないか。最後まで言えって。」
「なんでもないんです。」
「なんでもないじゃないだろ。ハッキリ言ってくれ!」
「じゃ先生から先に言ってよ。」
「俺が?何で俺からなんだ。」
「だって、先生の方が先に『なんでもない』って言ったんだよ。」
「そ、それは・・・・・・。」
「先に言った人から言わなきゃ私も言いません。」
「ひ、卑怯だぞそんなの。」
「卑怯なんかじゃありませんよーだ。先生から言ってくださーい。」
「・・・・言えない。」
「なんで?なんで言えないんですか?」
「・・・・・・・言えないんだよ。」
「なんでですか?ちゃんと説明してくださ・・。」
「大事なことだから、軽率には言えないんだよ!!」
「・・・・。」
「・・・・大事なこと・・・・・だから・・・・・。」
「・・・・・・・・・・私も、大事なこと言おうとしてたんだよ。」
「・・・・・・・・・・・・・な・・・・・・・。」
「ちょっとしゃべり過ぎちゃった。先生、早く行かないと授業始まっちゃうよ!」
「あ・・・・・・ああ。」
走り去るサキ。ポニーテールをなびかせて教室の中へと消えていった。
廊下に一人取り残された智久はサキの残した言葉の意味を考えていた。
大事なこと・・・か。
智久にはわかっていた。教師と生徒。この立場にいる以上、「そのこと」を明かしてはならないことを。
気が付くと頬に水滴が流れていた。9月に入ったとはいえまだ暑い。
汗をかいてしまったのか。智久はポケットからハンカチを取り出し、不器用に頬をぬぐった。
さあ、行かなきゃ。授業が始まる。先生が生徒を待たせちゃいけないからな。
よし、と気合を入れて歩き出す智久。顔を上げて足を踏みしめ、歩き出した。
しかしふと違和感を覚えた。さきほどぬぐったばかりの頬に、また水滴が流れるのを感じる。
おかしいな。もう汗をかいてしまったのか?
不審に思いながらも再びハンカチを取り出し、頬をぬぐった。
そしてあることに気づいた。どうもこの水滴、両頬を規則正しく流れているようだ。
智久の足が止まった。代わり硬く握ったこぶしが震えはじめた。

その水滴は、瞳から流れていた。


第15話 「駆け引き」 完

第16話 「愛の行方」へ続く


Ma-me vol.6