サイドストーリー −僕の日記−
(゚∀゚)<に
第5週「新手」
9月25日 月ようび くもり
今週のおわりには退院します。
ずいぶんおくれた自由研究だけどはやく書かなきゃ。
おじさんと村上さんのしゃくねつのばとるを思うぞんぶん書くつもりです。
村上さんに教えてもらったこともたくさん書こう。
ピカチューよりナマチュー。よく食べるからブタ。
デブにブタはタブー。暗いところでピカチューを見たら死ぬ。
たしかこんなかんじでした。他にもいろいろあったっけ。
べんきょうになります。
9月26日 火ようび あめ
自由研究をやらなきゃ先生に殺されます。
また入院するのはかんべんして欲しいです。
けどちょっとラッキーなことがおこりました。
村上さんに「はたらくおねんさん」をとられました。
「なおや君。うそはダメよ。」って。本当のことしか書いてないのにな。
代わりに村上さんがしんじつを書いてくれることになりました。
おかげでぼくは何もしなくて済むかもしれません。
たなぼたです。
9月27日 水ようび はれ
退院が近くなったのであつし君がおみまいにきてくれました。
でもなんだか様子がおかしいです。なやみごとでもあるんでしょうか。
聞いてみると、なにやらトラブルにまきこまれてるらしんです。
「なおや君。もしかしたら退院しない方がいいかも。」だって。
そんな事言われてもずっとここにいるわけにもいきません。
しんみょうな顔をしたままあつし君は帰っていきました。
退院しない方がいいなんてよほどのことにちがいありません。
学校でなにかあったのかな。少し不安になってきました。
なにが起きてるんだろう。
9月28日 木ようび はれ
村上さんが「はたらくおねえさん」を完成させてくれました。
読んでみるとぜんぜんちがう内容にかえられていました。
「村上さんはとても綺麗な人で僕は目が合う度にドキドキしてしまいます。」
「真夜中でも患者の様子を見回る姿にはその優しさに心を打たれました。」
「時には厳しく叱られます。でもその度に僕は彼女の愛情を感じずにはいられません。」
「僕がここまで快復したのは村上さんのおかげです。」
「彼女こそ白衣の天使の名に相応しい。」
ほめまくってました。おじさんの話はひとことも出てきません。
夜中はいつも寝てるっていってたのに。白衣の天使なんかはつみみです。
これがじょうほうそうさってヤツなのでしょうか。
オトナって・・・こわい。
9月29日 金ようび くもり
明日で退院です。きょうもあつし君がきてくれました。
村上さんを紹介してあげました。村上さんはにこにこしながらむかえてくれました。
せっかくなので「はたらくおねえさん」を見せてあげました。
自由研究にね。この村上さんのことを書いたんだよって。
するとあつし君はきょとんとした顔をして言いました。
「ことしは自由研究なかったよ。」
あつし君が帰ったあと、村上さんがすっとぼくのところによってきました。
顔はにこにこしてるのにおでこにはあおすじがたってます。
「はたらくおねえさん」をパンパンとたたいたあと、耳もとでささやかれました。
「私のどりょくはムダだったのね?」
そのあとおしおき
・・・・
なんでもないです。
9月30日 土ようび あめ
やっと退院できました。
村上さんに見送ってもらったけどはずかしくて目をあわせることができませんでした。
どうしても昨日のことを思い出してしまいます。村上さんはさいごまでにこにこ笑ってました。
かんどうのお別れシーンになるはずでしたが、ぼくはすぐに帰ってしまいました。
それはそうと、あつし君から新しいじょうほうが入りました。
退院を祝いにきてくれたんですが、またムズカシイ顔をしてたので聞いてみたんです。
そしたらわかりました。なんでも最近コワイ人にからまれてるらしい。
しかもそれだけではありません。先生とかにそうだんしてみたらって言ったら
すごいいきおいで否定されました。そしてすごいことが判明したんです。
「ダメだよ。だって相手はトムクルーズなんだから!」
おじさん!?
10月1日 日ようび くもり
トムクルーズにさからうと2ちょうけんじゅうで殺されてしまいます。
あつし君は大事なゆうぎおうのカードをとられてしまいました。
おじさんってば、いつのまにポケモンからのりかえたんだろう。
ずいぶんはやくトムクルーズになれたみたいだけど
ゆうぎおうのカードをとるのはいただけません。
ぼくからピカチューをうばうようなものです。ひどすぎます。
これはひとこと言わなければいけません。
村上さんが言ってたのを思い出しました。
トムクルーズ゙がぬすんでいいのは女のハートだけだって。
・・・おじさんにはムリっぽい。
→第6週「偽物」