序章

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序章

4月7日

新しい生活が始まる。
かつての経験は必ず生きると信じているが、何もかも新しいことづくめだ。
不安を感じないと言えば嘘になる。うまくやれるだろうかといつも悩んでしまう。
日が迫るにつれて、やがて来る責務に押しつぶされそうになるのがわかる。
胸が苦しい。喉がかわく。しかし、耐えなければならない。
今度こそ長続きさせなければならない。
不況の波はもう他人事ではないのだ。
かつて盛況な賑わいをみせた電話はもはや清閑を極めている。
働かなければ食べていけない。これほど痛感させられるなんて。
以前の場所では意見の食い違いで袂を分けてしまった。
だが今になって考えると失敗だった。仲間に恵まれなかったとはいえ、
あれほどの職場はそう簡単には見つかれない。
あの恵まれた環境を想い、似たような場所を探したがどうも良くない。
ようやくみつけた今回の職場も妥協の妥協。不満だらけだ。
自分の経験と能力を生かせるだけで良しとするしかないのか。

どうやら自分は集団生活に向いてないと見える。
天才過ぎるのだ。
あらゆる行動は至上の目的のために行われてるのに、凡人には理解できない。
凡人であれば凡人であるほど、理解できないものを排除しようとする。
若さは神秘だ。若さのあふれる場所に真理は隠されているのに。
少女子こそがこの世の真理に最も近い存在なのに。
凡人どもは否定する。少女子と共に在ることを。
なぜ理解できないのだ。
程よく実った小学4〜6年という最高の逸材を任されたのだ。
幼女から少女へと成長してゆく中で取り残された、成長にあこがれを感じつつも
少女になることにとまどい未だ幼さの抜けきらないもどかしく可憐な存在・少女子。
最高の逸材には最高の教育をせねばならんのだ。
このITの時代、少女子とてメールくらいできなければならない。
チャットだってできなければならない。
チャットでファイルを受け取る作業くらいできなければならない。
それなのに、それなのに、奴らめ。
敬意を現すために自らの肉体をもって少女子の御姿をオマージュすることが悪なのか。
僭越ながら少女子の御姿を真似た自らの姿をデジタルキャメラに記録するのが罪なのか。
その記録をこの世の真理たる少女子に拝見していただくのは魔であるのか。
そんなことはない。崇高な目的だ。
なのになぜ排除されなければならないのだ。
PTAめ。烏合の衆のくせに何ゆえそんな無駄で愚かな権力を持つ。
排除するなんて言う方が悪だ。PTAなんて存在が罪だ。
男児などどうでも良いのだ。必要なのは少女子だ。
なぜわからんのだ。コスプレは最高だぞ。

いけない。過去を振り返っては。
新しい生活が始まる以上、前を向かなければ先に進めない。
今度の職場は少女子がいないのが残念でならないが
学校という環境であることには変わりないのだから。
聖職者としての埃は忘れてはならない。
それにしても中学生か。多少年増になってしまったが贅沢はいってられないな。
最近の中坊ならパソコンなんて教えなくても自分でやってるだろ。
夜な夜なマウスでよからぬ所をコロコロさせてりしてな。ブフ。
ダブルクリック!ダブルクリック!

・・・いやいやダメだ。
愚民どものハートをギットリつかまなければ覇王になれない。
人心掌握は帝王の義務だ。彼らの胸の奥底深くまでに
この遠藤智久という名を一文字づつ丹念に刻み込まなければならない。
ならどうする?どうすれば中学生の青臭い春色の心を引き寄せられる?
天才ならできるはずだ。考えろ。考えろ。考えろ・・・・・・・

そうだ。前の職場の経験が生きてくるぞ・・・!



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