絶望世界 もうひとつの私日記

第20週


2/25(月) 晴
秋山君から電話がありました。
何の用事かと思ったらお料理会のお誘いでした。
私は答えました。「しばらくは忙しいから無理かもしれないね。」
秋山君は日程を調整するからとか色々言ってたけど私は渋ったままでした。
料理とかは別にもういいから。
それに、場所もないから。


2/26(火) 雨
売店のヤキソバパンはおいしいです。人気商品なので並ばないと買えません。
今日は運良く買えました。教室で一人、口いっぱいにパンを頬張ってました。
お腹もいっぱいになると眠くなります。
午後の授業が始まるまでウトウトしていると、眠気の中で色んな事が頭をよぎっては消えていきました。
ちゃんと学校に来てる。家に引きこもってない。足が自然と学校に向かう。
全てを諦めて自暴自棄になってるのか。
それとも強くなったのか。


2/27(水) 曇
遠藤さんから電話です。
秋山君から私がお料理会に乗り気じゃないことを聞いたらしく、理由を問い詰められました。
「忙しいから。」と断っても「何をやってて忙しいの?」と切り返されてしまいます。
だから理由を「疲れてるから。」に変えました。日曜日はゆっくり休んでいたいから。
遊びたい時には遊べばいい。疲れてる時は休めばいい。
周りに合わせて、無理して遊ぶ必要なんてないでしょ?


2/28(木) 雨
今日も遠藤さんから電話がありました。
昨日と同じ話の繰り返し。遠藤さんにしてみれば不思議で仕方ないんでしょうね。
あんなにお料理会を楽しみにしてたのに、突然やる気を失ったから。
その理由は遠藤さん達には一生わからないでしょう。話すつもりもありません。
最後に私は言いました。「もう電話しないで下さい。」
電源を切り、携帯を床に放り投げました。
静かです。
とても静かです。


3/1(金) 曇り
冤罪を晴らす努力もしなかった。
時がたてばみんな忘れてくれると思った。
ただ逃げてただけ。逃げてればいつか何とかなると思ってた。
事実、田村さんは過去に触れず親しく接してくれた。
でも忘れてなかったんだよね。
うまく逃亡してたつもりだけど、しっかり追手は来てたんだね。
遠藤さんたちもそうなんでしょ?処刑人を追ってるんでしょ?
私を狙ってるんだよね。


3/2(土) 曇り
裏切られたとは思わない。だって私が悪いんだから。
私は本当の処刑人じゃないとか、冤罪だとか。今更関係ないね。
私は田村さんたちを傷つけた。それだけで充分。罰を受ける義務がある。
でも一つだけ言いたいことがあります。
ほら、私もそんな立派な人間じゃないから。
怒りとか憎しみは抑えなきゃいけないってわかってっても、どうしても割り切れない感情があるから。
届くか分からないけどこれだけは言わせてね。
さよなら、田村さん。


3/3(日) 雲リ
私をこんな状況に陥れた人。本当の処刑人さん。
私の事なんかもう忘れてる?私は忘れてないよ。忘れることなんてできないよ。
田村さんが私を憎んでるように、私もあなたを憎みます。
あの人たちに何をされても私は抵抗しません。する気力もありません。
耐えます。あなたを恨んで耐え続けます。
いつか、復讐を願って。


第4部<断罪回帰編>
 第21週