絶望世界 もうひとつの私日記

第34週


5/28(月) 晴
忠実な下僕に岡部先生と田村さんのどちらを殺したいか聞きました。
下僕は「岡部先生がいいです。」と即答してました。
私はにっこり笑って「田村さんを殺しなさい。」と言いました。
下僕の顔が少し曇ったけど「わかりました。」と素直に従いました。
いい子です。


5/29(火) 晴
田村さんはそらら辺でしょっちゅうウロチョロしてるからすぐに殺せると思ったけど
下僕はなぜか渋ってました。早くやりなさいとせかしても
「人の目があるから難しいんです。」などと口答えしてきます。
捕まるのは下僕だけで私は無実だから全然平気なのに。
わかってないんでしょうか。


5/30(水) 雨
下僕が蛆虫とずっと一緒にいたので殺す機会をうかがってるんだと思ったら
今日は吉報は届きませんでした。呆れてしまいます。
また「チャンスが無かった。」と。いつまでくだらない言い訳を続けるんでしょうか。
放課後にムチ打ちの儀式をしてると廊下側の窓から蛆虫が覗いてるのが見えました。
私はこれ見よがしにムチを震いました。蛆虫。次はあなたの番よ。
蛆虫は青い顔して逃げていきました。下僕も蛆虫に気付いてたらしく
恨めしそうに蛆虫の背中を見つめてました。
あなたがさっさとやらないからいけないのよ。


5/31(木) 曇
なんだか下僕の態度が生意気です。
今日も処刑を怠ってたので腕に失格の烙印を鉛筆で刻んでると
歯を食いしばりながら「あなたが自分でやればいいじゃない。」などとほざきました。
そんなことしたら私が捕まってしまうじゃない。そんなこともわからないの?
鉛筆を突き立てると下僕は小さな悲鳴を上げました。
そして私は言いました。「今週中にやらなきゃあなたを処刑します。」
最後通告です。


6/1(金) 曇
能無を刺したナイフを磨きながら、下僕が思い詰めた顔をしてました。
「明日まで待って下さい。土曜の放課後なら人も少ないから絶対できますから。」
昨日の脅しが効いたようです。明日やらなかったら私は本当に許しません。
死体も捨てちゃえば捕まりっこないわ。下僕も能無を殺したのにまだ捕まってないし。
いすれにしろ明日が楽しみです。


6/2(土) 晴
信じられないことが起きました。
放課後になっても下僕はボケっと宙を見つめたまま座り込んでました。
私が「早く蛆虫を殺しに行きなさいよ。」と言うと下僕は視線を動かさずに呟きました。
「気が変わりました。」
言ってる意味がよくわからなかったので詰め寄ると、下僕は初めて私と目を合わせました。
「次のターゲットはあなたにしようと思うの。いいでしょ?処刑人さん。」
私は逃げました。


6/3(日) 晴
思わぬ下克上です。下僕が私に反抗するなんて・・!
ただ、あの子はわかってない。私こそが処刑人だということを。
こうなったらなったで、下僕計画を終えて普通にみんな処刑してまわるだけの話です。
下僕が主人に勝てるわけないじゃない。
返り討ちにしてあげる。


第35週