絶望の世界∀ −もうひとつの私日記−
第38週
6/25(月) 晴
田村さんは本当に蛆虫です。
「細江さんより役に立つようにするから。」と言って媚びてきます。
私が無視しても愛想笑いばかり浮かべて周りをうろちょろしてます。
ウザイです。
6/26(火) 晴
細江さんは田村さんが私の側をうろつくようになっても何も言いません。
ボケっとうつろな目でこっちの様子を見てるだけです。
たまにニヤけたりもします。
おかしいです。
6/27(水) 晴
蛆虫さんがうるさくて仕方ありません。
私の機嫌をとろうと余計なおしゃべりばかりしています。
私がちょっとでも動くとびくっとしてしばらく黙ってから
何もされないのがわかると安心してまたしゃべり始めます。
「ネットで面白いサイトを見つけたの。」とか「最近携帯にイタズラメール多いよね。」とか。
興味ありません。
6/28(木) 曇
蛆虫にまとわりつかれるのはもう嫌です。さっさと命令を下しました。
「岡部先生を殺してきなさい。」と。
蛆虫はちょっと言葉を失ってたけどすぐに「わかりました。」と頷いてました。
こんな役立たずに人を殺す度胸なんてあるんでしょうか。
細江さんが板倉さんを殺すのにだって一週間くらいかかったのに。
ただでさえ姿をくらましてるんだから蛆虫なんかにできるわけありません。
絶対無理。
6/29(金) 晴
おかしなことが起きました。
蛆虫が岡部先生を殺してきたと言うんです。
「ほら、岡部先生を殺してきたわ!」と言ってごそごそと鞄からビニール袋を取り出してその中には血の付いたナイフが入っててそれで岡部先生を刺したと言ってます。
私は信じられませんでした。蛆虫ごときが人を殺せるなんて。
あり得ない。そんなことできるわけない。
そう思ってナイフを手にとってよく見てみました。確かに赤い液体が付いてる。
舐めてみました。絵の具の味がしました。
死体をどこに捨てたか案内するように言うと、蛆虫は泣きながら土下座してました。
嘘付かれた。あまりのことに私は怒ることすら忘れてしまいました。
信じられない。
6/30(土) 雨
よくよく考えてみると、板倉さんの時も同じ様な感じでした。
ナイフだけ見せて死体は無い。細江さんも嘘をついていたんだわ。
殺してない。板倉さんも岡部先生も牧原さんと一緒にまだ逃げてるんだわ。
蛆虫田村は学校を休みました。下僕細江も休んでます。
あの二人、許せません。私を騙した。私は処刑人なのに。
騙しやがった。
7/1(日) 晴
殺す。殺す。みんな殺す。
殺さねばなりません。私は処刑人だから。処刑人はターゲットを処刑しなければならない。
処刑。つまり殺すこと。ああ、でもなぜこんなことを?
いやそんなことはどうでもいいわ。
とにかく殺さなければならないんです。
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