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 序章

<腐食編>

第1章 「深淵の蟲」
 第1週 跫音
 第2週 浸食
 第3週 激化
 第4週 天誅

第2章 「孤城の華」
 第5週 遺産
 第6週 歪曲
 第7週 崩壊
 第8週 散花

第3章 「背徳の咎」

 第9週 浮遊
 第10週 煮沸
 第11週 逆転
 第12週 断罪

第4章 「絶望の時」
 第13週 白紙
 第14週 泥濘
 第15週 絶望
 第16週 引導

<虚像編>

第5章 「電脳の渦」
 第17週 輪廻
 第18週 接近
 第19週 衝撃
 第20週 凶行

第6章 「悠久の闇」
 第21週 波紋
 第22週 追跡
 第23週 煽動
 第24週 漆黒

第7章 「虚空の塔」
 第25週 降臨
 第26週 劫火
 第27週 混沌
 第28週 淘汰

第8章 「希望の光」
 第29週 決戦
 第30週 呪縛
 第31週 絶叫
 第32週 昇天














第16週  「引導」

2月22日(月) 晴れ

早紀の病室に行きました。僕がこんなに絶望してるのに何も知らない早紀。
早紀の中では奥田はイイ奴のままなんだろうな。かわいそうな早紀。騙されてるのに気づかないなんて。
そっと早紀の手を握ると何故かボロボロ涙がこぼれてきました。どうして僕は泣いてるんだろう?
早紀を奥田に奪われたから?奥田に負けたから?悔しいから?早紀が、僕を愛してくれてないから?
そんなことない!早紀は絶対僕のことが好きなはずだ。奥田よりもずっと僕の方がいいと思ってるはずだ。
そう思ってる所に、病室に医者が入ってきました。
僕に、というより早紀の身内に話があるとのことでした。話を聞いた僕は何とも言えない気持ちになりました。
・・・・・・・早紀が、もうじき目覚める。
話によると、徐々に回復の兆しが見えてきてもう1週間もすれば目を覚ますだろう、とのことでした。
僕はどうすればいいんだろう。


2月23日(火) 曇り

インターネットで睡眠薬を販売しているページを見つけました。早速申し込んでおきました。
睡眠薬を大量に飲めば苦しまずに死ねます。死ぬことは怖くありません。この世に未練はないし、それに・・・・
早紀は起きたら僕のことを好きだと言ってくれるかな?言ってくれるよね。絶対に。
確かめたくはない。もしかしたら言ってくれないかもしれない。奥田の毒がまだ残ってるかもしれない。
今のままなら確かめる必要もない。眠ったままなら、確実に僕のことを好きでいてくれる。そう信じていられる。
早紀。一緒に何処かへ行こうって約束したよね。他の誰もいない何処かへ。二人だけの世界へ。
怖がることなんかないよ。早紀は何もしなくていいんだから。旅の準備は全部僕がするから。だからね、早紀。
一緒に、逝こう。


2月24日(水) 雨

奥田に関って以来、僕はとても嫌な思いをしてきました。でもそれも終わりです。
これ以上不愉快な気分になることはありません。みんなとは違う世界に行くから。
もう誰にも関わらないで済みます。結局、僕に残されたのは早紀だけでした。
それでも構わない。他には何もいらない。早紀がいれば充分。
1月3日だったかな?あの日に僕は誓った。「早紀はもう離さない」と。
最期まで、離さない。


2月25日(木) 天気なんか知らない

今日睡眠薬が家に届きました僕は家に居たので直接受け取りましただから親にはバレてません今更親にバレ
てもどうでもいいんだけどなんとなく隠してしまいました睡眠薬は今手元にありますこれを早紀と一緒に飲めば
二人は旅立てるなんて素晴らしいんでしょう僕一人なら地獄に落ちてしまうかもしれないでも早紀は絶対に天
国に行けるはずだから一緒に行く僕も天国へ行けるはずです僕は今とても幸せを感じてますどれだけ絶望し
ても諦められない夢それは世界で早紀と二人だけになることそれがかなうんだから僕の面白くもない人生も最
期の最期で少しはマシになったのかなそれとも今までが酷すぎたのかな僕にはどっちかわからないそんなこと
どうでもいいや後少しで夢がかなうんだからこんなつまんない世界とはもうお別れだから早紀と二人きりになれ
るんだからここは本当につまんない世界だったなあ奥田にはいじめられるし荒木さんにもいじめられるし渡部さ
んにもいじめられるし復讐してやったと思ったら早紀の元恋人が奥田だったし知らないままならこんなに絶望し
ないで済んだのかな許せないって言ってみたって奥田はとっくに死んでるんだからどうすることもできないしでも
やっぱり許せない畜生僕より先に手を出してたなんて考えたくもない早紀の体は汚されちゃってたんだ清めな
いと汚れを落としてあげないと奴の毒を抜いてあげないと天国に行けば早紀は汚れた肉体を捨てられる綺麗
な魂だけになれる僕が連れてってあげるよ僕も一緒に行くから僕が導いてあげるよ素敵な世界へ


2月26日(金) 眩しいくらいに晴れ

今から逝ってきます。だから僕の日記もこれで終わりです。
さようなら。


2月27日(土) 雨

僕は死にました。早紀も死にました。あれ?じゃあこの日記を書いてる僕は誰?
日記を読み返してみなきゃ。ええと・・・・薬を手に入れて・・・・・・これから飲もうって・・・・・・・・・それから・・・
・・・・二人で逝こうって無理矢理大量の薬を押し込んで・・・・・・・・僕もとてもたくさん薬を飲んで・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・怖くなって吐き出したんだ。
そうだそうだ。そうだった。怖くなって薬を全部吐き出しちゃったんだ。
でも早紀はそのまま死んじゃったんだ。ごめんね早紀。ごめんねごめんねごめんねごめんねごめんね。
早紀、僕を許して。やっぱり死ぬのはイヤなんだよ。一緒に逝けない。逝きたくない。
死にたくない。どんなにつまんなくても、どんなに酷い人生でも、どんなに惨めでも、やっぱり生きていたい。
生きる。生きなきゃ。僕が生きなくてどうする。なんだろうこの感じ。とてもとても強い義務感を感じる。
他に何も考えられない。どんな不自然な事も、狂ったことも、全て受け入れてでも僕は生きなきゃいけない。
生きなければ。


2月28日(日) 今日も雨

壊れた現実はもう元には戻りません。
何かがおかしい。そう思ったって引き返す事なんてできない。
全てを失った僕にはどうすることもできないんだから。だから、生き続ける。
狂い続ける。

- 第4章 絶望の時 -  完
腐蝕編 終了・・・・・・・・・・・・虚像編へ



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