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序章

第1章 「朝と夜」
 第1週 起床
 第2週 挨拶
 第3週 洗顔
 第4週 朝食

第2章 「動と静」
 第5週 音色
 第6週 景観
 第7週 思考
 第8週 吐息

第3章 「光と影」
 第9週 暗影
 第10週 遮光
 第11週 黒雲
 第12週 雷鳴

第4章(終章) 「夢と現」
 第13週 霧中
 第14週 終局
 第15週 夢幻
 最終週 解放






第六週 「景観」

2月12日(月) ハレ

意識すればちゃんと耳を塞がないでも済みます。
これでおじいさんとおばあさんの会話も聞こえるようになりました。
けど最初に聞こえたのはおじいさんの「お、今日は耳塞いでねぇじゃねぇか」という汚い声でした。
おばあさんは怒ったような声で「ボケっとしてんじゃないわよ」と嫌な言葉を浴びせてきます。
いい気分はしません。


2月13日(火) ハレ

耳が聞こえるようになってから、変なことに気づきました。
おじいさんもおばあさんもボクのことを「アサミ」と呼びます。
アサミ、邪魔だ。アサミ、ご飯食べなさい。アサミ、じっとしてなさい。アサミ・・
知らない名前なので返事をしなかったら「返事しやがれ」とおじいさんに殴られました。
それでやっとなんでいつもボクが殴られるのかわかりました。でもこれからも返事はしないと思います。
ボクはの名前はアサミじゃないから。


2月14日(水) クモリ

タケシ君に「返事をした方がいい」と言われました。「その体の主はアサミって名前だから。」
鏡に映ってるおばさんがどうやらアサミさんらしいです。
でもボクはアサミって名前じゃないと文句を言うと
「君はその体を借りてると思えばいい。その方がわかりやすいし。」となだめられました。
仕方ないのでこれからアサミを呼ばれたら返事をすることにします。
その方がわかりやすいから。


2月15日(木) ハレ

ちゃんと返事をするとおじいさんはすぐには怒らなくなりました。
けど別のことで殴ってきます。「お前はなんで老けたんだ」「お前なんか俺のアサミじゃない」「この狂人が」
その度におばあさんが「アサミだってもう年だから」と口を挟んで言い争いが始まります。
二人はアサミさんのことで喧嘩をしてるらしいけどボクには関係ないことです。
聞き流しました。


2月16日(金) クモリ

またタケシ君に助言されました。「あの二人の会話を聞いてればきっと自分のこともわかるはずだよ」
ボクは今すぐ知りたいと言ったけど「二人を殺せないのならじっくり自分で考えるしかない」とはねつけられました。
鏡でアサミさんの体を見たけどボクらしき部分は見つかりませんでした。
直接詳しく見てみようとすると突然目の前が暗くなります。
こんな変なことばっかりなのにその理由を自分で考えろなんでタケシ君も酷なことを言います。
考えようがありません。


2月17日(土) ハレ

自分の体を見ようともがいてるのをおじいさんに見られて「また狂ったことしやがって」と殴られました。
血が出たので拭ってるとタケシ君にも「何がしたいんだ?」と言われてしまいました。
自分の体を見たいのに目の前が真っ暗になるのはタケシ君のせいだと文句言いました。
そしたらあっさり言われました。「目を開けなよ」。目を開けました。
見えました。


2月18日(日) ハレ

音も聞こえて目の前が暗くなることもなくなったので心おきなく周りを観察することができました。
家の中をウロウロしてここは狭い家で窓から見える景色もボロボロの塀だけなのがわかったけどボクには関係なさそうです。
他人の体を借りてるのは変な気分だけどもう慣れてちゃんと息してるし
歩けるしご飯も食べれるし部屋で大人しくしてることもできます。
やっと一人前になった気分です。





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