序章

第1章 「後継者」
 カイザー日記
  1.ハッキング
  2.騙り
  3.チャット
  4.精神病院
 サキの日記
  1−転生 
  2−約束
  3−消失
  4−再臨

第2章 「再始動」

 カイザー日記
  5.希望の世界
  6.学校と病院
  7.オフ会
  8.夢
 サキの日記
  5−接触
  6−信用
  7−序曲
  8−無音

第3章 「鎮魂歌」
 カイザー日記
  9.僕の日記
  10.オクダ
  11.BATTLE
  12.中へ
 サキの日記
  9−決意
  10−鉄壁
  11−絶句
  12−祈誓

第4章 「終着地」
 カイザー日記
  13.さようなら
  14.ワタベさん
  15.終着地
  16.光の世界
 サキの日記
  13−慟哭
  14−脱出
  15−迷走
  16−奇跡

エピローグ
  >>影の世界






第一四節 「脱出」


11/7 曇り

怖い。怖い。怖い。怖い。私、このままだと殺されるかもしれない。ここに居ると、私、殺される。
先生にその事を言った。先生は私と二人きりじゃない時には丁寧な言葉を使う。
病院の中、先生を探し回って見つけて話しかけたときは「なんですか?岩本さん」とよそよそしく話してた。
私ここにいると殺されるかもしれないって言ったらそっと耳元に囁いてきた。今更何言ってるんだお前。
それだけ言ってまた何処かへ行っちゃった。他の人の前では愛想良く笑顔を振りまいてた。
こんな時、こんな時誰かそばにいてくれたらどんなけ落ち着くんだろうって思った。アザミ。
いつもはアザミがいてくれたのに。アザミ戻ってきてよアザミアザミアザミアザミアザミアザミ

       ザ
                        ミ

11/8 雨

私は、あまりの事にびっくりしました。なんで?なんで?なんで?
突然やって来たワタベさん。死んだんじゃなかったの?自殺するって言ってたのに。お母さんも言ってたのに。
私は「なんで?」としか言えませんでした。ワタベさんはくすっと笑って言いました。「ごめん。あれ嘘なの。」
お母さんは・・・・「渚さんにも言って置いたから、うまく言っておいて下さいって」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・嘘・・・・・・・・・だったんだ・・・・・・・・・・・・・・・
しばらく何を考えていいのかわからずぼぉっとしてました。でも、段々と嬉しさがこみ上げてきました。
アザミもいない。お母さんも先生もいない。でも、ワタベさんが生きてた。戻ってきてくれた!
ワタベさんは私に聞きました。「ここから、出たい?」。私は何度も何度も頷きました。
わかった。近いうちになんとかする。そう言って、ワタベさんは帰ってしまいました。
すぐに帰ってしまってちょっと寂しかったけど、構わない。ワタベさんが戻ってきた。それに、外に出られるって?
嬉しい事が、二つも!


11/9 曇り

今日はワタベさんは来てくれなかったけど、全然寂しくなかった。
嬉しい気持ちでいっぱいだった。これでアザミがいてくれたらもっと嬉しいのにな。
アザミも早く戻ってきなよ。一緒に外に出られるよ。本当に何処に行っちゃったんだろう。
かくれんぼでもしてるのかと思ってベッドの下とかカーテンの裏とか部屋中探してみました。やっぱりいない。
見つからなかった。そう思った途端に、急に寂しくなりました。私一人外に出ちゃったら、アザミはどうなるの?
一緒にいようって約束したのに、私の方から裏切る事になる?でもいなくなったのはアザミが先だから・・・
どうしよう。


11/10 曇り

ワタベさんが来てくれました。少しお話をしました。
「サキさんは、外に出れたら何をしたい?」と聞いてきました。
アザミを探したい。そう答えました。アザミはここにはいないから外にいるのかも。そう思ったから。
ワタベさんは「ああ、あのに・・・・・」言いかけて止めてしまいました。「あなたの、お友達ね。」
そうです。あれ?ワタベさん、アザミ見たことあったっけ?
見たこと無いけど、知ってる。でも私もアザミが何処に行ったのかは知らないの。
ワタベさんも知らない。やっぱり外にいるのかな。早く戻っておいでよアザミ。外にでるなら一緒の方がいいから。
約束したのにな。


11/11 曇り

お母さんが来た!私は先生の話を思い出して毛布にくるまって震えてました。
お母さん・・・また私を殺そうとするんじゃ・・・お腹の傷がズキズキする。先生言ってた。お母さんが刺したって。
コワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイ殺される殺される殺される殺される殺される殺される
毛布越しにお母さんの手が私の身体に触れて叫ぶのをこらえて毛布を固く握ってもう一回背中に手が触れて
殺されると思って我慢できなくなって絶叫して毛布を投げ飛ばしてベッドから転げ落ちてドアまで走って
途中で転んで膝