絶望世界 もうひとつの私日記

第37週


6/24(月) 晴
秋山君から来た返事はとてもそっけないものでした。
「僕は秋山です。でもあなたはどうなんですか?本当に早紀さんなんですか?」
今更騙しあいなどしたくないので私は正直に全部話しました。
「疑うのもわかるけど私は本当に早紀です。田村さんから全てを聞きました。別に恨んでないから安心して。」
「今ね、知りたいことがあって色々聞いて回ってるの。奥田さんと川口さんって人のことなんだけど、秋山君今あの二人がどこにいるか知ってる?」
秋山君はまた黙り込んでしまいました。


6/25(火) 曇
秋山君が妙なことを言ってます。
「奥田さん。もしかして早紀さんのフリして僕を試してるんですか?」
そんなこと有りえない。私は奥田さんを探してるのに。
なんで奥田さんの名前がいきなり。
「違うよ。私は早紀だよ。それより秋山君、どうしてそんなこと言うの?奥田さんが何かしたの?」
秋山君は何か考え込んでるかのように返事をよこさない。


6/26(水) 雨
あまりに返事が来ないのでもう一度送りました。
「秋山君お願い。メールだけじゃ信じてもらえないなら電話してくれてもいいから。」
電話番号を添えたのに電話は来ませんでした。
来たのはメールだけです。
「そんなやり方卑怯ですよ。これで僕が電話するってことは、その時点で早紀さんと関わりたいという意志表示になってしまうじゃないですか。」
「何をそんなに疑ってるの?お願い、教えて。何があったの?」
まただんまりです。


6/27(木) 雨
私があまりにしつこくメールを送るものだから、秋山君も怒ってしまいました。
「いい加減にして下さい。奥田さん、僕は約束を守ります。仮にあなたが早紀さん本人だとしても、放っておいて下さい。僕はもうあなた達に関わりたくないんです。」
私はますます引けなくなりました。
奥田さんとの約束って?
あんなに親しげだったのに、なんでそんなに嫌になったの?
秋山君が奥田さんとの間で何かあったのは明白です。
一体何が。


6/28(金) 曇
何度もメールを送ったけど、返って来る返事は「もう勘弁して下さい。」ばかり。
やがて全く返事が来なくなりました。
秋山君。よほど奥田さんに嫌なことをされたんでしょう。
ここでも奥田さんが関わってる。
秋山君に最後のメールを送りました。これ以上彼に嫌な思いはさせられません。
「迷惑かけてごめんね。これで最後にします。私はね、自分のしてきたことがどんな結果になるか知りたいの。そして全てを終わらせたいの。それだけ・・。」
私の願いは届くでしょうか。


6/29(土) 雨
「あなたが奥田さんか早紀さん本人か関係なく、これだけは伝えておきます。川口さんは死にました。奥田さんが殺したんでしょ?警察が奥田さんを追ってますよ。僕の所にも来ました。もちろん何も知らないと答えました。僕はネットの人との関わりは一切断ちます。忘れます。もう厄介事に関わりたくないので。さよなら。」
秋山君の最後のメール。書いてある内容を理解した時、私は何も言えなくなりました。
殺したって・・。


6/30(日) 雨
川口さんを殺した奥田さん。
どちらも会ったことないから確証は無いけど、たぶん川口さんは本当に殺されたのでしょう。
処刑人に関わって死ぬのは私の周りのことだけかと思ってた。
でも違った。知らない人まで死んでる。
奥田さんがカザミなの?田村さんは違うと言う。
ならこの二人は、何?


第38週