第12週「卒倒」

11月13日 月ようび はれ
なんてことなくおじさんちにあそびにいきました。
この前のことをわびるつもりなんざサラサラありません。おじさんもふつうにむかえてくれました。
パソコンいじらしてもらってるとき、さりげなーくさぐりをいれました。
「そう言えば最近ね。学校で女の子のリコーダーがぬすまれるじけんがあったんだよ」
おじさんがビクリとからだをはんのうさせました。
「へへへえぇぇぇそうなんだあぁぁぁ」ダラダラ汗をかきはじめました。うーんわかりやすい。
おじさんはトムクルーズになる方法をアッキーにおしえてもらおうとした。
へんたいなアッキーはその見返りに女の子のリコーダーをようきゅうした。
さらにあわよくば女の子そのものも手に入れようとしたけど、ぼくのせいでしっぱい。
おおかたこんなところだと思います。
ぼくはおじさんにさらなるさぐりをいれました。
「それでね。先生たちがよーくみはることにしたんだって。これならもう犯人も女の子に手を出せないよね」
「まじぇっすか!?」これいじょうないくらいあせってました。
やっぱこの人、まだ女の子たちのことあきらめてなかったんだね。
させないよ!

11月14日 火ようび くもり
アッキーじしんは何もできません。おじさんさえおさえれば女の子は守れる。
つまりおじさんにトムクルーズになることをあきらめさせればすむこと。そう思っておじさんをときふせにいきました。
きのうと同じようにパソコンであそばせてもらってる時、さりげなく言ってやりました。
「トムクルーズにはなれないよ」
びくんとはんのうしました。「ななななにを言っているんだい?」れいによってうわずってます。
おじさんのことなどおみとおしさ!ぼくはかまわずつづけました。
「この前こうえんにいた人。ぼく、あの人知ってるんだ。あいつのトムクルーズはインチキなんだよ。」
「そんなことない!」とつぜんのおおごえにびっくりしました。「いくらなおやっちでもおこるゾォ!」
おじさんがいかっている。だけどびびっちゃいられません。ただしいことをおしえねば。
「だってあいつのは、たんなるコスプレだよ!」
カッと目を見ひらきました。そして「オオオ・・」とうめきごえをあげてます。
よかった。おじさんもなっとくしたみたい。そう思ったやさきでした。
「すばらしい」
うっそぉぉぉ!?
おじさんったら目をかがやかせてます。コスプレでいいの!?
いや、でもトムクルーズになるってぐたいてきにどんなふうになるかってきかれると・・
そんなぼくのしこうをさえぎるように、おじさんはたけり立ってさけんでました。
「ボクはトムクルーズになるんだ!それをじゃまするやつは、なおやっちでもゆるさない!」
きょたいがしゅーしゅーとけむりをあげてにおうだちしてます。そのかおはまさにオーガでした。
やばい。これはほんきだ!ぼくはあわててにげかえりました。
どうしよう。おじさんをてきにまわすなんて。あんなのにかてるわけないよ!
ケダモノと化したおじさんがおそってくるのをそうぞうして、ぼくはこれ以上ないくらいのさむけをおぼえました。
食べられる・・・

11月15日 水ようび ややあめ
きょうふのあまりひとりプルプルふるえてました。
あつし君に「かおいろわるいよ」とまで言われるしまつです。
金ようにはまたおじさんのじゅぎょうです。かおあわせたくない・・・
そんな時にかぎってあってしまうもんなんです。
げこうちゅう、あつし君がとおくを歩くおじさんをめざとく見つけてしまいました。
「あ!まめっち先生だ。まめっちぃ〜」しかもよんでしまいました。
ぼくがきまずい顔してるのにも気づかず、しきりにおじさんをまねきます。
おじさんは「ゃぁゃぁ」と言いながらよってきました。でもそのとなりには。
やつもまた気まずい顔してましたあつし君もやつに気づいてびびってました。
アッキーです。またおじさんとみっかいしてやがったんでした。
おじさんだけがさわやかなトークをてんかいしてました。場の空気をおさっししてほしかったです。
たえきれなくなたアッキーが「あの、ボクはこれで」とにげました。
ぼくはホッとしたんですが、わかれぎわのことばにふたたびこおりつきました。
「じゃ、金ようびにがっこうで」
「はいはーい。おまちしてまーチュ」
その時はじめておじさんと目があいました。これでもかってくらい目がわらってました。
おじさんと別れたあと、あつし君はしきりにアッキーとおじさんとかんけいについてそうぞうをふくらませてましたが
ぼくはずっとあのことばがきになってました。「金ようびにがっこうで」
アッキーがくる。イコール女の子たちがあぶない。それをとめられるのは、おじさんとしたしいぼくだけ。
だけどとめようとするとおじさんがおにになる。そうなるとぼくがしぬ。
ああ、どうすれば。どうすればぼくも女の子たちもたすかるんだろう。
だれかおしえて

11月16日 木ようび くもり
明日がえっくすでーなのに何もいいかんがえがうかばない。
おじさんのふてきでいやらしいえがおが目にちらすきます。
アッキーのおぞましいいきづかいがきこえてきそうです。
だけどぼくにはなにもできない。
いえでもがっこうでも、一日中あたまをかかえてたけどかいけつさくはでてきませんでした。
あいつら、かよわい女の子たちにひどいことするに決まってます。
それをそしするには、こうなったら・・・こうなったら・・・
またトムクルーズになるしかない!
ひきだしからすすけたサングラスをとりだしました。
はいぼくがいやなら、たたかわなければなりません。それが漢(オトコ)のいきざまです。
明日ぼくは、オトコになる。

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