絶望世界 もうひとつの僕日記

第2部<外界編>
第11章


第41週

2月18日(月) 晴れ
遠藤との会話
「ねぇねぇもう何かアクション起こした?まだだよね?抜け駆けしてないよね?」
「僕はまだ何もしてないですよ。というか何をしたらいいかまだわからなくて。」
「そうだよねそうだよね。ボクも初日から飛ばそうと思ったけど何て電話したらいいかわからなくて。」
「遠藤さんはもう顔見知りなんだから平気じゃないですか?」
「それが逆にネックなんだよ。知り合いだと余計に話題に気を使っちゃってさ。
だって聞きたいことって最初に会ったときにほとんど聞いちゃったし。」
「なんとなくわかりますよ。中途半端な知り合いだといきなり電話するのって何か気まずいですよね。」
「勘違いしないでよ中途半端じゃないよ立派な知り合いだよそれ以上だよ間違いないね本当に。」
「でもすぐに電話かける必要は無いんじゃないですか?」
「いやいやいやいやわかってないなぁ。聞きたいんだよ。あの子の声を。
草原にとどろく小鳥の歌声を聞いて癒されたいのと同じことサ。ユーアンダースタン?」
「はぁ。まぁそれなら非通知でかけるってのはどうでしょう。声だけ聞いて切っちゃえばいいわけだし。」
「ふおおおおおおおおおおおおおお!?いやそれはマズイよやれないよそんないやでも、え?あ、う・・」
「そんな焦んなくていいですよ。じっくり考えてからやればいいじゃないですか。」
「うん・・・・。」


2月19日(火) 晴れ
遠藤との会話
「聞いて聞いて聞いて聞いて!今日ね。電話しちゃった!」
「あ、本当にかけたんですね。非通知ですか?」
「うんうんうんうん。いやーナイスアイデアだったよ。『もしもし』とか言って。サッキーの声、やっぱかわいかったぁー。」
「何か言ったんですか?」
「いや。声を聞いたら切っちゃった。お話ししたかったんだけどやっぱり話のネタが思いつかなくて。」
「へぇ。」
「うーんやばい。癖になりそう。また明日もやろうっと!」
「遠藤さん。二回目はマズイですよ。」
「ええええ?なんでぇ?」
「不審な行為が重なると、イザ近づこうとした時に怪しまれますよ。それだと困りませんか?」
「う・・・非常に困る・・・。」
「ですよね。だから今は堪えた方がいいですよ。」
「ううー。一回だけだとわかってたらもっと声を聞いてたのにぃ・・。」
「仕方ないですよ。」
「ぶー。わかったよぅ。あ、ところでさぁ。他のみんなはどうしてるか知ってる?」
「いや、知らないですね。」
「気になる?」
「別に。」
「僕はすごい気になるんだよだってたむちゃんは一番近いとこにいるしぐっちーなんか何やらかすかわかんないし
それにアッキーが特に怖いんだよあいつ先走って迫っていかないか心配でねぇアッキーの電話番号知らない?」
「秋山君は携帯持ってないですよ。」
「アッキーのメールアドレス知ってる?」
「知ってますよ。」
「じゃあさじゃあさちょっとお願いがあるんだけど一生のお願いなんだけど心のそこからの頼みなんだけど。」
「何ですか?」
「アッキーは何しようとしてるのかちょっと聞いてくれないかなぁ。いやホントはボクが直接聞きたいんだけどさ
アッキーがさボクを妙にライバル視してるからさボクから聞くと本当のこと教えてくれなさそうだからさ仕方なく。」
「いいですよ。メール送りますよ。」
「本当!?アリガトー!!!もう是非お願いするよー。」


2月20日(水) 曇り
秋山との会話
「メール読みましたよ。」
「ああ、ごめんね。わざわざ電話してくれたんだ。それで、どう?うまくいってる?」
「それがちょっと壁にぶち当たってしまって。」
「あらま。どんな?」
「最初の切り出し方が思いつかないんですよ。」
「秋山君はもう顔見知りだから平気なんじゃないの?」
「それが逆にネックなんですよ。知り合いだと余計に話題に気を使っちゃうんですよね。」
「あーわかるよ。中途半端な知り合いだといきなり電話するのって何か気まずいよね。」
「中途半端じゃありません。いや、でもニュアンス的にはあってるかも・・まぁそんな感じでしょうかね。」
「いいんじゃない?田村さんに電話番号教えてもらいましたって言えば。」
「でもいきなり電話したら怪しいじゃないですか。下心あるんじゃないかとか思われちゃいますよ。」
「そっかなぁ。。そしたら前に行ってた『謝りにに行く』ってのは何て言うつもりだったの?」
「それを・・・言われると辛いんですよ。今でも謝りに行きたいって気持ちでいっぱいなんですが
ゲームに参加するにしても謝りに行くにしても、やっぱり何て切り出せばいいかわからなくて・・・。」
「ははは。そうだったんだ。」
「後で考えればいいやって思ってたんですけど・・・イザやるとなると難しいですね。」
「そんなもんだよ。まああまり焦っても駄目だろうし。じっくりやった方がいいね。」
「それがいいんですけど・・・できれば早めにやりたいんですよね。」
「なんで?」
「心配なんですよ。川口さんとか。なんか無茶して怖いことしそうな気がするんですよ。」
「確かに」
「あと遠藤さん。あの人絶対早紀さんに惚れてますよ。早紀さんの話する時目の色変わってますから。危険ですよね。」
「あーそれは有るかもね。けど別にいいんじゃない?誰を好きになるかはその人の勝手だよ。」
「そうかもしれないですけど。それでも遠藤さんはヤバイじゃないですかー。」
「そっかなー。」
「それに妙に僕のことをライバル視してますよね。あの人こそ抜け駆けしそうですよ。
今どうなんでしょう?遠藤さんはもうアプローチはしたんでしょうか?」
「うーん僕にはわからないなぁ。」
「そうですか・・・。あー僕も早く動かないと。」


2月21日(木) 曇り
遠藤との会話
「どうだった?どうたっだ?アッキーもう何かやってた?」
「いや、僕らと同じですよ。やっぱり出だして詰まってました。どうやって話を切り出せばいいかわからないって。」
「だよねだよねだよねだよねボクらが悩んでることにアッキーができるわけないもんね。」
「あとあっちも遠藤さんの動きを気にしてましたよ。」
「げぇぇぇぇ。やっぱりボクのことライバルだと思ってるんだ。やばいー。僕も早く動かないとー。」
「先越されちゃいますよね。他の人はどうしてるんだろ?」
「ね!気になるよね。たむちゃんは別にいいんだよ。だってゲームの主催者だから。
まさかたむちゃんまでゲームに参戦してくるなんてことないよねぇ。」
「さぁ。そう言えばそこハッキリしてませんでしたよねぇ。田村さんも参加するんじゃないですか?」
「ええええええええ。そんなぁそしたら圧倒的に有利じゃんいつも一緒にいるんだから。ずるいよずるいよー。」
「いや僕に言われても。でも田村さんも逆に厳しいかもしれませんよ。
昔の傷を引っかくのって友人の立場の方が辛いと思うんですよ。」
「ほほーう。興味深いこと言うね。というとボクにも充分勝ち目はあると?」
「もちろん。」
「いいねぇいいねぇ!で、で、ぐっちーはどうかなぁ。親しいんでしょ?何か情報入ってない?」
「いやみんなで集合した時以来まったく連絡取ってないです。
あいつ何かと一人で動くから。なかなか情報入ってこないんですよ。」
「そっか・・・。これからも連絡取る予定は?」
「ないです。」
「ううーどうしよう。ボクだけ取り残されるぅぅ。」
「大丈夫ですよ。じっくり考えてれば必ず突破口が見えるはずですから。」
「だよねだよね。一緒にじっくり考えようねぇぇぇ。」


2月22日(金) 晴れ
川口との会話
「どうした。何か進んだか?」
「いやぁ。ゲームがちょっと詰まっちゃってね。そっちはどうしてるかなと思って。」
「何だよ。何で詰まってるんだよ」
「せっかく電話番号教えてもらったんだけどさ。いざ電話かけようとしても何て話せばいいかわかんなくて。」
「確かにお前は話すことないよなぁ。まだ岩本嬢に会ってないんだし。」
「それが他の二人も苦労してるみたいだよ。遠藤さんも秋山君もまだ電話できてないって。」
「何だ何だ。あいつら意外と気が弱いな。気にせずガンガンかけちまえばいいのに。」
「お料理会の時は田村ちゃんも一緒にいたからねぇ。一対一じゃ会話できないんだよ。」
「まったくこれだからオタク野郎は。せっかくゲーム始めたのに動いてるの俺だけじゃねぇか。」
「あれ。もう何かやってるの?」
「まぁな。俺は電話なんかする気はないからさ。とりあえず家の調べはついたってとこだな。」
「もう現地に行ったのかよ。」
「そうだよ。住所さえ調べればネットで地図出せるだろ。後はその付近で岩本家を探すだけ。簡単だったよ。」
「どんな家だった?」
「普通の一戸建てだよ。さすがに処刑人だからって変な家に住んでるわけじゃねぇよ。」
「処刑人にはもう会えたの?」
「いやそれはまだ。今度家の前張るつもりだったけど。でもまだ早いな。他の奴らが足踏みしてるんじゃ面白くねぇよ。」
「田村ちゃんはどうなんだろ。というかあの子も参戦してんのかなぁ。」
「一応してるよ。しろって言ってあるから。まぁやる気は無いだろうけどね。」
「そっかぁ。僕はどうしようかなぁ。正直な話、最後にみんなが集まるときにその場にいれれば別にいいんだけど。」
「参加しろって。ネタバレ披露するのは岩本嬢の口から『処刑人』の言葉を出した奴の特権だぞ。」
「確かにネタバレ語る時が一番気持ちいいんだよなぁ。」
「だろ?それにゲーム参加者は多いほうが楽しいからさ。お前もゲーム盛り上げるのに協力してくれよ。
『最近周りの様子がおかしい』って疑心暗鬼になってる時の顔ってのも格別だから。」
「わかった。僕も別のアプローチ方法考えてみるよ。」
「頼んだぞ。」


2月23日(土) 晴れ
田村ちゃんとの会話
「師匠ー。聞いてくださいよー。」
「電話くれたと思ったらいきなりそれか。何?言ってみな。聞いてあげるから。」
「へへへー。ありがとー。」
「何かあったの?」
「そーなんですよー。今日ねー。面白いことがあったんですよー。」
「面白いこと?」
「そーなんですよー。私ねー。いきなりゲームに勝っちゃったんですよー。」
「ゲームに勝ったって・・・え!?まさかあいつに『処刑人』って言わせたの!?」
「そーなんですよー。しかもあっちから言って来たんですよー。私もびっくりしちゃってー。」
「どんな状況だったの?」
「それがですねー。最近ちょっと無視してたらー。今日私のトコにやってきてー。いきなりこんなこと言ったんですよー。
『私、処刑人でもいいよ。』だってー。もう超びっくりー。それにねー。他にも色々言うんですよー。
公子とか聡子とか亜紀とか岡部先生のこととかごめんなさいって。私にも謝ってたしー。」
「それってつまり・・・全部認めたってこと?」
「そーなんですよー。そんな感じでしたー。早紀ったら馬鹿ですねー。今更そんな言ったってねー。」
「そうか・・・。」
「でもねー。私このことみんなに言うつもりないんですよー。みんなはゲーム続けてくださいねー。」
「え?いいの?せっかく勝ったのに。」
「いいんです別にー。だってこのまま終わったんじゃ面白くないじゃないですかー。
私はあんな辛い目に会ったのにあの子だけこれでおしまいなんて納得できないですよー。
せっかくみんなに参戦してもらったのに私で終わっちゃ意味ないですよー。
早紀にはもっと痛い目にあってもらわないと採算合わないですよ。私はずっと耐えてたんだから。
早紀の暴力に耐えてたんだから。川口さんにだって耐えたんだから。復讐の為ならって。仕方なく。なんで私だけ・・・。」
「田村さん大丈夫?涙声になってるよ。」
「そんなこと・・・ないです・・・。」
「きっと疲れてるんだよ。もう休みな。」
「・・・はい・・・・。」


2月24日(日) 晴れ
川口との会話
「よう。何か思いついたか?」
「いや駄目だね。まだ全然。そっちは進んでる?」
「ああ。最近は学校付近うろついて岩本嬢らしき人物探してるよ。
田村ちゃんと一緒に帰ってるだろうから、一度顔を拝んでおこうと思ってね。」
「学校の近くって結構やばくない?前から何度かウロウロしてるんだろ?生徒に話し掛けたりとかも。」
「おいおい。そんな時代遅れなこと言うなよ。いまどき女子高の近くに男がうろつくのなんて当然なんだから。
俺なんか全然かわいい方だよ。話し聞くだけだろ。普通だったらお持ち帰られるところだぞ。」
「そっか。そうだよなぁ。でも考えてみると怖いな。普通にナンパ目的の男がうろついてると思いきや
中にはネットで狙いを定めて近寄ってきてる奴もいるなんて。見ただけじゃわかんないからなぁ。」
「そこが楽しいんじゃないか。ネット越しだから安心だと思ってるところに、ひょこっと姿を現すのがソーシャルの醍醐味なんだよ。
『まさか現実世界に来るとは思わなかった』って時の表情はたまんないね。」
「やったことあるのか?」
「何度かね。ほらよくあるじゃん。アングラサイトで個人情報暴露されるの。
俺そーゆうの見つけると真っ先に電話かけるんだよ。住所で出た奴なんか間違いなくソシャルするね。」
「悪趣味だなぁ。」
「へへ。お前も好きなくせに。だから処刑人を見守る会だなんてのにも参加したんだろ?」
「まあね。」
「だよな。なら楽しもうぜ。俺今回のにはかなり気合入ってるんだよ。何しろ相手はかの有名な処刑人だからな。
それにいつもは一人でやってたからさ。複数で罠にかければ絶望感も倍になるんだろうなぁ。あー楽しみだ。」
「楽しみだね。」



第42週
2月25日(月) 晴れ
秋山との会話
「どうしたの?わざわざ電話してくるなんて珍しいじゃん。」
「ヤバイですよ。問題が起きました。」
「何かあったの?」
「はい。今日早紀さんに電話したんですよ。一応名目としては『またお料理会しましょう』ってことで。
散々考えて結局こんな普通のことしか思い付かなかったんです。でもいい加減何かしないとと思って。」
「あ、電話かけたんだ。どうだった?」
「そ、それが失敗しちゃったんですよ。早紀さん、なんかやる気ないんですよ。最近忙しいとか何とかで。
食い下がったんだけど『またの機会にして』とか言われちゃって。前はあんなにやる気だったのにどうして・・・。」
「あらら。料理ネタで食いつかないと痛いなぁ。」
「そうっすよ。僕ら一応田村さんとは料理つながりってことにしてあるじゃないですか。
だからお料理会でもしないと会う機会ないですよ。料理関係の名目が無いと会えないですよ。」
「普通に映画でも誘ってみれば?お友達感覚で。」
「勘弁してくださいよ!だって相手は年上だし処刑人だし映画に誘うだなんてデートに誘ってるみたいだし
それに何かの拍子で僕が早紀さんに気があると思われたらいやこれは本当に好きなのかとかそんな問題じゃなくて。」
「まぁとにかくお料理会が使えないんじゃ別のアプローチを考えるしかないよねぇ。」
「そ、そ、そうなんですよ。だから相談しようと思って。」
「うーん僕も料理人キャラで売ってたから今更他のアプローチって言われても厳しいなぁ。」
「で、でも他に何かあるはずですよ考えてくださいよ。思い付いたら教えてくださいねねね。い、い、一緒に行かせで下さい。」
「わかったわかった。だから焦んないで。僕も良さそうなの考えてみるよ。そしたら一緒にやってみよう。」
「お、お願いします。」


2月26日(火) 晴れ
遠藤との会話
「遠藤さん聞いてくださいよ。秋山君失敗したらしいですよ。」
「え?え?何なの?アッキー何やらかしたの?」
「それがですね。昨日とうとう処刑人にアプローチしたらしいんですよ。お料理会に誘う名目で。」
「あーーーー!その手があったかーーー!くそうくそう深く考えすぎたそれなら簡単・・・」
「いや感心しない方がいいですよ。何しろこれで失敗したんですから。」
「えええええ?なんで失敗したのぉぉぉぉ???」
「どうも処刑人の方がお料理会への興味が失せてきてるらしいんですよ。
秋山君の話だと、なんかあまりやる気がないような感じだったって。」
「まじぇすか??いやまさかそれはおかしいよ。だって早紀ちゃん、お料理会すっごく楽しそうにしてたもん。
ボクの作った料理もおいしそうに食べてくれてたもん。キッチンに立ってる姿かわいかったもん。」
「そのまさかなんですよ。それで秋山君も戸惑っちゃったんでしょうね。」
「げぇぇぇぇぇぇぇ。そんなこと言われても困るよう。早紀ちゃんいつからそんな子になっちゃったんだよぅ。」
「でも、これって逆にチャンスなんじゃないですか?」
「は?チャンス?どして?」
「遠藤さん、これですごくアプローチしやすくなったじゃないですか。」
「??なぜぇ??」
「考えてみて下さいよ。遠藤さんが今思ってること、そのまま言えばいいじゃないですか。こんな感じで。
『秋山君から聞いたんだけどさぁ。お料理会にあんまやる気ないんだって?どうしたの。何があったのさ。』」
「『何か悩み事でもあるの?良かったらボクが相談にのるよ・・・』」
「そうそうそんな感じ。いいじゃないですか。バッチリですよ。しかも話の展開ではかなり深く親しくなれますよ。」
「・・・・・・・・・もらっていい?」
「え?」
「このトーク、頂いていいかしら?」
「ああ。どうぞどうぞ。ガンガン使っちゃって下さい。」
「よっしゃああああああああああああああああああ!!!これイイ!イイよ!!絶対ハマる!!明日早速使うさ!!!!」
「使って使って。じゃ、頑張って下さいね。」
「うん!!!!!!!!!!!!!」


2月27日(水) 曇り
遠藤との会話
「ややややばいよやばすぎるよどうするよ。」
「どうしたんですか?」
「早紀ちんホントにやる気ないよいくら誘っても全然その気になってくれないよ遊ぼうよって何度も誘ったのに
最近疲れてるから休みのときはあまり外出たくないんですとか言って話を聞いてくれなくて。」
「うわ。ホントだったんだ。お料理会に乗ってこないとキツイですよね。他にいい名目がないし。」
「だよねだよねどうしたらいいかなどうしたらいいかな。」
「うーん僕も考えますけど・・・遠藤さん。なるべく早く手を打たないともっとマズイことになりますよ。」
「え?え?これ以上マズイこと?」
「はい。実はね、秋山君はもう動き出そうとしてるんですよ。」
「なっにいいいいいいい!?アッキーがぁあああああああ??」
「秋山君、もう直接会いに行こうかってくらいの勢いでしたよ。」
「だめだだめだだめだアッキーなんかに先を越されちゃだめだ早紀ちんアッキーなんかに会っちゃだめだよ。」
「彼も結構強引ですからねぇ。先走ったら怖いですよ。事情全部説明して自分だけ味方になろうなんて考えてるかも。」
「そんなの卑怯だよ!チャンスはみんなに平等だよ!!」
「まだわかんないですけどね。秋山君は平日は動けないだろうから猶予はあるかも。
学校帰りに寄っても大して時間は取れないだろうし。いや、それでも敢えて顔出ししてアピールするって手も・・」
「ふざけてる!!早紀ちんはそんな姑息な真似に引っかからないよ!引っかかっちゃだめだよ!」
「ならその前になんとかするしかないですね。秋山君より先に遠藤さんが味方になればいいんですよ。」
「確かに!早紀ちんの味方はボクしかいないからね!他の奴らなんかに手を出させないからね!!」
「明日また電話した方がいいですよ。それがアピールにもなるし、何度も誘えば気も変わるかもしれない。」
「うん!!!!!!!!!」


2月28日(木) 晴れ
遠藤との会話
「うわああああああああああああんん!!!!」
「何ですかいきなり大声で。」
「早紀ちんがああああ!!早紀ちんがああああああああ!!」
「泣いてたってわかんないですよ。どうしたんですか?」
「早紀ちんがあああああ!!『もう電話しないで下さい』ってえええええええええええ!!!」
「あー・・・・非常にヤバイですね。」
「しかもその後電源切られちゃってえええええ!!連絡も取れないんだよおおおおおおう!!!」
「うわ。完全に嫌われてますよ。」
「ひいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!そうなのかなああああああああ!!」
「間違いないですね。話し方に問題あったんだと思いますよ。」
「そんなまさか気を使って愛情たっぷり注いでたのに有りえない有りえない。」
「でも現実問題として無視されちゃってるワケですから。それは受け止めないと。」
「うぐぐぐぐ聞こえない聞こえない。」
「とりあえずマズイのは確かですよ。あいつもとうとう動き出したらしいんで。」
「あいつって・・・・?アッキー?それともまさか・・・・。」
「川口です。さっき連絡あって、今度襲撃するとか何とか言ってました。」
「しゅしゅしゅ襲撃いいいいい!!!???何だよぐっちーの奴ボクの早紀ちんに何する気だよ!!!!」
「さぁ。何するかはわかんないです。武器を用意したとかは言ってましたけど。」
「ふおおおおおおおおおおおおお!!!!!!なんじゃそりゃあああああああ!!」
「秋山君もそろそろ足を運びそうですからねぇ。僕らもうかうかしてられないですよ。負けちゃいますよ。」
「負けれない!!これは絶対負けれない!!」
「僕らも会いに行きますか?」
「もちろん!!早紀ちんはボクが守る!!共に戦おう!!!」


3月1日(金) 晴れ
秋山との会話
「ごめんね。自宅に電話しちゃって。」
「いやいや構わないですよ。でもよく番号わかりましたね。」
「この前電話もらったときに履歴が残ってたから。」
「なるほど。で、何か進展ありました?よい方法思い付きました?」
「うん、まあね。」
「ホントですか!?教えて下さいよ僕にも一緒にやろうって約束だったじゃないですか。」
「もう直接会いに行くしかないね。それが一番手っ取り早いよ。」
「え?いや、あ、それはその・・マズイんじゃ・・・ちょっと・・・。」
「恥ずかしいの?」
「いやいやいやいやそんなんじゃなくてその、あの、アレですよホラ。
いきなり会いに行っても相手にしてくれないんじゃないかなって。」
「電話でもあまり相手にされなかったんでしょ?なら同じだよ。むしろ面と向かって話したほうが話が伝わるって。
どんだけうまいこと言ったって電話だと切られたら終わりじゃん。それじゃ先に進めないよ。」
「う・・・でも・・・。」
「それに、あまりうかうかしてられないんだよね。遠藤さんも川口も直接会いに行くって勢いだよ。」
「ホントですか!!??や、やばいっすよ。あの二人どっちも危険ですよ!早紀さん絶対変な目に合わされいますよ!」
「それが嫌なら僕らが何とかしないとね。」
「そうですよ。そりゃそうなんですけど・・。」
「まぁ僕なんかはさ、一度も会ったことないからいきなり電話したって絶対相手にしてもらえないんだよ。
直接行くしか選択肢が無くてね。誰かと一緒ならまだ何とかなるかなって思って。」
「え?誰かって?」
「何言ってるんだよ。秋山君、キミだよ。一緒にやろうって言ったじゃないか。」
「え、あ、確かに・・・。」
「まさか良い方法だけ教えてもらって後は自分でやろうとか思ってた?」
「いやいやいやいやいやまさかそんなこと考えもしないですホントにホントです信じてくださいホントなんですから。」
「まぁむしろお願いしたいくらいなんだよ。僕は一人じゃ会いにいけないから。秋山君、一緒に行ってくれるよね?」
「は、はい。行きます。あ、でも田村さんとかはどうなんですか?僕よりあの人と一緒に行ったほうが信用としては・・・」
「田村さんはゲームに参戦してないから。」
「そうなんですか!?し、知らなかった・・・。」
「だから僕らでやろう。ね?」
「はい。い、行かせて頂きます。」


3月2日(土) 曇り
川口との会話
「どう?進展あった?」
「おう。とうとう岩本嬢の顔を拝んだよ。」
「すげぇ。どうやって見たの?」
「それがさぁ。てっきりいつも田村ちゃんと一緒に帰ってると思ってたんだけど、どうもそうじゃねぇみたいなんだよ。」
「ホント?何かあったのかな。」
「さぁ。学校張ってたら田村ちゃんが一人で歩いててよ。捕まえて聞いてみたら『早紀はもう一人で帰ってる』ってさ。
理由を聞いても『よくわかんない』の一点張りで話になんなくて。あの女ホント使えねぇなぁ。」
「じゃあどうやって処刑人を見たんだよ。紹介でもしてもらったの?」
「それだとソシャルになんねぇじゃん。俺的にはやっぱいきなり現れて『あなた誰?』ってな展開になって欲しいワケよ。
疑心暗鬼にさせるのは秋山と遠藤とお前の仕事。俺はトドメの役。まぁそんな予定だったもんでね。」
「おいしいトコ取りかよ。嫌らしいなぁー。」
「あくまで理想だよ。けど負けるの前提で動いたってゲームは面白くないだろ?勝った時のイメージを持って動かないと。」
「それで結局どうやって顔拝んだんだよ。」
「ああ、それは簡単。もう家の付近を張ってたよ。かなり怪しかったけどこればっかりは仕方ないね。
田村ちゃんと同じ制服着てる子が来ないかチェックしてたってワケ。そしたら来たよ。バッチリと。家に入るのまで確認した。」
「で、どうたった?どんな顔だった?」
「マトモだったよ。というかあれは結構かわいい部類に入るね。遠藤と秋山が熱を上げるのもわかる気がする。」
「へー意外だな。なんでそんな人が処刑人になっちゃったんだろうね。」
「人の心は見た目じゃわからないってことだよ。で、お前の方はどうだったんだよ。この一週間連絡もよこさず何やってた?」
「ずっと一人で悩みっぱなしだよ。どうやってもアプローチ方法が見つからない。」
「おいおいそんな面白くないこと・・。」
「だから襲撃しようと思うんだ。」
「・・・。」
「もうアプローチ無しでもいいかなって思って。ナイフでも突きつけて脅せば何とかなるんじゃないかなぁ。」
「一言だけいいか?」
「何?」
「やっぱお前が一番ワルだよ。」
「そうかなぁ。」
「そうだよ。なぁ、何時行くか決まったら教えてくれないか?」
「何?一緒に行く?」
「ああ。是非同行させてくれ。」
「わかった。連絡するよ。」


3月3日(日) 晴れ
田村ちゃんとの会話
「今度さ。みんなで処刑人さんに会いに行くことになったよ。」
「そうですか。頑張ってください。」
「田村さんも来る?」
「いや、私はいいです。」
「ゲームが終わる瞬間とか見たくないの?」
「見たいです。でもそれ以上に川口さんに会いたくありません。」
「なるほどね。でも他のみんなもいるよ?」
「他の人にも会いたくありません。みんな勝手にやればいいんです。」
「勝手にやったらヤバイんじゃないの?」
「もういいです。どうでもいいです。早紀が破滅してくれればそれでいいです。」
「破滅・・・ね。」
「破滅した瞬間は見れなくてもいいんです。破滅した姿さえ見れれば。」
「具体的にどうなるのか想像つく?」
「つかないです。でもとにかく破滅してしまえ。」
「そうなればいいね。」
「はい。」
「でもきっとならないよ。」
「そんなことないです。」
「そうかな。」
「そうです。」



第43週
3月4日(月) 晴れ
遠藤との会話
「昨日日曜日だから会いに行くと思ったのにいいいい!!!電話鳴るの待ってたのにいいいい!」
「すいません連絡遅くなりまして。いや、休日より平日がいいと思ったんで。」
「え?え?なんでえ?日曜日の方がたっぷり遊べるよ?」
「だって電話もせずいきなり会いに行くんですよ?どこか外に出てたらどうするんですか。」
「それを言ったら平日だって・・・。」
「考えてみて下さいよ。学校が終われば必ず家には帰りますよね。休日より平日夕方の方が家に居る確率高いんですよ。
それに僕らには田村さんがいるじゃないですか。一緒に帰ってるんだから確実に家に帰す誘導は造作ないです。」
「ほぉ・・・なるほどぅ。で?で?いつ会いに行くの?」
「明日行きます。田村さんにはうまくやるようにもう頼んであります。遠藤さんの都合はどうです?」
「も、も、もちろんオッケーよ!早紀ちんのためならいつでも行くさ!!!!
けどさぁ。いいの?たむちゃんライバルなのによく協力してくれたね。」
「ああ、別に構わないって言ってましたよ。むしろやれるもんならやってみなさいって感じでした。」
「くうう。挑発してくれるねぇ。ボク頑張っちゃうよぉ」
「じゃ、明日お願いしますね。待ち合わせはどっかの駅がいいですよね?」
「そだね。近くの駅を知ってるからそこにしよー。ちゃんと調べといたんだよ。おおおう。緊張してきたぁ。」

秋山との会話
「ごめんね。また自宅に電話しちゃって。」
「いや、いいですよ。それよりいつ行くんですか?来週の日曜ですか?」
「明日の夕方行くよ。あれ?休日の方が良かった?」
「あ、明日ですか!?え、え、急じゃないですか!?僕は休日のつもりでいたんですけど。」
「いやいや。善は急げって言うじゃないか。平日だってどうせ学校終わったらヒマなんでしょ?」
「は、はい。一応。」
「ならいいじゃん。休日に押しかけるより『学校帰りにたまたま寄った』って方が自然だと思うよ。」
「そ、そうですかね。でもそもそもいきなり家に押しかけるのはちょっと・・・なんで住所知ってるのかって聞かれたら・・」
「田村さんに教えてもらったって言えばいいじゃん。今更尻込みしたって仕方ないよ。」
「ご、強引じゃないですか?」
「秋山君。もう綺麗にことを進めることなんてできないんだよ。多少強引でもやらなきゃ。
でないと遠藤さんか川口に先越されるよ。それでもいいの?」
「う・・・それは・・。」
「じゃぁ決まり。明日行くよ。待ち合わせはどこがいいかな。近くの駅でいいよね。」
「あ、はいもちろん。場所は知ってるんですか?」
「うん。ちゃんと調べはついてるよ・・・」


3月5日(火) 晴れ
遠藤との会話
「やばいですよ遠藤さん。もう駅についてますか?」
「まだ電車だよぉ。待ち合わせまだ時間あるでしょー。でででどうしたの?何かあったのぉ?」
「それがヤバイんですよ。さっき秋山君から連絡があったんですよ。」
「アッキーから!!?何だって????」
「今日処刑人に会いに行くって。ヤバイですよ。思いっきりブッキングしちゃいましたよ。」
「なっにいいいいいいいッッッ!!!??」
「タイミング良すぎですよね。見事なくらい。まったくなんで今日に限って・・」
「ぬぬぬぬアッキーの奴なに考えてるんだよなんでわざわざボクの邪魔するんだよ。」
「僕誘われたんですよ。今から行くけど一緒にどうですかって。もちろん断ったんですけど。
それでも秋山君は一人でも行くって言ってましたよ。どうしましょう。このままだとかち合っちゃいますよ。」
「やめるわけにはいかない!!ボクは行く!アッキーなんかに先を越されてたまるか!!!」
「確かに今なら充分間に合いますね。でもどうかな。先に処刑人の所に行ったら後から絶対来ますよ。」
「その時は・・・・戦う!撃退してやるさ!」
「あ、でももっと良い方法がありますよ。」
「良い方法?」
「そうです。無理に処刑人の前で戦う必要ないじゃないですか。駅で待ち伏せしてればいいんですよ。
どうせ秋山君も電車だろうし。ノコノコやってきたところをとっ捕まえて先に消しちゃえばいいんじゃないですか?」
「ほほぉぉうう。」
「そしたら気兼ねなく処刑人に会えるでしょ。その方がいいですよ。」
「うんうんうんうんうんキミはなかなか良いことを考えつくねぇ是非そうさせていただくよ。」
「急いだほうが良くないですか?余裕かましてると秋山君の方が先に駅についちゃいますよ。」
「大丈夫大丈夫もうすぐつくからボクは既に迎撃モードスイッチオンだよ。」
「あ、僕は時間的に間に合いそうに無いから今回は遠慮させて頂きます。
遠藤さんが戦ってる間に僕だけ先を越すのは悪いですから。だからじっくりやっちゃって下さい。」
「了解したッッッッ!!!」


3月6日(水) 雨
遠藤との会話
「逃げられたよう逃げられたようくそうくそうアッキーの奴足早いよう一晩中探したのに見つからなかったよぅ。」
「ホントですか?それヤバいですよそれ。逆に刺激を与えちゃいましたよ。」
「最初はちゃんとうまくいったんだよぅうまいこと電車降りてくるとこと捕まえたし駅の裏に連れ出すこともできたし
そこでちょっと脅してやったんだよ『早紀ちんに近づくな』ってそしたらアッキーの奴『イヤだ』とか言い始めたから
それで僕怒っちゃって言うこと聞かないとこうだぞって鼻に噛み付いたらアッキーの大声あげやがって
周りの人はこっちを見るし僕も驚いちゃってどうしようかと思ってたらアッキーの奴走り出してそれで僕も後を追って・・。」
「とにかくこのまま放っておくわけにはいかないですよ。秋山君よからぬこと考えてたから。」
「どどどんなこと考えてたの???」
「いっそのこと処刑人を連れ出そうとか何とか。中学生のくせに生意気なこと言いますよね。」
「はああ??何バカなこと言ってんのぉぉ!?ガキが調子に乗りやがってぇぇぇからに。許せない許せない許せない。」
「そう言えば僕、秋山君の自宅の電話番号知ってるんですよ。」
「え???」
「携帯に電話くれたときに番号残ってたんですよ。これがあればハローページで自宅を探せるかもしれないですね。」
「ちょ、ちょ、ちょっとそれ教えてもらって良い?」
「いいですよ。秋山君のトコ行くつもりなんですか?」
「もちろんさあああ。くふくふくふ。制裁加えてやるぅぅ。」
「じゃあ気をつけたいいですよ。たぶんあっちも警戒してるだろうから。何か武器があるといいかもしれないですね。」
「うんうんうんうんうん。わかってるよぉぉぉ。」

川口との会話
「明日仕事休みだからさ。行こうと思うんだ。」
「よし。待ってたぜ。俺も行くよ。」
「準備はどう?僕はオッケーだよ。」
「準備ね。俺もバッチリだよ。」
「うん。じゃあ待ち合わせ時間を決めようか・・」


3月7日(木) 晴れ
遠藤との会話 午前中
「秋山君はどうなったんですか?」
「えへへへへへちゃあんとお仕置きしてあげたよおおお。親の前で全部ばらして上げたからねぇぇ。
ネットで女の子を付回しててストーカーしてるからその子の代理で僕が怒りに来たって。
顔真っ赤にして泣いてたよぉお。秋山君も秋山君のお母さんも。あの二人の掛け合いがまた面白くてねぇぇ。」
「へぇ。親バレしちゃったんですね。そりゃ怒られるだろうなぁ」
「思いっきり怒られてたよぉぉぉ。いい気味だよぉぉぉ。」
「ところで、また一つ問題が出来たんですよ。というかむしろこっちのほうが大問題。」
「何々?まさかまさかまさか。」
「川口が動き出しました。」
「きゃあああ!!やっばああああい!!いつ?いつ?ぐっちーはいつ早紀ちんのトコに行くって??」
「それが・・・今日なんですよ。さっき電話があって、今日の夕方に行くって」
「あああああまたブッキングううううう!」
「あいつわざわざ僕に宣戦布告してきたんですよ。『先を越せるなら越してみろ』とか言って。」
「ボボボボクが越す!僕が越してやる!!」
「奴のプランだと、駅で捕まえて脅すらしいですよ。」
「おおお脅してどうするつもりなのさぁ。」
「自宅に連れてってもらうって。まぁ家に誰もいなかったら・・・ねぇ。やっちゃうんじゃないですかねぇ。」
「はふぅぅ!!!??」
「遠藤さんが秋山君に制裁を加えたのと同じような手口ですよね。みんな考えること同じですよ。」
「いやボクはその上を行くぐっちーの上を行く。」
「駅で待とうとする川口をさらに待ち伏せするつもりですか?」
「そうそれまさにそれ。」
「でも相手は強敵ですよ。」
「大丈夫大丈夫こんな時のためにしっかり武器を用意してあるから。くふふふふふ。。」

川口との会話 夕方
「お前今ドコだよ。」
「ああごめん。悪い。ちょっと遅れそうなんだけど。もう処刑人は来ちゃった?」
「こっちはそれどころじゃねぇんだ。早く来いよ。」
「え?何があったって?うまく聞こえない。」
「遠藤の野郎が来てやがったんだ。駅でウロウロしてるのを見つけたんだ。」
「何?遠藤さん?ああくそう。電車だからこっちも電波悪いや。」
「今追ってる最中だ。あの野郎なんで居るんだよ。くそ、ワンパンくれたら逃げやがった。お前何か知らないか?」
「あーあー聞こえてる?こっちは聞こえないんだけど。」
「聞こえてるよ。お前も早く来いよ。あとどれくらいで着くんだ?」
「駄目だ。全然聞こえてない。」
「だから聞こえてるって・・・・・・あっ!!いやがった!!おい遠藤!!!動くんじゃねぇ!!!」
「あーもしもし。着いたらまた連絡するから。一度切るね。」


3月8日(金) 晴れ
川口との会話
「おい昨日どうしたんだよ。全然電話繋がらなかったから帰っちゃったよ。」
「あれ・・・・電源はずっと入れっ放しだったけどな・・・・まぁ待て・・・・今それどころじゃねぇんだ・・・・・。」
「どうしたの?なんか調子悪そうだけど。」
「・・・腕が使えなくて・・・・・携帯がうまく持てなくて・・・・また後で・・・・ああくそう!」
「おいどうしたんだよ。何があったんだよ。」
「包帯巻いてる最中でね・・・・・遠藤の奴が・・・・くそ・・・・・許せねぇ・・・・・。」
「何?遠藤さんがどうしたって?」
「・・・・・・あの野郎・・・・・・刺しやがった・・・・・・・・!」
「刺されたって?怪我してるのか!?」
「まぁな・・・・・ああくそ・・・・・イテェ・・・・・・。」
「おいおいちゃんと救急車呼べよ。今家なのか?」
「家だ・・・・自分で処置してる・・・・・救急車はまずい・・・色々聞かれるから・・・・・」
「そんなこと言ってられないだろ。病院行けてって。」
「これくらい平気だよ・・・・・・それに・・・サツにバレたくねぇんだ・・・・自分で復讐するから・・・・」

遠藤との会話
「遠藤さん。今ドコですか?」
「今?今は駅だよ。朝からずっと待ってる。早紀ちんが来るのを待ってる。」
「朝は会えたんですか?」
「朝は人が多すぎて駄目だった。でも今日こそ会える。もう邪魔者はいないから。」
「邪魔者ならまだいますよ。」
「いないよぉ?アッキーもぐっち−ももう邪魔しないモン。」
「何言ってるんですか。いるじゃないですか強力な敵が。」
「誰?もしかしてたむちゃん?悪いけどたむちゃんなら相手にならないよ?」
「僕です。」
「!!!???」
「当たり前じゃないですか。僕も邪魔者がいなくなってようやく自由に動けるんですから。」
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってよそれどうゆうことよ!!!仲間仲間仲間のはずじゃ・・・!!」
「誰がそんなこと言ったんですか。僕はバリっとやる気ですよ。」
「そそそそそそんなまさかいやでもそんなこと言ったって今更ボクに勝てるわけないじゃんん。」
「いやぁ、それが勝てるんですよ。昨日川口のこと刺しましたよね?」
「なぜそれをいやそんなの知らない知らない知らないったら知らない。」
「別に知らなくてもいいんですけど。とりあえず川口の奴病院に駆け込んでましたよ。」
「だから知らないと言ってるじゃん知らないない。」
「あいつ、その後気を失って今は意識不明の重態でして。だから僕が代わりに警察にチクろうかと思いまして。」
「汚ねぇええええええええええええ!!」
「早くそこから逃げた方がいいですよ。」
「・・・・・・ふ・・・・・・ふふ・・・・・・・・。」
「何笑ってるんですか?」
「ふふふふふふボク逃げないよ。」
「警察呼んでもいいんですか?」
「ふふふふふふふふいいさ勝手に呼べばいい呼んだらいいさ。」
「・・・・何考えてるんです?」
「早紀ちんを連れて一緒に逃げる。ふひ。止めてくれるな!じゃ!!!!!」


3月9日(土)
川口との会話 朝
「体の方は大丈夫か?一体ドコ刺されたんだよ。」
「ああ、腹と腕だ。どっちも大したことないよ。もう大丈夫だ。それより岩本嬢はどうなったんだ。」
「まだ無事だね。遠藤さんが何かするかと思ったけど、まだ踏み切れてないみたい。秋山君も同じだよ。」
「遠藤の野郎今どこにいるかわかるか?」
「駅の近くをウロウロしてると思うよ。家に踏み込むのは無謀だからね。」
「へへ。お前はその無謀なことをやろうとしてるんだろ?」
「まぁね。けどその前にお前と遠藤さんが決着つくのを待つよ。」
「それなら今日つけるから大丈夫だ。別に先にやっててもいいんだぞ?」
「そうか?ならやっちゃうよ?というかもうやってるし。」
「はぁ?もうやってるって?」
「ああごめん。言葉のあやだよ。今からやろうかと思ってるってこと。」
「おお是非やってくれよ。俺もすぐに駆けつける。」
「よし。じゃあやっちゃう。ところで遠藤さんと決着つけるのってどうやるの?」
「奴の行動パターンは読めるから楽勝だよ。岩本嬢の駅から家までのルートを抑えれば奴もいるはず。
どうせ今日もいるだろ。」
「気をつけろよ。また刺されたりするなよ。」
「大丈夫だよ。今度はヘマしない。この前は油断しただけだ。」
「さすが。マトモにやればどう見てもお前の方が強いだろうなぁ。」
「それにしてもこんな目に合わされちゃ、後で元とらないといけないな。」
「元をとる?」
「そうだよ。遠藤を潰したらいよいよ岩本嬢とのご対面だろ?オイシイ思いさせてもらうよ。」
「はは。確かに。ちゃんとそれはとっておくよ。」
「頼むな。」

川口からの留守電 夜
「おい。なんで電話出ねぇんだよ。畜生。これで何度目だ?折り返し電話するくらいできるだろ?
そっちはどうなってるんだよ。状況教えてくれよ。こっちは・・・くそ!あの野郎・・・何時間追い掛け回したかわからねぇや・・
バットでボコボコにしてやったんだけどな・・・遠藤の奴、腹に雑誌を仕込んでてなかなかしぶとくて・・・
なんで鍋のフタなんか持ってるんだよ畜生・・・包丁がな・・・・くそう・・・警戒してたのに・・・・・イテェ・・・
・・・いや大丈夫だ。至急電話くれ。ちょっと今はそっちに行けそうにない。遠藤は来てるか?
あの野郎もしばらく動けないとは思うが・・・うう・・・また痛み出してきやがった・・・・なんで相打ちなんかに・・。」


3月10日(日) 晴れ
田村さんとの会話
「やぁ。元気?」
「元気です。」
「みんなと連絡とかしてるの?」
「してないです。」
「みんな元気に頑張ってるよ。秋山君も遠藤さんも川口も張り切ってる。もちろん僕もね。」
「お願いしますね。」
「ところでね。今さ。僕すごいトコにいるんだよ。どこかわかる?
「家じゃないんですか?」
「家だよ。でも誰の家だと思う?」
「自宅じゃないんですか?」
「処刑人の家。」
「ホントですか!?早紀は?早紀はいるんですか?」
「いるよ。居間でのんびりテレビ見てる。」
「早くやっちゃって下さいよ!早く!でもすごい。どうやって忍び込んだんですか?」
「ははは。冗談だよ。」
「え・・・・・?」
「ごめんごめん。ホントは自宅。」
「・・・くだらない嘘はやめて下さい。」
「悪かったって。最近元気なさそうだから冗談で笑わそうと思っただけ。」
「大丈夫です。私は元気ですから。」
「そっか。ごめんね。でも一つだけホントのことがあるんだよ。」
「何ですか?」
「僕、今自宅にいるんだ。」
「さっき言いましたよ。」
「そうかな。」
「そうです。」



第44週
3月11日(月) 晴れ
遠藤との会話 インターホン
「あの。早紀さんいますでしょうか。」
「えっと。どちら様でしょうか?」
「ボク早紀さんの友人で遠藤と申します。言っていただければわかると思います。」
「遠藤さんですね。少々お待ちください。」
「お願いします。」

「すいません。早紀は今出かけてましていないんですよ。」
「は?いやそんなわけないですいるはずです。ボクちゃんと見たんですから。」
「ちょっとアンタ、何言ってるんだよ。見たって、後つけてたのか?」
「いやいやいやいやそんなわけじゃなくてほら。とにかくちゃんと伝えてくれました?遠藤です遠藤。」
「だから居ないって言ってんだろ。」
「待って下さい話を聞いて下さい少しだけお時間下さい。」
「何かの営業なの?ウチは何も買わないよ。他行って下さい。」
「違う違う違う話を聞けば絶対わかるからとにかく早紀さんを出して早紀さ・・・」

3月12日(火) 晴れ
遠藤との会話 インターホン
「あの。早紀さんいますか。」
「えっと。どちら様でしょうか?」
「ボク早紀さんの友人で遠藤と申します。言っていただければわかると思います。」
「なんだまたアンタか。早紀は居ないって言ってるじゃん。」
「ちょっと待ってくださいよ。話させてくださいよ。昨日も話の途中で切っちゃってさ。
それに『またアンタか』ってボクのセリフですよ。アナタ何者なんですか。」
「は?」
「昨日も今日も学校から帰る時早紀ちんにピッタリくっつきやがって。何一緒に自転車乗ってるんだよ!!
しかも同じ家に入るだなんて。信じられないよまったく。ボクの早紀ちんに何したんだよ!!!」
「えっと。お前もしかしてストーカー?」
「はぁ?バカなこというなよ!ストーカーはお前だろ!!!」
「あー思い出した。遠藤か。お前が早紀の言ってたストーカーか。」
「えぇ???ちょちょちょちょっと、早紀ちんが何を!!???」
「最近ストーカーに狙われてて怖いか言っててね。だから俺が送り迎えしてあげてるんだよ。
友達の知り合いの遠藤ってデブに気に入られて迷惑してるって。お前がその遠藤だったんのか。」
「さ・・・・早紀ちんがそんなことを・・・・・。」
「言ってたよ。だから帰れって。もうとっくに嫌われてるんだから。」
「くそうくそうくそうくそうお前何なんだよ言いたいことばっか言いやがってお前一体誰なんだよ。」
「俺?俺は早紀の兄だけど。」
「あ・・・・・あにににおおおおおおおおお兄様でしたかこれはこれはこれは失礼しました。」
「いや別にいいって。とにかく早紀が迷惑してるから。さっさと帰ってくれ。」
「早紀さんを呼んでください!お願いですせめて一言だけでも話をさせて。」
「早紀は部屋で寝てるよ。お前しつこいな。早く帰れよ。」
「お願いですお願いですお願いですせめて一目見させて下さいこのままじゃ帰れないですよゲームにも負けちゃう。
奴がまた来る奴が復活する前にだから今のうちにああそうだ今部屋にいるんですね?ここからなら声届くかな
おおいい早紀ちん!ちょっと言って欲しいことがあるんだ!『処刑人』ってちょっと言ってくれないか・・」
「あ、今警察呼んどいたから。不審者が家の周りをうろついてるって。まったく。何わけわかんないこと言ってるんだ。」
「くぅうぅぅぼぼぼボクは諦めませんよ!早紀にそう伝えておけ!!!」
「そんな小さな声で叫んだって早紀には聞こえないよ。」


3月13日(水) 曇り
川口からの留守電1
「いい加減連絡しろよ。何やってんだよ何度も電話してんのに。とりあえずこっちはもう動けるようになった。
今岩本嬢の後追ってるとこだ。遠藤もまだウロついてる。だからまだ岩本嬢も無事なようだ。
ところで岩本嬢の横に変な奴がいたんだけど、お前もう見たか?奴のせいで遠藤も攻めきれてないんだろう。
駅で待ってて一緒に自転車乗って帰りやがった。恋人がいるなんて聞いてねぇよ。
田村ちゃんに聞いても知らねってよ。お前何か知らないか?連絡待つ。」

川口からの留守電2
「今岩本嬢の家の近くだ。遠藤が徘徊してるな。あの野郎俺がつけてるの全く気付いてねぇでやんの。
何かフラフラしてるぞ。さっさと家に行けばいいのにな。お、行った行った。呼び出せ。呼び出せ・・・・!!
・・・・あれ?何だよ。何もしねぇで戻いやがった。お、また行った・・・・・駄目だ。戻ってきやがった。
何躊躇してんだよ。さっさと行けって・・・・あーだめだ。完全に引き返してきやがった。何だよ根性ねぇなぁ・・。」

川口との会話 インターホン
「すいません。早紀さんいますか?」
「えっと、どちら様でしょうか。」
「早紀さんの友人です。田村さんの代理って言えばわかると思います。」
「すいません。早紀は今出かけてます。」
「え?あ・・・そうなんですか。何時くらいに戻ります?」
「えっと、ちょっとわかんないです。」
「そうですか。じゃ、また改めます。」
「すいません。」

川口からの留守電3 夜
「今日岩本嬢の家に行って来た。留守だって言われたよ。でもありゃ嘘だ。自転車が家にあった。
変な男と一緒に乗ってたやつだ。となるとあの男は家族かもしれないな。
たぶんインターホンで対応したのもあいつだ。この様子じゃどうも岩本嬢を守ってるっぽいぞ。
遠藤も同じようにあしらわれたのかもしれない。だから諦めたんだろう。
まぁそれもアリだろう。怪しいヤツがウロついてりゃ警戒されて当然だ。
ところでちょっと気になることがあったんだけど・・・お前、この留守電ちゃんと聞いてるか?
今日はこれで三回目だ。ちゃんと三つとも聞いてくれ。その上で話がある。お前のことでだ。連絡待つ。」


3月14日(木) 雨
川口との会話
「やぁ。久しぶり。」
「やっと連絡くれたな。久しぶりじゃないか。」
「そうだね。」
「用事は何だ?」
「留守電を聞いてね。連絡欲しいって言ってたから。」
「ああそうだった。俺の用事はな・・・・。」
「何?」
「・・・・・・いや何でもない。まだいいや。」
「ああそう。」
「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
「お前、遠藤と連絡取ってるか?」
「いやとってないよ。」
「秋山はどうしたんだ。あいつも姿を見せてないな。」
「秋山君は戦線離脱したよ。かわいそうに。遠藤さんにこっぴどくやられたみたい。」
「はっ。俺もやられたよ。二度も刺された。」
「大丈夫かよ。病院行かなくていいの?」
「平気だよ。とりあえず動ける。」
「大変だね。」
「・・・・・。」
「・・・・・。」
「岩本嬢のトコには行ったのか?」
「行ってないよ。」
「行くんじゃなかったのか?」
「そうだっけ。」
「・・・・・。」
「・・・・・。」
「岩本嬢の隣に最近変な奴がいるんだ。そいつのおかげで遠藤も俺も岩本嬢に近づけないでいる。お前何か知らないか?」
「知らないよ。」
「嘘だろ。ホントは知ってるんだろ。」
「知らないよ。」
「よーく知ってる奴だろ?」
「さあね。」
「・・・・・。」
「・・・・・。」
「お前が何考えてるか知らないけどな。とりあえず今日、遠藤に電話した。」
「何か言ったの?」
「ああ。一日だけ時間をやるから、明日中にゲームに勝ってみろってね。でなきゃ地の果てまで追っかけてでも殺すと。
その後岩本嬢を手込めにする。逃げても岩本嬢を手込めにする。そう言ってやったよ。」
「遠藤さんは何か言ってた?」」
「てめぇなんかにサキチンをやれねぇだとさ。」
「へぇ。」
「・・・・・。」
「・・・・・。」
「明日が楽しみだな。遠藤の奴、たぶん無茶するぜ。岩本嬢の隣にいる奴まで殺すかもよ。
野郎はバカだから相手の顔とか声とかよく確認しないんだろうなぁ。もしかしたら知ってる奴かもしれないのになぁ。」
「どうだろうね。」
「・・・・・。」
「・・・・・。」
「最後に一言だけいいか?」
「何?」
「お前嘘つきだろ。」
「そうかなぁ。」
「そうだよ。間違いなく。」


3月15日(金) 曇り
遠藤との会話 帰宅中の路上
「早紀ちん!今日こそは話を聞いてもらうよ!!!」
「はぁ?お前誰だよ。」
「いやアナタには用はないんです。隣の早紀さんに用があるんです。」
「おいおいおいおいちょっと待てよ。何だよお前。ウチの妹に何の用だよ。」
「早紀ちん聞いてくれ。もう時間が無いから手短に言うよ。このままだと君は・・・」
「早紀、お前こんな奴知ってるのか?」
「君は狙われてるんだ危険なんだだから僕と・・・」
「おいやめろって。早紀は首を横に振ってるぞ。見えないのか?お前のことなんぞ知らねぇってよ。」
「アナタが例のお兄様ですね聞いて下さいアナタからも言って下さい妹さんは今危険な状況にあるんです。」
「そりゃ確かに危険だ。変な奴に絡まれてる。おい早紀行くぞ。こんな奴相手にすんな。」
「君はまだ気付いてない恐ろしい奴が来るんだよ破壊神みたいな奴がだからボクと一緒に行こう。」
「うるせぇ!消えろ!」
「ああ待って走らないで行かないで行くな行かせない。」
「追ってくんなよ!!」
「・・・・あっ・・・!!!」
「さぁ早紀。さっさと行くぞ。」
「殴りましたね殴りましたね殴りましたね畜生お前も奴と同じだ川口と同じだボクの邪魔ばかりする。」
「はいはい、わかったわかった・・・・・ってお前、何持ってるんだよ!」
「成敗してくれる成敗してくれるお前も川口と同じ目に合わせて・・・・・・・・あああああ!!何するんだよおおおお!!」
「危ねぇなあ。包丁なんか持ってやがって。」
「かかかか返せ返せ返せよおおおおおおおお!!!!」
「誰が返すかよバカ。なぁ早紀、警察行くか?こいつかなりヤバイぞ。」
「待ってええええ!!!走らないでええええ!!くそうくそうくそうくそう」
「誰が待つかよ。」
「・・・・・・・・・・・・・・処刑人!!!」
「あれ。どうした早紀。何で止まるんだよ。」
「フゥフゥフゥフゥフゥフゥ・・・お兄様!!聞いて下さい!!アナタの妹は処刑人なんです!!!」
「おい早紀行くぞ。あんな奴見るなって。早く・・・・あー来ちゃったよ。」
「フゥフゥフゥフゥフゥフゥやっと追いついたあああああ。お、お、お兄様聞いて下さい。その子は悪名高い処刑人なんです。
だから狙われてるんです。もっと悪い奴に。だから守ってやらなきゃいけないんです。ね?早紀ちん、そうだよね?ね?」
「いい加減にしろよお前。ワケわかんねぇことばっか言いやがって。妹が迷惑してるじゃねぇかよ。」
「ちゃんと話を聞いて下さい。妹さんは処刑人で川口って奴に狙われてて」
「はあ?そんなの知らねぇよ。」
「いやだからイジメラレッ子が復讐のためにネットでターゲットを募集してそれが田村さんも含んでて。」
「知らねっつってんだろ!!!お前、アタマおかしいんじゃねぇか!!!」
「あッッッッッ!!!」
「消えろ!!」
「やめて殴らないでまだ川口にやられた傷が・・・・痛ッッッ!!!あ!!だから・・・話を・・・イタイイタイイタイ!!」
「うわ!!何だコイツ。腹の中に本なんか仕込んでやがる。」
「あああ駄目それが無きゃ防御力ダウ・・・んぐぐぅぅぅ!!・・・・くそう・・・・武器さえあれば・・・・・あふぅぅx!!??
ぅぅぅぅう・・・・・・・げへぇ!!・・・・・やめて・・・・あげぇッッ!!・・・うぅぐぅ・・・蹴らないで・・・・うごほぉお!!!」
「二度と早紀に近づくんじゃねぇ!!」
「・・・・・わかりました・・・・・・がはぁぁあ!!!・・・・・わかりましたから・・・・・ぬはあ!!!・・・・・・・・・・・・・
もう早紀さんには近づきませんから・・・・ぐぬぅぅぅ!!!・・・・許して・・・・・・あぐはあ!!!!・・・・許して・・・・・
・・・・・ああ・・・早紀ちん・・・・・ぐは!!!・・・・君からもお兄さんに・・・・・・がはああ!!!・・・何か・・・言って・・・・
あれ・・・・何でそんな目で・・・・・ぎゅおおお!!!・・・ねぇ・・・・・・もしかしてホントに・・・・・・・ぎゃふえぇ!!!
・・・・・・ボク・・・迷惑・・・・・・???・・・・おぐふあああああ!!!・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あ・・・・・・・
・・・・・・・・・・『うん。』って・・・・・・『うん。』って・・・・・・・・・・・・・・・そう・・・・・・だったの・・・・・・・・・・・・・・・・ひぐぅ・・・・」


3月16日(土) 晴れ
川口との会話 路地裏
「よく来てくれたな。もう会えないかと思ったよ。今朝電話する時も心配だったんだ。」
「いやいや。でもなんでこんな場所に?」
「人に聞かれたくないような会話になりそうでね。いいだろ?」
「うん。むしろ好都合。」
「だろ?で、昨日の遠藤はあれでよかったのか?」
「警察に突き出したこと?当然だよ。悪質なストーカーだし、包丁まで持ってたからね。」
「包丁か。俺もあれにやられたよ。でもよく勝てたな。俺も油断したけど、なかなかの強敵だったぞ。」
「お前がある程度弱めといてくれたからね。」
「ははっ。そうか。鍋のフタと包丁はどうだったんだ?」
「鍋のフタは無かったよ。包丁はずっと警戒してたから取り出したらすぐ奪った。
お腹に仕込んだ本もすぐ取った。後はひたすらこれで殴ってたよ・・・・・・ほらこれ。」
「メリケンか。準備がいいな。」
「準備は整ってるって言ったじゃないか。」
「俺はてっきりナイフだと思ってた。」
「刃物は駄目だよ。返り血を浴びるから良くない。」
「そうだな。でも遠藤もすぐ出てくると思うぞ。大したことしてないだろ。そしたらまた襲ってくるぞ。」
「たぶん大丈夫だよ。精神的にもやられてたみたいだし。けどまぁそれでも来たらまた・・・それはそれで仕方ないね。」
「いいのかよそれで。」
「いいよ。遠藤は早紀自身を気に入ってるだけだ。処刑人にこだわってるわけじゃない。」
「なぁ。お前は妹を守るために動いてたんじゃないのか?」
「まあね。」
「他にもおかしいことがあるんだ。遠藤は岩本嬢が処刑人だってことを知ってるんだぞ?
警察なんかに突き出したら、野郎きっとベラベラ喋るぞ。処刑人は人殺しだって。」
「大丈夫だよ。」
「大丈夫だと?遠藤は岩本嬢のことをかばって喋らないとでも思ってるのか?」
「そうじゃない。けど、大丈夫。」
「おいそれじゃ・・・・・・・いや・・・・・・・まさか・・・・・・・・・・岩本嬢は処刑人じゃないのか?
「さあね。」
「待てよ。証拠はあっただろ。細江さんだっけか?あの女の腕に。それとも処刑人は別にまだいるのか?」
「さあね。」
「現に何人も死んでるじゃないか。板倉って女と岡部って先生と牧原って女か?いや、牧原は行方不明だっけ?
とにかくそいつらを殺した奴がいるはずだろ。岩本嬢じゃなけりゃ誰だってんだよ。」
「さあね。」
「・・・・・まるで真犯人を知ってるような口ぶりだな。」
「そうかな。」
「そうだよ。なぁ。いい加減説明してくれよ。お前、何でこんなことしてるんだよ。何でそんな格好してるんだよ。」
「何のこと?」
「とぼけんじゃねぇ!!お前最初から俺達ハメるつもりだったんだろ!!!」
「いやそれは違う。僕はみんなの方向性を少し調整しただけだ。あとは勝手に自滅しただけだよ。」
「自滅か。確かにな。俺も遠藤とやりあわなきゃこんな目にあってなかった。どうせお前が遠藤をけしかけたんだろ?」
「まあね。」
「はははっ。じゃあ俺が田村ちゃんをヤったのもお前に計算のウチだったのか?」
「計算じゃない。ただ流れでそうなっただけだよ。」
「けど、その流れに持ってったのはお前だろ?」
「そうだね。」
「じゃあちょっと教えてくれよ。仮にあの時、去年のクリスマスイブだ。みんなそろってお料理会をしようとしたな?」
「ああ、覚えてるよ。」
「あの時岩本嬢が来てたら・・・お前は俺達をどうするつもりだったんだ。」
「僕が料理を作ってただろうね。」
「料理・・・・・・・・・・・・・・そうか。ははっ。料理か!毒を盛るのにはもってこいだよな!!」
「そうだね。」
「待てよ。そしたら岩本嬢はどうするんだ。自分の妹の分にまで毒を盛るつもりだったのか?
岩本嬢だけ生き残ったらおかしいだろ。お前は逃げるにしても、残された岩本嬢は明らかに犯人扱いされるじゃないか。
それとも何か?『僕が犯人だから警察にそう言っておいて。』とでも言うのか?兄だとバレなくてもそりゃおかしいだろ!」
「別に。早紀にも倒れてもらうつもりだったから。」
「お前・・・・・なぁ。お前が何考えてるかわかんねぇよ。お前は妹を守るために潜り込んだんじゃないのか?
妹の敵だから、俺達を殺そうとしたんじゃないのか?そうとしか説明つかないだろ!!」
「殺すつもりはないよ。ただちょっと破滅して欲しかっただけ。その結果が死だったらそれはそれで仕方ないけど。」
「冗談じゃねぇ!!で、どうなんだよ。答ろよ。妹を守るためにやってるんじゃないのか!!」
「違うね。お前達の破滅が目的だよ。」
「ほぅ。じゃあ何か?妹はどうなっても良かったのか?」
「守れるものなら守ってやりたかった。でも守りきれなかったら仕方ない。」
「よし、言ったな。俺は今からお前の妹を犯しに行く。いいのか?」
「お前には勝てない。だからいいよ。行ってらっしゃい。」
「ははははっ!!!いいのかよ。行ってくるぞ!!」
「どうぞ。」

「・・・・・なぁ。一つ聞いていいか?」
「何?」
「刃物は駄目だって言ってなかったか?」
「駄目だって言っただけで、持ってないとは言ってない。」
「くそ・・・・卑怯な・・・・・」
「そうだ。僕もお前に一つ聞きたいことがあったんだ。」
「・・・・・・・・・んだよ・・・。」
「川口、お前本当は弱いんだろ。遠藤にも勝てなかったし、僕にもこうして後ろから刺されてる。」


3月17日(日) 晴れ
秋山との会話 玄関
「えっと、あの、早紀さんいますでしょうか。」
「・・・・・・どちら様ですか?」
「あのぅ。僕早紀さんの友人で秋山と言いまして・・」
「早紀は今出かけてます。」
「あ、ちょ、ちょっと。じゃあじゃあ僕が来たとだけ伝えてください。あの、電話が通じなくなっちゃったから・・・」
「わかりましたから。」
「あ、あ、あ、あまだちょっと、その閉めないで下さい。」
「何ですか?」
「その、あの、何て言うか・・・早紀さんは無事ですか?」
「は?まぁ、元気ですけど・・・・・。」
「そうですか。良かった・・・・。」
「それじゃ。」
「あ、あ、あ、あ、あ、ああのその、もう一つだけ聞かせてください。」
「・・・何?」
「あの、その、アナタは早紀さんの何なのかなって・・・・・・・・・・あれ?」
「・・・・・・。」
「ちょ、ちょっと待って下さい。まだドア閉めないで下さいよ。もうちょっと顔よく見せて下さいよ。」
「・・・・閉めるよ。」
「ちょ、ちょ、あの、あ・・・・・・その声も・・・・・・・え・・・・・・ええええええええ?????」
「・・・・・・。」
「ちょちょちょちょちょちょちょっとえええ??まさかええええ????」
「・・・・・・。」
「え、え、待ってくださいよ。その格好なんですか!!てか何でここに??ええええ???」
「・・・・参ったな。君が来るなんて予想外だったよ。無防備にドア開けちゃったじゃないか。」
「ちょっと何やってるんですか。その髪どうしたんですか。何で黒く染めてるんですか茶髪じゃないんですか。」
「いや、もともとこの色だよ。」
「無精ひげもないしいつものメガネもしてないから気付かなかったですよ!!」
「髭は剃った。メガネはダテだよ。無くても見える。」
「うあ・・・どうしたんですかまるで別人じゃないですか。」
「よく気付いたね。」
「いや、その、僕記憶力はいいモンですから。人の顔は一度見たら忘れないんですよ。」
「全く。迷惑な能力だよ。」
「えー。でも間近でようく観察すれば誰でもわかりますよぅ。」
「遠藤は気付かなかったよ。」
「あ、もうその姿見せたんですね。うーん確かに。服装もまるで違うからやっぱ普通だとわからないかもなぁ。」
「だろうね。ま、そうゆうこと。じゃ。」
「えええええちょっとちょっとちょっと待ってくださいよ。説明してくださいよ何でアナタがここにいるんですか。」
「そんなの簡単じゃないか。早紀と仲良くなって家に上げてもらって二人でよろしくやってるからだよ。」
「・・・え。」
「ゲームはめでたく終了。みんな脱落、不戦勝で僕の勝ち。」
「え、あの、ちょっと、その、まだ意味がわからないんですけど。なんでアナタが早紀さんと仲良く?」
「わからなくていい。さぁとっとと帰りなよ。君も脱落するんだろ?」
「ええええ何わけわかんないこと言ってるんです教えてくださいよ何なんですか。」
「あーもしもし。秋山さんのお宅ですか?」
「ちょっと!ドコ電話してるんですか!!???」
「お宅の息子さんがね。またストーカーしてるんですよ。ええ、はい。ここにいますよ。」
「ひぃいいいいやめて下さいやめて下さいやめてやめてやめて。」
「ほら。お母さんも戻って来いって言ってるよ。早く帰ってあげな。」
「うぅうぅうわかりました帰る帰りますからもうやめて下さい。」
「ええ。まだいるんですよ。親御さんからも言って下さいよ。二度とこんな真似させないで下さいね。」
「ああああああもう何なんですかぁああああああわかりましたよ帰りますよぅうううううう。」
「じゃあね。二度と来るな。」
「・・・ぅううう・・・・・・・・何でこんなことするんですか・・・・・・・・・・・奥田さん・・・・・・・。」
「さよなら・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ばーか。僕の名前は岩本亮平だよ。」


第2部<外界編>
 第12章