絶望の世界A −もうひとつの僕日記−
第44週
3月11日(月) 晴れ
遠藤との会話 インターホン
「あの。早紀さんいますでしょうか。」
「えっと。どちら様でしょうか?」
「ボク早紀さんの友人で遠藤と申します。言っていただければわかると思います。」
「遠藤さんですね。少々お待ちください。」
「お願いします。」
「すいません。早紀は今出かけてましていないんですよ。」
「は?いやそんなわけないですいるはずです。ボクちゃんと見たんですから。」
「ちょっとアンタ、何言ってるんだよ。見たって、後つけてたのか?」
「いやいやいやいやそんなわけじゃなくてほら。とにかくちゃんと伝えてくれました?遠藤です遠藤。」
「だから居ないって言ってんだろ。」
「待って下さい話を聞いて下さい少しだけお時間下さい。」
「何かの営業なの?ウチは何も買わないよ。他行って下さい。」
「違う違う違う話を聞けば絶対わかるからとにかく早紀さんを出して早紀さ・・・」
3月12日(火) 晴れ
遠藤との会話 インターホン
「あの。早紀さんいますか。」
「えっと。どちら様でしょうか?」
「ボク早紀さんの友人で遠藤と申します。言っていただければわかると思います。」
「なんだまたアンタか。早紀は居ないって言ってるじゃん。」
「ちょっと待ってくださいよ。話させてくださいよ。昨日も話の途中で切っちゃってさ。
それに『またアンタか』ってボクのセリフですよ。アナタ何者なんですか。」
「は?」
「昨日も今日も学校から帰る時早紀ちんにピッタリくっつきやがって。何一緒に自転車乗ってるんだよ!!
しかも同じ家に入るだなんて。信じられないよまったく。ボクの早紀ちんに何したんだよ!!!」
「えっと。お前もしかしてストーカー?」
「はぁ?バカなこというなよ!ストーカーはお前だろ!!!」
「あー思い出した。遠藤か。お前が早紀の言ってたストーカーか。」
「えぇ???ちょちょちょちょっと、早紀ちんが何を!!???」
「最近ストーカーに狙われてて怖いか言っててね。だから俺が送り迎えしてあげてるんだよ。
友達の知り合いの遠藤ってデブに気に入られて迷惑してるって。お前がその遠藤だったんのか。」
「さ・・・・早紀ちんがそんなことを・・・・・。」
「言ってたよ。だから帰れって。もうとっくに嫌われてるんだから。」
「くそうくそうくそうくそうお前何なんだよ言いたいことばっか言いやがってお前一体誰なんだよ。」
「俺?俺は早紀の兄だけど。」
「あ・・・・・あにににおおおおおおおおお兄様でしたかこれはこれはこれは失礼しました。」
「いや別にいいって。とにかく早紀が迷惑してるから。さっさと帰ってくれ。」
「早紀さんを呼んでください!お願いですせめて一言だけでも話をさせて。」
「早紀は部屋で寝てるよ。お前しつこいな。早く帰れよ。」
「お願いですお願いですお願いですせめて一目見させて下さいこのままじゃ帰れないですよゲームにも負けちゃう。
奴がまた来る奴が復活する前にだから今のうちにああそうだ今部屋にいるんですね?ここからなら声届くかな
おおいい早紀ちん!ちょっと言って欲しいことがあるんだ!『処刑人』ってちょっと言ってくれないか・・」
「あ、今警察呼んどいたから。不審者が家の周りをうろついてるって。まったく。何わけわかんないこと言ってるんだ。」
「くぅうぅぅぼぼぼボクは諦めませんよ!早紀にそう伝えておけ!!!」
「そんな小さな声で叫んだって早紀には聞こえないよ。」
3月13日(水) 曇り
川口からの留守電1
「いい加減連絡しろよ。何やってんだよ何度も電話してんのに。とりあえずこっちはもう動けるようになった。
今岩本嬢の後追ってるとこだ。遠藤もまだウロついてる。だからまだ岩本嬢も無事なようだ。
ところで岩本嬢の横に変な奴がいたんだけど、お前もう見たか?奴のせいで遠藤も攻めきれてないんだろう。
駅で待ってて一緒に自転車乗って帰りやがった。恋人がいるなんて聞いてねぇよ。
田村ちゃんに聞いても知らねってよ。お前何か知らないか?連絡待つ。」
川口からの留守電2
「今岩本嬢の家の近くだ。遠藤が徘徊してるな。あの野郎俺がつけてるの全く気付いてねぇでやんの。
何かフラフラしてるぞ。さっさと家に行けばいいのにな。お、行った行った。呼び出せ。呼び出せ・・・・!!
・・・・あれ?何だよ。何もしねぇで戻いやがった。お、また行った・・・・・駄目だ。戻ってきやがった。
何躊躇してんだよ。さっさと行けって・・・・あーだめだ。完全に引き返してきやがった。何だよ根性ねぇなぁ・・。」
川口との会話 インターホン
「すいません。早紀さんいますか?」
「えっと、どちら様でしょうか。」
「早紀さんの友人です。田村さんの代理って言えばわかると思います。」
「すいません。早紀は今出かけてます。」
「え?あ・・・そうなんですか。何時くらいに戻ります?」
「えっと、ちょっとわかんないです。」
「そうですか。じゃ、また改めます。」
「すいません。」
川口からの留守電3 夜
「今日岩本嬢の家に行って来た。留守だって言われたよ。でもありゃ嘘だ。自転車が家にあった。
変な男と一緒に乗ってたやつだ。となるとあの男は家族かもしれないな。
たぶんインターホンで対応したのもあいつだ。この様子じゃどうも岩本嬢を守ってるっぽいぞ。
遠藤も同じようにあしらわれたのかもしれない。だから諦めたんだろう。
まぁそれもアリだろう。怪しいヤツがウロついてりゃ警戒されて当然だ。
ところでちょっと気になることがあったんだけど・・・お前、この留守電ちゃんと聞いてるか?
今日はこれで三回目だ。ちゃんと三つとも聞いてくれ。その上で話がある。お前のことでだ。連絡待つ。」
3月14日(木) 雨
川口との会話
「やぁ。久しぶり。」
「やっと連絡くれたな。久しぶりじゃないか。」
「そうだね。」
「用事は何だ?」
「留守電を聞いてね。連絡欲しいって言ってたから。」
「ああそうだった。俺の用事はな・・・・。」
「何?」
「・・・・・・いや何でもない。まだいいや。」
「ああそう。」
「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
「お前、遠藤と連絡取ってるか?」
「いやとってないよ。」
「秋山はどうしたんだ。あいつも姿を見せてないな。」
「秋山君は戦線離脱したよ。かわいそうに。遠藤さんにこっぴどくやられたみたい。」
「はっ。俺もやられたよ。二度も刺された。」
「大丈夫かよ。病院行かなくていいの?」
「平気だよ。とりあえず動ける。」
「大変だね。」
「・・・・・。」
「・・・・・。」
「岩本嬢のトコには行ったのか?」
「行ってないよ。」
「行くんじゃなかったのか?」
「そうだっけ。」
「・・・・・。」
「・・・・・。」
「岩本嬢の隣に最近変な奴がいるんだ。そいつのおかげで遠藤も俺も岩本嬢に近づけないでいる。お前何か知らないか?」
「知らないよ。」
「嘘だろ。ホントは知ってるんだろ。」
「知らないよ。」
「よーく知ってる奴だろ?」
「さあね。」
「・・・・・。」
「・・・・・。」
「お前が何考えてるか知らないけどな。とりあえず今日、遠藤に電話した。」
「何か言ったの?」
「ああ。一日だけ時間をやるから、明日中にゲームに勝ってみろってね。でなきゃ地の果てまで追っかけてでも殺すと。
その後岩本嬢を手込めにする。逃げても岩本嬢を手込めにする。そう言ってやったよ。」
「遠藤さんは何か言ってた?」」
「てめぇなんかにサキチンをやれねぇだとさ。」
「へぇ。」
「・・・・・。」
「・・・・・。」
「明日が楽しみだな。遠藤の奴、たぶん無茶するぜ。岩本嬢の隣にいる奴まで殺すかもよ。
野郎はバカだから相手の顔とか声とかよく確認しないんだろうなぁ。もしかしたら知ってる奴かもしれないのになぁ。」
「どうだろうね。」
「・・・・・。」
「・・・・・。」
「最後に一言だけいいか?」
「何?」
「お前嘘つきだろ。」
「そうかなぁ。」
「そうだよ。間違いなく。」
3月15日(金) 曇り
遠藤との会話 帰宅中の路上
「早紀ちん!今日こそは話を聞いてもらうよ!!!」
「はぁ?お前誰だよ。」
「いやアナタには用はないんです。隣の早紀さんに用があるんです。」
「おいおいおいおいちょっと待てよ。何だよお前。ウチの妹に何の用だよ。」
「早紀ちん聞いてくれ。もう時間が無いから手短に言うよ。このままだと君は・・・」
「早紀、お前こんな奴知ってるのか?」
「君は狙われてるんだ危険なんだだから僕と・・・」
「おいやめろって。早紀は首を横に振ってるぞ。見えないのか?お前のことなんぞ知らねぇってよ。」
「アナタが例のお兄様ですね聞いて下さいアナタからも言って下さい妹さんは今危険な状況にあるんです。」
「そりゃ確かに危険だ。変な奴に絡まれてる。おい早紀行くぞ。こんな奴相手にすんな。」
「君はまだ気付いてない恐ろしい奴が来るんだよ破壊神みたいな奴がだからボクと一緒に行こう。」
「うるせぇ!消えろ!」
「ああ待って走らないで行かないで行くな行かせない。」
「追ってくんなよ!!」
「・・・・あっ・・・!!!」
「さぁ早紀。さっさと行くぞ。」
「殴りましたね殴りましたね殴りましたね畜生お前も奴と同じだ川口と同じだボクの邪魔ばかりする。」
「はいはい、わかったわかった・・・・・ってお前、何持ってるんだよ!」
「成敗してくれる成敗してくれるお前も川口と同じ目に合わせて・・・・・・・・あああああ!!何するんだよおおおお!!」
「危ねぇなあ。包丁なんか持ってやがって。」
「かかかか返せ返せ返せよおおおおおおおお!!!!」
「誰が返すかよバカ。なぁ早紀、警察行くか?こいつかなりヤバイぞ。」
「待ってええええ!!!走らないでええええ!!くそうくそうくそうくそう」
「誰が待つかよ。」
「・・・・・・・・・・・・・・処刑人!!!」
「あれ。どうした早紀。何で止まるんだよ。」
「フゥフゥフゥフゥフゥフゥ・・・お兄様!!聞いて下さい!!アナタの妹は処刑人なんです!!!」
「おい早紀行くぞ。あんな奴見るなって。早く・・・・あー来ちゃったよ。」
「フゥフゥフゥフゥフゥフゥやっと追いついたあああああ。お、お、お兄様聞いて下さい。その子は悪名高い処刑人なんです。
だから狙われてるんです。もっと悪い奴に。だから守ってやらなきゃいけないんです。ね?早紀ちん、そうだよね?ね?」
「いい加減にしろよお前。ワケわかんねぇことばっか言いやがって。妹が迷惑してるじゃねぇかよ。」
「ちゃんと話を聞いて下さい。妹さんは処刑人で川口って奴に狙われてて」
「はあ?そんなの知らねぇよ。」
「いやだからイジメラレッ子が復讐のためにネットでターゲットを募集してそれが田村さんも含んでて。」
「知らねっつってんだろ!!!お前、アタマおかしいんじゃねぇか!!!」
「あッッッッッ!!!」
「消えろ!!」
「やめて殴らないでまだ川口にやられた傷が・・・・痛ッッッ!!!あ!!だから・・・話を・・・イタイイタイイタイ!!」
「うわ!!何だコイツ。腹の中に本なんか仕込んでやがる。」
「あああ駄目それが無きゃ防御力ダウ・・・んぐぐぅぅぅ!!・・・・くそう・・・・武器さえあれば・・・・・あふぅぅx!!??
ぅぅぅぅう・・・・・・・げへぇ!!・・・・・やめて・・・・あげぇッッ!!・・・うぅぐぅ・・・蹴らないで・・・・うごほぉお!!!」
「二度と早紀に近づくんじゃねぇ!!」
「・・・・・わかりました・・・・・・がはぁぁあ!!!・・・・・わかりましたから・・・・・ぬはあ!!!・・・・・・・・・・・・・
もう早紀さんには近づきませんから・・・・ぐぬぅぅぅ!!!・・・・許して・・・・・・あぐはあ!!!!・・・・許して・・・・・
・・・・・ああ・・・早紀ちん・・・・・ぐは!!!・・・・君からもお兄さんに・・・・・・がはああ!!!・・・何か・・・言って・・・・
あれ・・・・何でそんな目で・・・・・ぎゅおおお!!!・・・ねぇ・・・・・・もしかしてホントに・・・・・・・ぎゃふえぇ!!!
・・・・・・ボク・・・迷惑・・・・・・???・・・・おぐふあああああ!!!・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あ・・・・・・・
・・・・・・・・・・『うん。』って・・・・・・『うん。』って・・・・・・・・・・・・・・・そう・・・・・・だったの・・・・・・・・・・・・・・・・ひぐぅ・・・・」
3月16日(土) 晴れ
川口との会話 路地裏
「よく来てくれたな。もう会えないかと思ったよ。今朝電話する時も心配だったんだ。」
「いやいや。でもなんでこんな場所に?」
「人に聞かれたくないような会話になりそうでね。いいだろ?」
「うん。むしろ好都合。」
「だろ?で、昨日の遠藤はあれでよかったのか?」
「警察に突き出したこと?当然だよ。悪質なストーカーだし、包丁まで持ってたからね。」
「包丁か。俺もあれにやられたよ。でもよく勝てたな。俺も油断したけど、なかなかの強敵だったぞ。」
「お前がある程度弱めといてくれたからね。」
「ははっ。そうか。鍋のフタと包丁はどうだったんだ?」
「鍋のフタは無かったよ。包丁はずっと警戒してたから取り出したらすぐ奪った。
お腹に仕込んだ本もすぐ取った。後はひたすらこれで殴ってたよ・・・・・・ほらこれ。」
「メリケンか。準備がいいな。」
「準備は整ってるって言ったじゃないか。」
「俺はてっきりナイフだと思ってた。」
「刃物は駄目だよ。返り血を浴びるから良くない。」
「そうだな。でも遠藤もすぐ出てくると思うぞ。大したことしてないだろ。そしたらまた襲ってくるぞ。」
「たぶん大丈夫だよ。精神的にもやられてたみたいだし。けどまぁそれでも来たらまた・・・それはそれで仕方ないね。」
「いいのかよそれで。」
「いいよ。遠藤は早紀自身を気に入ってるだけだ。処刑人にこだわってるわけじゃない。」
「なぁ。お前は妹を守るために動いてたんじゃないのか?」
「まあね。」
「他にもおかしいことがあるんだ。遠藤は岩本嬢が処刑人だってことを知ってるんだぞ?
警察なんかに突き出したら、野郎きっとベラベラ喋るぞ。処刑人は人殺しだって。」
「大丈夫だよ。」
「大丈夫だと?遠藤は岩本嬢のことをかばって喋らないとでも思ってるのか?」
「そうじゃない。けど、大丈夫。」
「おいそれじゃ・・・・・・・いや・・・・・・・まさか・・・・・・・・・・岩本嬢は処刑人じゃないのか?
「さあね。」
「待てよ。証拠はあっただろ。細江さんだっけか?あの女の腕に。それとも処刑人は別にまだいるのか?」
「さあね。」
「現に何人も死んでるじゃないか。板倉って女と岡部って先生と牧原って女か?いや、牧原は行方不明だっけ?
とにかくそいつらを殺した奴がいるはずだろ。岩本嬢じゃなけりゃ誰だってんだよ。」
「さあね。」
「・・・・・まるで真犯人を知ってるような口ぶりだな。」
「そうかな。」
「そうだよ。なぁ。いい加減説明してくれよ。お前、何でこんなことしてるんだよ。何でそんな格好してるんだよ。」
「何のこと?」
「とぼけんじゃねぇ!!お前最初から俺達ハメるつもりだったんだろ!!!」
「いやそれは違う。僕はみんなの方向性を少し調整しただけだ。あとは勝手に自滅しただけだよ。」
「自滅か。確かにな。俺も遠藤とやりあわなきゃこんな目にあってなかった。どうせお前が遠藤をけしかけたんだろ?」
「まあね。」
「はははっ。じゃあ俺が田村ちゃんをヤったのもお前に計算のウチだったのか?」
「計算じゃない。ただ流れでそうなっただけだよ。」
「けど、その流れに持ってったのはお前だろ?」
「そうだね。」
「じゃあちょっと教えてくれよ。仮にあの時、去年のクリスマスイブだ。みんなそろってお料理会をしようとしたな?」
「ああ、覚えてるよ。」
「あの時岩本嬢が来てたら・・・お前は俺達をどうするつもりだったんだ。」
「僕が料理を作ってただろうね。」
「料理・・・・・・・・・・・・・・そうか。ははっ。料理か!毒を盛るのにはもってこいだよな!!」
「そうだね。」
「待てよ。そしたら岩本嬢はどうするんだ。自分の妹の分にまで毒を盛るつもりだったのか?
岩本嬢だけ生き残ったらおかしいだろ。お前は逃げるにしても、残された岩本嬢は明らかに犯人扱いされるじゃないか。
それとも何か?『僕が犯人だから警察にそう言っておいて。』とでも言うのか?兄だとバレなくてもそりゃおかしいだろ!」
「別に。早紀にも倒れてもらうつもりだったから。」
「お前・・・・・なぁ。お前が何考えてるかわかんねぇよ。お前は妹を守るために潜り込んだんじゃないのか?
妹の敵だから、俺達を殺そうとしたんじゃないのか?そうとしか説明つかないだろ!!」
「殺すつもりはないよ。ただちょっと破滅して欲しかっただけ。その結果が死だったらそれはそれで仕方ないけど。」
「冗談じゃねぇ!!で、どうなんだよ。答ろよ。妹を守るためにやってるんじゃないのか!!」
「違うね。お前達の破滅が目的だよ。」
「ほぅ。じゃあ何か?妹はどうなっても良かったのか?」
「守れるものなら守ってやりたかった。でも守りきれなかったら仕方ない。」
「よし、言ったな。俺は今からお前の妹を犯しに行く。いいのか?」
「お前には勝てない。だからいいよ。行ってらっしゃい。」
「ははははっ!!!いいのかよ。行ってくるぞ!!」
「どうぞ。」
「・・・・・なぁ。一つ聞いていいか?」
「何?」
「刃物は駄目だって言ってなかったか?」
「駄目だって言っただけで、持ってないとは言ってない。」
「くそ・・・・卑怯な・・・・・」
「そうだ。僕もお前に一つ聞きたいことがあったんだ。」
「・・・・・・・・・んだよ・・・。」
「川口、お前本当は弱いんだろ。遠藤にも勝てなかったし、僕にもこうして後ろから刺されてる。」
3月17日(日) 晴れ
秋山との会話 玄関
「えっと、あの、早紀さんいますでしょうか。」
「・・・・・・どちら様ですか?」
「あのぅ。僕早紀さんの友人で秋山と言いまして・・」
「早紀は今出かけてます。」
「あ、ちょ、ちょっと。じゃあじゃあ僕が来たとだけ伝えてください。あの、電話が通じなくなっちゃったから・・・」
「わかりましたから。」
「あ、あ、あ、あまだちょっと、その閉めないで下さい。」
「何ですか?」
「その、あの、何て言うか・・・早紀さんは無事ですか?」
「は?まぁ、元気ですけど・・・・・。」
「そうですか。良かった・・・・。」
「それじゃ。」
「あ、あ、あ、あ、あ、ああのその、もう一つだけ聞かせてください。」
「・・・何?」
「あの、その、アナタは早紀さんの何なのかなって・・・・・・・・・・あれ?」
「・・・・・・。」
「ちょ、ちょっと待って下さい。まだドア閉めないで下さいよ。もうちょっと顔よく見せて下さいよ。」
「・・・・閉めるよ。」
「ちょ、ちょ、あの、あ・・・・・・その声も・・・・・・・え・・・・・・ええええええええ?????」
「・・・・・・。」
「ちょちょちょちょちょちょちょっとえええ??まさかええええ????」
「・・・・・・。」
「え、え、待ってくださいよ。その格好なんですか!!てか何でここに??ええええ???」
「・・・・参ったな。君が来るなんて予想外だったよ。無防備にドア開けちゃったじゃないか。」
「ちょっと何やってるんですか。その髪どうしたんですか。何で黒く染めてるんですか茶髪じゃないんですか。」
「いや、もともとこの色だよ。」
「無精ひげもないしいつものメガネもしてないから気付かなかったですよ!!」
「髭は剃った。メガネはダテだよ。無くても見える。」
「うあ・・・どうしたんですかまるで別人じゃないですか。」
「よく気付いたね。」
「いや、その、僕記憶力はいいモンですから。人の顔は一度見たら忘れないんですよ。」
「全く。迷惑な能力だよ。」
「えー。でも間近でようく観察すれば誰でもわかりますよぅ。」
「遠藤は気付かなかったよ。」
「あ、もうその姿見せたんですね。うーん確かに。服装もまるで違うからやっぱ普通だとわからないかもなぁ。」
「だろうね。ま、そうゆうこと。じゃ。」
「えええええちょっとちょっとちょっと待ってくださいよ。説明してくださいよ何でアナタがここにいるんですか。」
「そんなの簡単じゃないか。早紀と仲良くなって家に上げてもらって二人でよろしくやってるからだよ。」
「・・・え。」
「ゲームはめでたく終了。みんな脱落、不戦勝で僕の勝ち。」
「え、あの、ちょっと、その、まだ意味がわからないんですけど。なんでアナタが早紀さんと仲良く?」
「わからなくていい。さぁとっとと帰りなよ。君も脱落するんだろ?」
「ええええ何わけわかんないこと言ってるんです教えてくださいよ何なんですか。」
「あーもしもし。秋山さんのお宅ですか?」
「ちょっと!ドコ電話してるんですか!!???」
「お宅の息子さんがね。またストーカーしてるんですよ。ええ、はい。ここにいますよ。」
「ひぃいいいいやめて下さいやめて下さいやめてやめてやめて。」
「ほら。お母さんも戻って来いって言ってるよ。早く帰ってあげな。」
「うぅうぅうわかりました帰る帰りますからもうやめて下さい。」
「ええ。まだいるんですよ。親御さんからも言って下さいよ。二度とこんな真似させないで下さいね。」
「ああああああもう何なんですかぁああああああわかりましたよ帰りますよぅうううううう。」
「じゃあね。二度と来るな。」
「・・・ぅううう・・・・・・・・何でこんなことするんですか・・・・・・・・・・・奥田さん・・・・・・・。」
「さよなら・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ばーか。僕の名前は岩本亮平だよ。」
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第12章
第45週