序章

第1章 「朝と夜」
 第1週 起床
 第2週 挨拶
 第3週 洗顔
 第4週 朝食

第2章 「動と静」
 第5週 音色
 第6週 景観
 第7週 思考
 第8週 吐息

第3章 「光と影」
 第9週 暗影
 第10週 遮光
 第11週 黒雲
 第12週 雷鳴

第4章(終章) 「夢と現」
 第13週 霧中
 第14週 終局
 第15週 夢幻
 最終週 解放






第二週 「挨拶」

1月15日(月) クモリ

夜になるとタケシ君は喋るようです。
おじいさんとおばあさんが隣の部屋で寝静まった頃、タケシ君はふすまに寄りかかって立ったままでした。
ボクが寝てる間もずっと立ってるのかなと思って試しに「座らないの?」と話しかけてみたら答えてくれました。
「君が寝たら僕も寝るよ」
一言だけどちゃんと返してくれました。タケシ君もどちゃんと寝ることがわかって安心しました。
立ちっぱなしじゃかわいそうだから。


1月16日(火) ハレ

ご飯をタケシ君にもわけてあげようとしたらまたおじいさんに殴られました。
そしてまたおばあさんと喧嘩を始めるんですがタケシ君に耳をふさがれるので聞こえません。
後のタケシ君に「お腹空いたでしょ」と言っても無視されました。
夜、おじいさんとおばあさんが寝るたらタケシ君は「あのご飯は食べれない」と言いました。
おいしかったのに。


1月17日(水) ハレ

今日はおじいさんに押入に閉じこめられたのでとても寒かったです。
おばあさんは泣きながらボクを出そうとしてくれましたがおじいさんに止められてました。
タケシ君も一緒に入ったんですがそんなに狭そうにはしてませんでした。
タケシ君に耳をふさがれるとあったかくなるかなと思ったけど耳は冷たいままでした。
今も体が冷えてます。


1月18日(木) ハレ

どうも風邪を引いたようです。頭がボォっとして寒気がします。
だから一日中寝てました。
おじいさんもおばあさんも看病してくれなかったけど寝てるだけだったので一人でなんとかなりました。
でも頭も痛いのはどんどん酷くなっていきます。タケシ君の顔までぼんやり見えるようになってしまいました。
まだ寒いです。


1月19日(金) クモリ

風邪が治りません。体中が熱いです。タケシ君の姿がぼやけてます。変な煙みたいに見えます。
誰かに「大丈夫?」と聞かれた気がしますがあまり意識が無かったのでよくわかりません。
眠いです。
寝ます。


1月20日(土) ユキ

身体が宙に浮いてるみたいにふわふわした感じがします
目が悪くなってしまったみたいに全部がぼやけて見えます
それにすごく眠いです・・・
・・・・


1月21日(日) ハレ

たくさん寝たおかげで風邪は完全に治ったようです。頭もここ最近の中で一番スッキリしてると思います。
タケシ君もハッキリと見えるようになりました。でもなぜか前より姿がかわってるみたいです。
制服が高校のやつに変わってるし、いつも無表情だったが、少し睨むような感じでボクを見るようになりました。
目が合うと「おはよう」って挨拶してくれたけどすごく睨まれてる感じがしたので目をそらしてしまいました。
タケシ君、怖いです。





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