ストーリー 僕の日記

第7週「苦渋」


10月9日 月ようび あめ
せっかくのあめなのに学校がやすみです。
あしたあめがやんだらあいつがやってきてしまいます。
やっぱりみつぎものしなきゃいけないのかな。
でも持っていかないとトムクルーズにインタビューされちゃうから。
ぼくのだきつきピカチュー。あいつのうでなんかにまいたらちぎれます。
ぼくのピカチューざぶとん。あいつがすわったらつぶれちゃう。
ぼくのピカチューだきまくら。あいつがだきしめたらあせがじっとり。
おじさんっぽいあのにおいがピカチューに。
イヤだ・・・


10月10日 火ようび はれ
きょうからぼくもアキヤマファミリーのいちいんです。
ボスのアッキー様にはていきてきにみつぎものをしなくちゃいけません。
きょうはぼくのおきにいりだった、てのりピカチューをみつぎました。
これでぼくも晴れてみんなと同じなやみをきょうゆすることになりました。
これからはあつし君となぐさめあう毎日です。だれもボスにはさからえません。
ボスのふとりっぷりはおじさんにはおとるけどかなりすごいほうです。
いぜん「デブ」って言った子はすごいいきおいでたたかれたらしい。
ぼくは思わず「ブタ」って言ってしまいそうでした。
言ってたらなにをされてたかわかりません。
気をつけないと。


10月11日 水ようび はれ
ボスのたわむれにおつきあいしなきゃいけないので
みんな家にかえるのがおそくなってしまいます。
ボスはあらくれものにふんして女の子をおっかけるのがにっかです。
ぼくたちおとこはそれをうらやましがらなければいけません。
でもさいきんはそれだけではふまんなんだそうです。
「小学生じゃとしまだ。じだいはようじょだ。」って。
妹がいたらつれてくるようにめいれいされました。
へんたいです。


10月12日 木ようび はれ
きょうはあつかったのでボスがとってもにおいました。
おじさんを思い出してなつかしかったけどいい気分はしませんでした。
あつし君がきのう言われたとおり妹のまきちゃんをつれてきてました。
まきちゃんもおじさんっぽいあのにおいがダメだったらしく
「この人くさい。」とつめたくいいはなってました。
でもボスはそんなまきちゃんを気に入ったようでした。
ボスはようじょになじられることがかいかんらしいのです。
まきちゃんが「ブタさん。」とか「おにく。」とか言うと、かえってボスはよろこびます。
あげくのはてにボスは「まき。きょうからボクをおにいちゃんとよべ。」などと
ほざかれていらっしゃいました。まきちゃんを見る目がいようにぎらぎらしています。
もうついていけません。


10月13日 金ようび くもり
だぁいピンチッ。
レイクエンジェルにまかせたいです。
あつし君とボスのやりとりがぼくのうんめいをきめました。
「なんできょうもまきをつれてこないんだ。」
「ボスのにおいがいやだって言って・・・。」
「むりやりでもつれてこい。」
「むりです。あいつはいちどきらいになったものはぜったいうけつけません。」
「いいからつれてこい。めいれいだ。」
「むりなんです。あいつ、いやなことにはぜったいうごかないんです。」
「・・・そうか。ならすきなものならいいんだな。」
「はい。すきなものにはすぐにとびつきます。」
「かわいいやつだ。」
「そうでしょうか。」
「よし。じゃぁまきタンのすきなものはなんだ。」
「えっと・・・ピカチューです。」
ぼくのピカチューマスターズコレクションがすべてぼっしゅうされることにきまりました。
泣きそうです。


10月14日 土ようび はれ
こうえんでボスがまってます。
でもぼくはいけませんでした。ピカチューたちがぼくをかなしいめでみるんです。
ボクヲステルノ?ミステルノ?心のこえがきこえてきます。
おしゃべりピカチューたちがぼくをせめたてました。
ピッコリピコチューもすぐにきえてしまいそうなさみしい光をはなってます。
バイブDEピカチューなんかはきょうふのあまりガタガタふるえてました。
こんなけなげなやつらをボスにわたすなんて・・・
ぼくはみんなにあやまりました。わがみかわいさにみんなをてばなそうとしたことを。
ごめんよぼくのピカチューたち。これからもずっと。ずっといっしょだよ!
ダッチピカチューとはげしくだきあい、あついゆうじょうをたしかめあいました。
にげない。


10月15日 日ようび こさめ
あつし君によばれてこうえんに行くとボスがいました。
「ピカチューはどうした。なんでもってこないんだ。」
ぼくはくちびるをかみしめてずっとうつむいてました。
ここがしょうねんばです。もうボスのいいなりにはならない。
「しんいりのくせになまいきだぞ。」とかなじられたけど、ぼくはなにも言いませんでした。
ボスはだんだん声をあらげてさけびはじめました。
「フォロォォーミィィー!!」
みんなはしぶしぶ「おー。」って言ってたけどぼくだけはしたをむいたままでした。
ボスがとうとう切れました。
「お前もうゆるさねぇ!トムクルーズよぶぞ!かくごしておけ!」
そう言い残してはしりさりました。あつし君たちはしんぱいそうにぼくを見てます。
そのなかでぼくはひとり、心のなかでかくごをきめてました。
トムクルーズとたたかうよ!


第8週「白熱」