×

[PR]この広告は3ヶ月以上更新がないため表示されています。
ホームページを更新後24時間以内に表示されなくなります。


 序章

<腐食編>

第1章 「深淵の蟲」
 第1週 跫音
 第2週 浸食
 第3週 激化
 第4週 天誅

第2章 「孤城の華」
 第5週 遺産
 第6週 歪曲
 第7週 崩壊
 第8週 散花

第3章 「背徳の咎」

 第9週 浮遊
 第10週 煮沸
 第11週 逆転
 第12週 断罪

第4章 「絶望の時」
 第13週 白紙
 第14週 泥濘
 第15週 絶望
 第16週 引導

<虚像編>

第5章 「電脳の渦」
 第17週 輪廻
 第18週 接近
 第19週 衝撃
 第20週 凶行

第6章 「悠久の闇」
 第21週 波紋
 第22週 追跡
 第23週 煽動
 第24週 漆黒

第7章 「虚空の塔」
 第25週 降臨
 第26週 劫火
 第27週 混沌
 第28週 淘汰

第8章 「希望の光」
 第29週 決戦
 第30週 呪縛
 第31週 絶叫
 第32週 昇天














第24週 「漆黒」

4月19日(月) 雨

新たにメールのアカウントを2つ取得しました。一つは「王蟲」用で、もう一つは「紅天女」用です。
「カイザー・ソゼ」宛てにメールを送りました。まずは「紅天女」から。
「せっかくなんだから来ようよ〜。用事なんかサボっちゃえ!」など甘えた内容を書いて送りました。
次の「王蟲」のメールでは「来た方がいいよ。イイ思いできるのに・・・・・・。こんなチャンスめったにないよ。」
イイ思いが具体的にどんなモノなのかは詳しく書かず、ほのめかすだけにしておきました。
「滅望の世界」掲示板でも他のメンバーの発言を欠かさない。まだまだ煽るぞ。
相変わらず「希望の世界」でも当たり障りのない発言を続けてます。
・・・・・・「カイザー・ソゼ」。実は「希望の世界」の誰かってオチはないよな?
リモートホストをチェックしてた時は一致した人はいなかった。でも、可能性は捨てきれない。
全てを疑わないと。


4月20日(火) 晴れ

両方とも返事が返ってきました。すぐに返事をくれるのは都合がいい。こいつ意外とマジメなのかもしれない。
「紅天女」の返事には「いや〜なんとかなるかもしれないけど、やっぱ無理っぽいかな。」と言ってます。
「王蟲」の方では「何?イイ思いできるって?どんなこと?」と、見事に食らいついてきました。
またメールを送ります。「王蟲」は「男なら、来るべきだね。一つ教えてあげよう。クラッシュ・Bって実は、女。」
「紅天女」は「いっつも小さな部屋みたいなとこ貸し切ってオフ会してるんだけどさ〜。お酒飲んだりして
ワケわかんなくなっちゃったりするのも面白いよ。クラッシュ・Bの秘密とか、教えてあげちゃおっかな〜。」
等々書いて送りました。・・・・・・もう明日のメールで勝負しよう。あまり時間をかけるわけにはいかない。
今週の土曜日には、絶対間に合う。間に合わせる。この際多少強引でも構わない。
行くしかない。


4月21日(水) 曇り

返事のメールはまだ来てません。ここで一気に畳みかける。

「紅天女」から送るメール。
「今日もメールしちゃいま〜す。オフ会やっぱり無理かな?楽しいのにな・・・・・。
 私とかクラッシュ・Bとかね、お酒飲むと大胆になっちゃうんだよ〜。
 カイザー・ソゼってどんな人なのか興味あるな〜。お酒は入った私、何するかワカンナイかも。
 オフ会やると毎回同じ事繰り返しちゃうんだよね。好きでやってることだから構わないけど。
 結構その気になっちゃり・・・・・・・・。これ以上は秘密!知りたかったら来てね!」

「王蟲」からのメールはこうです。
「イイ思い、知りたい?知りたい?仕方ないな。教えてあげよう。
 ハッキリ言うよ。紅天女とクラッシュ・Bはヤリマン。わかるだろ?ヤレるんだよ。マジで。
 SEXマシーンって居るじゃん。あいつ最初は違う名前だったんだよ。でも最初のオフ会以降ああなった。
 俺もあいつもびっくりしたんだよ。あんな簡単にヤラしてくれるとは思わなかったからな。
 もうオフ会のたびに乱交状態ってわけ。あの二人、単なるH好きだな。相手は誰でもいいんだよ。
 だからカイザー・ソゼも呼ぼうとしてるんだよ。いい加減俺達にも飽きたのかな?(笑)
 まぁそういうことだ。ヤリたきゃ来なよ。ただこれだけは言っておく。来れば、100%ヤレる。」

これは最後の賭です。もしカイザー・ソゼが女だったら何の効果もありません。
それに、疑われたらそれまで。もう打つ手はないです。土曜日まで日がない。これで決まらなきゃ終わりだ!
頼む!来ると言ってくれ!


4月22日(木) 晴れ

今日のメールチェックには本当に緊張しました。返事は、イエスか?ノーか?それとも・・・・・・・。

「カイザー・ソゼ」から「紅天女」へのメールです。
「また秘密?なんか気になるな。確かめる必要あるかも。
 そんなに誘われちゃ断ると男が廃る!と言うことで、やっぱオフ会行くことにしたよ。
 何気に緊張なんかしちゃったりして。まぁなんとかなるな。じゃ、オフ会で会おうぜ!」

「王蟲」へのメール。
「マジで?マジで?こりゃ行くしかないっしょ。ホラ、やっぱ俺も男だし。
 やべ、なんかもう立ってきた。(笑)土曜の用事なんかよりこっちの方が遙かに大事だわ。
 そう簡単にH出来るチャンスなんか転がってないしな。逃すわけにはいかねーよ。
 期待してるぜ。じゃ、オフ会で会おうな!」

・・・・・・・・・・・・・・・・捕らえた!ついに、ヤツと直接対峙することになった!良し良し良し良し。
掲示板の方でも「やっぱ行く。」と宣言してる。ふう。二日前か、ギリギリだったな。危ない危ない。
さて、何処で会おうか?・・・・・・やっぱり、杉崎先生と待ち合わせたあの場所でいいだろう。
そういやこの前行ったとき、裏通りの方に行くと人が全然いなかったな。これは使えるかも。
待ち合わせ時間と場所を指定してメールで送りました。処刑人。来るのを楽しみにしてるよ。
待ってるからな。


4月23日(金) 滝のような雨

ヤツから「王蟲」にメールがありました。明日の服装とか書いてありました。
「みんなにも伝えとく。うまく見つけるよ。じゃ、明日会おうな!!」と書いて送り返しました。
ついに来た「処刑人」との対面。僕は以前「トオル」を殺すために用意したナイフを取り出しました。
刃が冷たいです。


4月24日(土) 闇の中に雨が降り続けてる

今日の日記は長くなりそうです。これを書いてる今も震えが止まりません。

今日は待ちに待った奴との対面でした。ナイフをポケットにしまい込み、家を出ました。
行く途中、ずっと「カイザー・ソゼ」はどんな奴なのか考えてました。
大学生か、社会人か、それとも高校生か。意外に「ヤリたい」とか言っといて女だったり。
「希望の世界」の住人の可能性もあるし、僕の知ってる他の誰かかもしれない。
色々考えてるうちに、駅に着きました。そして、約束の場所へ。時間もぴったりでした。
僕は昨日のメール通りの服装をしてる人物を捜しました。老若男女問わず、全ての人をチェックしました。
そいつは、居ました。見事にメール通りの格好です。でもそいつは・・・・・・・・・・。
奴は、大学生でも、社会人でも、高校生でもありませんでした。勿論知ってる人でもありません。
あの容姿、はっきり言って・・・・・・・・・・ガキ。童顔と言えど高校生じゃ通用しない。アレは、中学生。中坊だ。
そいつと目が合いました。僕は視線を外さず近付いて行きました。奴もこっちを見てます。
なんと言うか、何も知らない純粋な笑みを浮かべて、期待のまなざしでこっちを見てるのが逆に痛々しい。
すぐにその笑顔が消える事になるとは知らずに・・・・・・・・・。
僕の方から話しかけました。「カイザー・ソゼさん?」そいつはまだ笑顔のまま「はい!僕です!」と答えました。
「王蟲です。」と僕は言いました。カイザー・ソゼはちょっとびっくりした様な顔をして「へぇ。」と言いました。
さらに続けて「あなたが王蟲さんなんですか。僕はてっきりく」僕はナイフを突きつけました。
雨が降ってて良かった。他の人には見えないように傘で隠せる。
カイザー・ソゼは最初呆気にとられてましたが、ナイフを見て「ひゃあ」と小さく叫びました。
「刺すワケじゃない。おとなしくついて来ればいい。」と耳元に囁きました。ソゼは震えながら頷いてました。
そう、この為にナイフが必要だったんです。殺すつもりなんて一切ありません。話を聞きたいだけです。
僕には力がない。だから相手をおとなしくさせるには武器が必要でした。

裏通りの方に連れていくと幸い人気はありませんでした。ここがダメなら他で、と考えててたけど杞憂でした。
「ど、ど、ど、どうするつもりなんですか?」と怯えた目をしながら聞いてきます。僕は言ってやりました。
「お前、『処刑人』だろ?人、殺しただろ?」
ソゼはさらに顔を強ばらせて「な、何で知ってるんですか!?あ、いや、どうしてそれを!?」と言ってます。
「どうして知ったかは話が長くなる。問題は、僕が『依頼人』だって事。」
もう泣きそうな顔で訴えてます。「あなたが・・・・依頼人・・・?だって、王蟲さんじゃないんですか?」
「そうだよ。依頼人だけじゃない。王蟲も、SEXマシーンも、紅天女も、クラッシュ・Bも、みんな、僕だ。」
ソゼは既に半泣き状態です。「そんな・・・・・。じゃ、僕、なんで?あ、僕が処刑人だから・・・あ、でも・・・・!」
「処刑人。お前、どうして殺したんだ?確かに依頼したのは僕だ。でも本当に殺すのは犯罪だろ?」
もう完全に泣いてしまってる小さな処刑人。「え!?あの人、死んじゃったんですか!?そんな、だって・・・!」
「何言ってるんだ!お前がやったんだろ!?どうやって殺したんだ。答えろ!」
顔をぐしゃぐしゃにして答えてました。「僕、僕、殺してないです!僕は処刑人だけど、殺してないです!」
わけがわからない。「処刑人なんだろ!?なんで殺してないなんて言えるんだよ!?」
「だから、僕、『処刑人』て名前で掲示板に書き込んだだけなんです!嘘の発言なんです!なのに・・・・・!」
何かがガラガラと音を立てて崩れていきます。こいつじゃなかった。杉崎先生を殺したのはこいつじゃない!
また1からやり直しだ!しかも今度は、何の手がかりもない!ああ、僕のやってきたことは、無駄だったのか?
僕が途方に暮れてると、ソゼがおどおどしながら話しかけてきました。
「あの・・・・・・・あの人、やっぱり『タケシ』さんなんですか?」
ちょっと待て。何がどうなってるんだ!?なんでソゼが「タケシ」さんを知ってるんだ!?
「お前!!『希望の世界』を知ってるのか!?どうなんだ!?」
「え?あ、あの、NSCで・・・・・あ、僕、てっきり王蟲さんも知ってるのかと・・・・・・・・。ごめんなさい!!」
「何だよ。NSCって何だよ!『希望の世界』が関係あるのか!?『滅望の世界』も関係してるのか!?」
「あ、だから、関係って言うかその、・・・・・・・・・・・・あの・・・・・・・・・・・・・・・もしかして、あなたがsakkyさん?」
完全に、パニック状態です。僕にはもうわけがわからない。考えれば考えるほどわからなくなる。
そうさ。僕がsakkyだ。sakkyだよ。悪かったな!僕がsakkyで!ああああああああああああああああああああ!!
ちくしょう!!カイザー・ソゼ!!僕がお前を罠にはめたはずなのに、僕の方がやられてるみたいだ!!
僕はこの時、完全に自分を見失ってました。何故か、カイザー・ソゼにナイフを向けてました。
・・・・・・・・・・・・・・・・これがいけなかった。ソゼはナイフを構えた僕を見て・・・・・・・・・・・・・・・・・逃げました。
「ごめんなさい!ごめんなさい!」と泣き叫びながら、雨の中に消えていきました。
僕にはもう後を追う気力は残ってませんでした。なにもかもが嫌になった。
降りしきる雨の中、僕も傘をささずに家路につきました。

結局、何も分からなかった。杉崎先生を殺したのは誰なのか。NSCって何なのか。
今思うとカイザー・ソゼを逃がしたのは大きな失敗だった。でも、今同じ状況になっても・・・追う気力はないな。
窓の外に広がる闇。まるで今の僕の心を写してる見たいです。真っ暗で、先が見えなくて。
この闇は、何処まで続いてるんだろう。


4月25日(日) 薄暗い曇り

僕は全く無駄なことをしてきたんでしょうか。早紀に誓って生きる決意をして以来、何かが変わった気がします。
世界が壊れてしまったのか、僕が壊れてしまったのか、それとも全てが壊れてしまったのか。
「ねぇ。」何も見えない闇に向かって小さく叫びました。「僕は、生きてて大丈夫?」

誰も答えてくれませんでした。


- 第6章 悠久の闇-  完
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第7章へ。




戻る次へ