絶望世界 もうひとつの私日記

第28週


4/22(月) 晴
私の不思議なメール友達はたまにしか返事をくれません。
相手が誰なのか。私は何となくわかりかけていました。
まさか向こうから来るとは思わなかった。


4/23(火) 曇
「君のことはずっと気にしてたんだ。そっちはもう忘れてるだろうけど。」
メールが届くたびに始まりの頃を思い出します。
忘れてなんかいない。


4/24(水) 曇
聞きたいことはたくさんあります。
質問を一つ一つメールで送りました。けどその返事は届きません。
こっちからアプローチしても効果はありません。
私は待つことしかできない。


4/25(木) 晴
気まぐれなのか計算してなのか、私には計りかねるところです。
どちらにしても私はずっと振り回されてたことに変わりありません。
本来なら警戒すべき相手です。
でもメールが届くたびに思わずにはいられない。
この人が一番私のことを理解してる。


4/26(金) 晴
相手の名前を出して呼びかけてみました。
今はあの名前など使ってないでしょう。どうせ何個もある名前の一つのはずです。
反応してくれるかな。


4/27(土) 晴
「ダグラスか。随分懐かしい名前で呼んでくれたね。あれは単なる捨てハンだからどうせ呼ぶなら『カザミ』にしてよ。こっちの方はよく使うんだ。」
私は思わず吹き出してしまいました。もっと良い呼び名があるじゃない。
イタズラ半分ですぐに返信メールを出しました。
「『処刑人』じゃ駄目?」
今回の返事は早かった。
「その名はもう君にあげるよ。僕は『真・処刑人』に改名する。」
私を孤独に追いやった張本人です。


4/28(日) 晴
驚くことが少なくなりました。
どこかの神経が麻痺してしまったのでしょうか。おかげで憎しみも沸いてきません。
せっかく「真・処刑人」からメールを頂いてるのに。
それが一度はメル友として交流のあった相手だと知ったのに。
私は何も行動しない。
失うものは一通り失ってしまったからかもしれません。
たぶん今「処刑人」として逮捕されても、私は黙って警察についていく。
友達がいないから、じゃない。
友達などできないことを知ったから。


第29週