絶望世界 もうひとつの僕日記

第43週


3月4日(月) 晴れ
遠藤との会話
「昨日日曜日だから会いに行くと思ったのにいいいい!!!電話鳴るの待ってたのにいいいい!」
「すいません連絡遅くなりまして。いや、休日より平日がいいと思ったんで。」
「え?え?なんでえ?日曜日の方がたっぷり遊べるよ?」
「だって電話もせずいきなり会いに行くんですよ?どこか外に出てたらどうするんですか。」
「それを言ったら平日だって・・・。」
「考えてみて下さいよ。学校が終われば必ず家には帰りますよね。休日より平日夕方の方が家に居る確率高いんですよ。
それに僕らには田村さんがいるじゃないですか。一緒に帰ってるんだから確実に家に帰す誘導は造作ないです。」
「ほぉ・・・なるほどぅ。で?で?いつ会いに行くの?」
「明日行きます。田村さんにはうまくやるようにもう頼んであります。遠藤さんの都合はどうです?」
「も、も、もちろんオッケーよ!早紀ちんのためならいつでも行くさ!!!!
けどさぁ。いいの?たむちゃんライバルなのによく協力してくれたね。」
「ああ、別に構わないって言ってましたよ。むしろやれるもんならやってみなさいって感じでした。」
「くうう。挑発してくれるねぇ。ボク頑張っちゃうよぉ」
「じゃ、明日お願いしますね。待ち合わせはどっかの駅がいいですよね?」
「そだね。近くの駅を知ってるからそこにしよー。ちゃんと調べといたんだよ。おおおう。緊張してきたぁ。」

秋山との会話
「ごめんね。また自宅に電話しちゃって。」
「いや、いいですよ。それよりいつ行くんですか?来週の日曜ですか?」
「明日の夕方行くよ。あれ?休日の方が良かった?」
「あ、明日ですか!?え、え、急じゃないですか!?僕は休日のつもりでいたんですけど。」
「いやいや。善は急げって言うじゃないか。平日だってどうせ学校終わったらヒマなんでしょ?」
「は、はい。一応。」
「ならいいじゃん。休日に押しかけるより『学校帰りにたまたま寄った』って方が自然だと思うよ。」
「そ、そうですかね。でもそもそもいきなり家に押しかけるのはちょっと・・・なんで住所知ってるのかって聞かれたら・・」
「田村さんに教えてもらったって言えばいいじゃん。今更尻込みしたって仕方ないよ。」
「ご、強引じゃないですか?」
「秋山君。もう綺麗にことを進めることなんてできないんだよ。多少強引でもやらなきゃ。
でないと遠藤さんか川口に先越されるよ。それでもいいの?」
「う・・・それは・・。」
「じゃぁ決まり。明日行くよ。待ち合わせはどこがいいかな。近くの駅でいいよね。」
「あ、はいもちろん。場所は知ってるんですか?」
「うん。ちゃんと調べはついてるよ・・・」


3月5日(火) 晴れ
遠藤との会話
「やばいですよ遠藤さん。もう駅についてますか?」
「まだ電車だよぉ。待ち合わせまだ時間あるでしょー。でででどうしたの?何かあったのぉ?」
「それがヤバイんですよ。さっき秋山君から連絡があったんですよ。」
「アッキーから!!?何だって????」
「今日処刑人に会いに行くって。ヤバイですよ。思いっきりブッキングしちゃいましたよ。」
「なっにいいいいいいいッッッ!!!??」
「タイミング良すぎですよね。見事なくらい。まったくなんで今日に限って・・」
「ぬぬぬぬアッキーの奴なに考えてるんだよなんでわざわざボクの邪魔するんだよ。」
「僕誘われたんですよ。今から行くけど一緒にどうですかって。もちろん断ったんですけど。
それでも秋山君は一人でも行くって言ってましたよ。どうしましょう。このままだとかち合っちゃいますよ。」
「やめるわけにはいかない!!ボクは行く!アッキーなんかに先を越されてたまるか!!!」
「確かに今なら充分間に合いますね。でもどうかな。先に処刑人の所に行ったら後から絶対来ますよ。」
「その時は・・・・戦う!撃退してやるさ!」
「あ、でももっと良い方法がありますよ。」
「良い方法?」
「そうです。無理に処刑人の前で戦う必要ないじゃないですか。駅で待ち伏せしてればいいんですよ。
どうせ秋山君も電車だろうし。ノコノコやってきたところをとっ捕まえて先に消しちゃえばいいんじゃないですか?」
「ほほぉぉうう。」
「そしたら気兼ねなく処刑人に会えるでしょ。その方がいいですよ。」
「うんうんうんうんうんキミはなかなか良いことを考えつくねぇ是非そうさせていただくよ。」
「急いだほうが良くないですか?余裕かましてると秋山君の方が先に駅についちゃいますよ。」
「大丈夫大丈夫もうすぐつくからボクは既に迎撃モードスイッチオンだよ。」
「あ、僕は時間的に間に合いそうに無いから今回は遠慮させて頂きます。
遠藤さんが戦ってる間に僕だけ先を越すのは悪いですから。だからじっくりやっちゃって下さい。」
「了解したッッッッ!!!」


3月6日(水) 雨
遠藤との会話
「逃げられたよう逃げられたようくそうくそうアッキーの奴足早いよう一晩中探したのに見つからなかったよぅ。」
「ホントですか?それヤバいですよそれ。逆に刺激を与えちゃいましたよ。」
「最初はちゃんとうまくいったんだよぅうまいこと電車降りてくるとこと捕まえたし駅の裏に連れ出すこともできたし
そこでちょっと脅してやったんだよ『早紀ちんに近づくな』ってそしたらアッキーの奴『イヤだ』とか言い始めたから
それで僕怒っちゃって言うこと聞かないとこうだぞって鼻に噛み付いたらアッキーの大声あげやがって
周りの人はこっちを見るし僕も驚いちゃってどうしようかと思ってたらアッキーの奴走り出してそれで僕も後を追って・・。」
「とにかくこのまま放っておくわけにはいかないですよ。秋山君よからぬこと考えてたから。」
「どどどんなこと考えてたの???」
「いっそのこと処刑人を連れ出そうとか何とか。中学生のくせに生意気なこと言いますよね。」
「はああ??何バカなこと言ってんのぉぉ!?ガキが調子に乗りやがってぇぇぇからに。許せない許せない許せない。」
「そう言えば僕、秋山君の自宅の電話番号知ってるんですよ。」
「え???」
「携帯に電話くれたときに番号残ってたんですよ。これがあればハローページで自宅を探せるかもしれないですね。」
「ちょ、ちょ、ちょっとそれ教えてもらって良い?」
「いいですよ。秋山君のトコ行くつもりなんですか?」
「もちろんさあああ。くふくふくふ。制裁加えてやるぅぅ。」
「じゃあ気をつけたいいですよ。たぶんあっちも警戒してるだろうから。何か武器があるといいかもしれないですね。」
「うんうんうんうんうん。わかってるよぉぉぉ。」

川口との会話
「明日仕事休みだからさ。行こうと思うんだ。」
「よし。待ってたぜ。俺も行くよ。」
「準備はどう?僕はオッケーだよ。」
「準備ね。俺もバッチリだよ。」
「うん。じゃあ待ち合わせ時間を決めようか・・」


3月7日(木) 晴れ
遠藤との会話 午前中
「秋山君はどうなったんですか?」
「えへへへへへちゃあんとお仕置きしてあげたよおおお。親の前で全部ばらして上げたからねぇぇ。
ネットで女の子を付回しててストーカーしてるからその子の代理で僕が怒りに来たって。
顔真っ赤にして泣いてたよぉお。秋山君も秋山君のお母さんも。あの二人の掛け合いがまた面白くてねぇぇ。」
「へぇ。親バレしちゃったんですね。そりゃ怒られるだろうなぁ」
「思いっきり怒られてたよぉぉぉ。いい気味だよぉぉぉ。」
「ところで、また一つ問題が出来たんですよ。というかむしろこっちのほうが大問題。」
「何々?まさかまさかまさか。」
「川口が動き出しました。」
「きゃあああ!!やっばああああい!!いつ?いつ?ぐっちーはいつ早紀ちんのトコに行くって??」
「それが・・・今日なんですよ。さっき電話があって、今日の夕方に行くって」
「あああああまたブッキングううううう!」
「あいつわざわざ僕に宣戦布告してきたんですよ。『先を越せるなら越してみろ』とか言って。」
「ボボボボクが越す!僕が越してやる!!」
「奴のプランだと、駅で捕まえて脅すらしいですよ。」
「おおお脅してどうするつもりなのさぁ。」
「自宅に連れてってもらうって。まぁ家に誰もいなかったら・・・ねぇ。やっちゃうんじゃないですかねぇ。」
「はふぅぅ!!!??」
「遠藤さんが秋山君に制裁を加えたのと同じような手口ですよね。みんな考えること同じですよ。」
「いやボクはその上を行くぐっちーの上を行く。」
「駅で待とうとする川口をさらに待ち伏せするつもりですか?」
「そうそれまさにそれ。」
「でも相手は強敵ですよ。」
「大丈夫大丈夫こんな時のためにしっかり武器を用意してあるから。くふふふふふ。。」

川口との会話 夕方
「お前今ドコだよ。」
「ああごめん。悪い。ちょっと遅れそうなんだけど。もう処刑人は来ちゃった?」
「こっちはそれどころじゃねぇんだ。早く来いよ。」
「え?何があったって?うまく聞こえない。」
「遠藤の野郎が来てやがったんだ。駅でウロウロしてるのを見つけたんだ。」
「何?遠藤さん?ああくそう。電車だからこっちも電波悪いや。」
「今追ってる最中だ。あの野郎なんで居るんだよ。くそ、ワンパンくれたら逃げやがった。お前何か知らないか?」
「あーあー聞こえてる?こっちは聞こえないんだけど。」
「聞こえてるよ。お前も早く来いよ。あとどれくらいで着くんだ?」
「駄目だ。全然聞こえてない。」
「だから聞こえてるって・・・・・・あっ!!いやがった!!おい遠藤!!!動くんじゃねぇ!!!」
「あーもしもし。着いたらまた連絡するから。一度切るね。」


3月8日(金) 晴れ
川口との会話
「おい昨日どうしたんだよ。全然電話繋がらなかったから帰っちゃったよ。」
「あれ・・・・電源はずっと入れっ放しだったけどな・・・・まぁ待て・・・・今それどころじゃねぇんだ・・・・・。」
「どうしたの?なんか調子悪そうだけど。」
「・・・腕が使えなくて・・・・・携帯がうまく持てなくて・・・・また後で・・・・ああくそう!」
「おいどうしたんだよ。何があったんだよ。」
「包帯巻いてる最中でね・・・・・遠藤の奴が・・・・くそ・・・・・許せねぇ・・・・・。」
「何?遠藤さんがどうしたって?」
「・・・・・・あの野郎・・・・・・刺しやがった・・・・・・・・!」
「刺されたって?怪我してるのか!?」
「まぁな・・・・・ああくそ・・・・・イテェ・・・・・・。」
「おいおいちゃんと救急車呼べよ。今家なのか?」
「家だ・・・・自分で処置してる・・・・・救急車はまずい・・・色々聞かれるから・・・・・」
「そんなこと言ってられないだろ。病院行けてって。」
「これくらい平気だよ・・・・・・それに・・・サツにバレたくねぇんだ・・・・自分で復讐するから・・・・」

遠藤との会話
「遠藤さん。今ドコですか?」
「今?今は駅だよ。朝からずっと待ってる。早紀ちんが来るのを待ってる。」
「朝は会えたんですか?」
「朝は人が多すぎて駄目だった。でも今日こそ会える。もう邪魔者はいないから。」
「邪魔者ならまだいますよ。」
「いないよぉ?アッキーもぐっち−ももう邪魔しないモン。」
「何言ってるんですか。いるじゃないですか強力な敵が。」
「誰?もしかしてたむちゃん?悪いけどたむちゃんなら相手にならないよ?」
「僕です。」
「!!!???」
「当たり前じゃないですか。僕も邪魔者がいなくなってようやく自由に動けるんですから。」
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってよそれどうゆうことよ!!!仲間仲間仲間のはずじゃ・・・!!」
「誰がそんなこと言ったんですか。僕はバリっとやる気ですよ。」
「そそそそそそんなまさかいやでもそんなこと言ったって今更ボクに勝てるわけないじゃんん。」
「いやぁ、それが勝てるんですよ。昨日川口のこと刺しましたよね?」
「なぜそれをいやそんなの知らない知らない知らないったら知らない。」
「別に知らなくてもいいんですけど。とりあえず川口の奴病院に駆け込んでましたよ。」
「だから知らないと言ってるじゃん知らないない。」
「あいつ、その後気を失って今は意識不明の重態でして。だから僕が代わりに警察にチクろうかと思いまして。」
「汚ねぇええええええええええええ!!」
「早くそこから逃げた方がいいですよ。」
「・・・・・・ふ・・・・・・ふふ・・・・・・・・。」
「何笑ってるんですか?」
「ふふふふふふボク逃げないよ。」
「警察呼んでもいいんですか?」
「ふふふふふふふふいいさ勝手に呼べばいい呼んだらいいさ。」
「・・・・何考えてるんです?」
「早紀ちんを連れて一緒に逃げる。ふひ。止めてくれるな!じゃ!!!!!」


3月9日(土)
川口との会話 朝
「体の方は大丈夫か?一体ドコ刺されたんだよ。」
「ああ、腹と腕だ。どっちも大したことないよ。もう大丈夫だ。それより岩本嬢はどうなったんだ。」
「まだ無事だね。遠藤さんが何かするかと思ったけど、まだ踏み切れてないみたい。秋山君も同じだよ。」
「遠藤の野郎今どこにいるかわかるか?」
「駅の近くをウロウロしてると思うよ。家に踏み込むのは無謀だからね。」
「へへ。お前はその無謀なことをやろうとしてるんだろ?」
「まぁね。けどその前にお前と遠藤さんが決着つくのを待つよ。」
「それなら今日つけるから大丈夫だ。別に先にやっててもいいんだぞ?」
「そうか?ならやっちゃうよ?というかもうやってるし。」
「はぁ?もうやってるって?」
「ああごめん。言葉のあやだよ。今からやろうかと思ってるってこと。」
「おお是非やってくれよ。俺もすぐに駆けつける。」
「よし。じゃあやっちゃう。ところで遠藤さんと決着つけるのってどうやるの?」
「奴の行動パターンは読めるから楽勝だよ。岩本嬢の駅から家までのルートを抑えれば奴もいるはず。
どうせ今日もいるだろ。」
「気をつけろよ。また刺されたりするなよ。」
「大丈夫だよ。今度はヘマしない。この前は油断しただけだ。」
「さすが。マトモにやればどう見てもお前の方が強いだろうなぁ。」
「それにしてもこんな目に合わされちゃ、後で元とらないといけないな。」
「元をとる?」
「そうだよ。遠藤を潰したらいよいよ岩本嬢とのご対面だろ?オイシイ思いさせてもらうよ。」
「はは。確かに。ちゃんとそれはとっておくよ。」
「頼むな。」

川口からの留守電 夜
「おい。なんで電話出ねぇんだよ。畜生。これで何度目だ?折り返し電話するくらいできるだろ?
そっちはどうなってるんだよ。状況教えてくれよ。こっちは・・・くそ!あの野郎・・・何時間追い掛け回したかわからねぇや・・
バットでボコボコにしてやったんだけどな・・・遠藤の奴、腹に雑誌を仕込んでてなかなかしぶとくて・・・
なんで鍋のフタなんか持ってるんだよ畜生・・・包丁がな・・・・くそう・・・警戒してたのに・・・・・イテェ・・・
・・・いや大丈夫だ。至急電話くれ。ちょっと今はそっちに行けそうにない。遠藤は来てるか?
あの野郎もしばらく動けないとは思うが・・・うう・・・また痛み出してきやがった・・・・なんで相打ちなんかに・・。」


3月10日(日) 晴れ
田村さんとの会話
「やぁ。元気?」
「元気です。」
「みんなと連絡とかしてるの?」
「してないです。」
「みんな元気に頑張ってるよ。秋山君も遠藤さんも川口も張り切ってる。もちろん僕もね。」
「お願いしますね。」
「ところでね。今さ。僕すごいトコにいるんだよ。どこかわかる?
「家じゃないんですか?」
「家だよ。でも誰の家だと思う?」
「自宅じゃないんですか?」
「処刑人の家。」
「ホントですか!?早紀は?早紀はいるんですか?」
「いるよ。居間でのんびりテレビ見てる。」
「早くやっちゃって下さいよ!早く!でもすごい。どうやって忍び込んだんですか?」
「ははは。冗談だよ。」
「え・・・・・?」
「ごめんごめん。ホントは自宅。」
「・・・くだらない嘘はやめて下さい。」
「悪かったって。最近元気なさそうだから冗談で笑わそうと思っただけ。」
「大丈夫です。私は元気ですから。」
「そっか。ごめんね。でも一つだけホントのことがあるんだよ。」
「何ですか?」
「僕、今自宅にいるんだ。」
「さっき言いましたよ。」
「そうかな。」
「そうです。」


第44週