絶望世界 もうひとつの私日記

第36週


6/17(月) 雨
奥田さんと川口さんの携帯は繋がりません。
それ以外の連絡方法と言ったら、もうネットしかありませんでした。
田村さんの家のパソコンを使わせてもらえればどうにかなるかもしれません。


6/18(火) 曇
田村さんのパソコンを借りて奥田さんと川口さんにメールをしました。
話したいことがあるから連絡欲しい、と。
たぶん返事は来ないでしょう。
田村さんが奥田さんに散々送ったメールの記録が寂しく放置されている。


6/19(水) 雨
メールの返事は来てません。
他に何かないかとパソコンをいじってると、田村さんが以前運営してたサイトのデータが残ってました。
今はもうネットからは消えてしまった、私を囲むためだけに作られたサイト。
初めて見た。怒りは沸いてこない。
「こんなものを作ってたんだ」と思っただけ。


6/20(木) 晴
奥田さんも川口さんもフリーメールです。
もう使ってないのかもしれない。返事は来ません。
掲示板の方は誰も書き込まなくなってから大分時間が経ってます。
サイト自体が消えてしまってるから、掲示板のアドレスを知ってるのは関係者だけ。
あの二人と、秋山君と遠藤さん。まだ見てるでしょうか。
田村さんの名を借りて書き込みました。
「誰かいますか?」
とてもか細い声のように見えました。


6/21(金) 晴
掲示板に反応はありませんでした。
ここにいた人たちは本当にいなくなってしまったのかもしれません。
それでも書き込みました。
今度は私の名で・・「岩本早紀」の名で。
「本人です。誰かいませんか?」
誰か、返事を。


6/22(土) 雨
田村さんから電話がありました。あんな風になってから彼女から電話が来るのは初めてです。
急いで田村さんの家に行ってみると、パソコンを見せてくれました。
画面に昨日の掲示板が表示されてます。
「本当に本人ですか?」
書き込みが増えてる。「この書き方は秋山君よ。」と田村さんが教えてくれました。
田村さんから秋山君のアドレスを教えてもらい、メールを送りました。
「掲示板の書き込みは秋山君?早紀です。連絡下さい。」
送ったのは、私の携帯のメールからです。


6/23(日) 晴
返事が来ないのはなぜだろう。
秋山君なら喜んで返事をくれそうなのに。
私を警戒しているの?もう私に関わりたくないの?
私は本当の処刑人では無いのよ。殺人鬼ではないのよ。
わかって!


第37週