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 序章

<腐食編>

第1章 「深淵の蟲」
 第1週 跫音
 第2週 浸食
 第3週 激化
 第4週 天誅

第2章 「孤城の華」
 第5週 遺産
 第6週 歪曲
 第7週 崩壊
 第8週 散花

第3章 「背徳の咎」

 第9週 浮遊
 第10週 煮沸
 第11週 逆転
 第12週 断罪

第4章 「絶望の時」
 第13週 白紙
 第14週 泥濘
 第15週 絶望
 第16週 引導

<虚像編>

第5章 「電脳の渦」
 第17週 輪廻
 第18週 接近
 第19週 衝撃
 第20週 凶行

第6章 「悠久の闇」
 第21週 波紋
 第22週 追跡
 第23週 煽動
 第24週 漆黒

第7章 「虚空の塔」
 第25週 降臨
 第26週 劫火
 第27週 混沌
 第28週 淘汰

第8章 「希望の光」
 第29週 決戦
 第30週 呪縛
 第31週 絶叫
 第32週 昇天














第27週 「混沌」

5月10日(月) 曇り

「NSCS」を更新するのも憂鬱でした。でもやるしかないんだよな・・・・・・。sakkyを全面に出して闘う・・・・・か。
一応それらしく作ってみました。こんなんでまともに闘えるわけないじゃないか、と思いながらアップしました。
ネットに接続したとたん、ICQのメッセージが来てる事を知らせる独特の音が鳴りました。
言葉にすると「ハッホー」と言ってる様に聞こえるこの音、不愉快です。僕はこの妙な音が好きじゃない。
メッセージを開いてみると、「えんどうまめ」さんからでした。「sakky、王蟲はsakkyだったの!?」と・・・・。
ふと力が抜けてしまいました。この人は、「えんどうまめ」さんはNSCも知ってたのか。両方見てたのか。
なんで今までNSCを教えてくれなかったんだよ、と抗議しようとした時、もう一つのメッセージに気づきました。
今度のは「TOMO」さんからです。「sakky、王蟲はsakkyだったの!?」って・・・・・・「TOMO」さんまで!?
何か、嫌な予感がします。今日は二人ともまだネットに繋いでない。思わず僕はネットを切断してしまいました。
本能的に、と言えるほど素早くネットを切ってしまった。何だろうこの感じ。頭が混乱してきます。
考えれば考えるほど泥沼にはまっていってしまう気がします。少し頭を休めなきゃ駄目だ。もう考えるな。
・・・・・嫌なイメージが頭から離れない。


5月11日(火) 雨

本当はネットに接続したくありませんでした。繋げると、何かとても重いモノがのしかかってくる気がします。
だからと言って、やめるわけにはいかない。「希望の世界」へ行くためにはネットに繋がなければダメだから。
そんなこと考えながら今日もまた、ネットを始めました。そして、「ハッホー」の音。やっぱり来た。
今日は二人ともネットに繋いでる。このメッセージは・・・・・・・「えんどうまめ」さんの方です。
「sakky、NSCS作ってるのsakkyなんでしょ?王蟲って名前で書き込んでるけど本当はsakkyなんでしょ?」
もう一つ「TOMO」さんからのメッセージ。今読んだ内容と全く同じ。既に気分は悪くなってきてます。
「・・・・・うん。そうなの。黙っててごめんね。NSC・・・・許せなかったから。」と両方に返しておきました。
返事はすぐに来ました。「わー!!やっぱり本当だったんだ!sakkyは王蟲だったんだ!そうだったのか!」
なんか・・・・喜んでるように見える。何か返事を書こうとしたら、「TOMO」さんから返事が来ました。
「sakky!僕だよダチュラだよ!見てくれてたんだ!嬉しい!僕らは二つの世界で繋がってたんだね!」
間髪入れずに「えんどうまめ」さんからメッセージが来ました。
「僕、本名は遠藤智久って言います!なんか不思議な縁だね!僕たちきっと心も繋がってるんだよ!」
不思議な縁、じゃないだろ。僕は何故かそんなことを考えてしまいました。何か重要過ぎる課題が有るとき、
無性に目の前の小さい事が気になってしまう。これはやっぱり逃げ、なのかな。現実逃避ってやつだろうな。
こいつは意図的にNSCと「希望の世界」を使い分けて楽しんでやがる。いや、そんな事はどうでもいいんだ。
本当はどうでも良くないけど、今日はもう寝よう。ネット初めて30分もたってないけど寝よう。眠くないけど寝よう。
寝てしまおう。


5月12日(水) 晴れ

「昨日はどうしちゃったのー?突然居なくなって心配したよぉ。もしかしてサーバー調子悪かった?」
ネットを繋げてすぐ来たメッセージがこれです。今日もまた、ネットをやってる。こうしないと1日が終われない。
どんな酷いことになっても、僕はネットをやめる事なんてない気がする。ネット中毒。この言葉ぴったりです。
「うん。そうなの。サーバーの調子が悪くって落ちちゃった。ごめんね。」と返事をしました。
さっきのメッセージ、「えんどうまめ」さんと「TOMO」さんのどっちだったかな?・・・・・・・・どっちでも同じか。
数秒後には新しいメッセージが来ました。慣れてるなこいつ。
「sakkyは謝んなくていいんだよ~。僕は全然平気だから。悪いのはサーバーだよ!サーバーって時々
 むかつく程調子悪い時あるもんね。僕なんかそんな時マシン叩いちゃうんだぁ。バシバシバシバシって。
 そうすると治るんだよ。知ってた?ってなんでやねん!そりゃテレビだっちゅ~の!なーんて独りボケして」
このメッセージは「えんどうまめ」さんからか。読み終わると同時に「TOMO」さんからもメッセージが来ました。
「みたんだけど面白い?面白い?今のネタはねぇ、本日初公開なんだよ。パックっちゃダメだよ!著作権は
 僕にあるからさ。とか言いつつ僕もMP3とかやって著作権違法してるんでしょ?きゃー!ダメじゃーん!
 TOMOちゃんしょーっく!あ、これ面白いかも。sakky、これ流行らせようか!せーの、sakkyちゃんしょー」
残念。今日もサーバーの調子が悪いや。これ以上無理だ。見てて恥ずかしくなってくる。今日はもう終わり。
また明日ね。


5月13日(木) 晴れ

今日もまたペラペラ何か喋ってる。無視して少し質問してみました。
「ねぇ、初歩的な質問なんだけど・・・・・1つのマシンにICQを二つ入れる事できるの?」
普通はできないはず。遠藤智久はどうやって「えんどうまめ」さんと「TOMO」さんの二人を演じてるんだろう?
「えっとね、それはね、マシンを二つ持ってるからでしたー!まめっちは歴史あるキュッパチちゃんの方で、
 TOMOちゃんはバイオちゃんの方使ってるんだよ。こっちはノートでPHSでネットに接続してるんだぁ!
 凄い?凄い?マシン二つも買う金よく持ってるなーなんて思っちゃった?大丈夫なのさー。僕お金モチだ」
この後も延々と話は続いてました。ふーん、と軽く声を出してみました。二つパソコン持ってたのか。
まぁもうどうでもいいことかな。本当に。ここ数日で、僕はもう決めてしまったから。
「えんどうまめ」さんと「TOMO」さんが同一人物だと知った時、ショックを通り越して達観してしまいました。
NSCと闘う気力が完全に萎えてしまいました。こんな奴が、遠藤智久みたいな奴がいるから、NSCは・・・・。
「TOMO」さん、「えんどうまめ」さん、信じてたのに。こんな裏切り方酷いよ。酷すぎるよ。NSC、酷すぎる。
あいつらを相手にするのに僕は非力すぎる。狂った奴等とまともにやりあおうなんて事自体が無茶だったんだ。
・・・・・・・・逃げよう。「紅天女」のアカウントについてきたHPの容量があったはずだ。そこへ「希望の世界」を。
「渚」さんと「三木」君にだけ教えてあげて、新しいところで新しい仲間を見つけよう。決めた。そうしよう。
遠藤智久はまだ何か言ってる。「僕はもうsakkyに萌え萌えだよー。sakkyの為なら死ねるよ。」・・・勝手にしろ。
「死ぬるぅ~死ぬるぅ~」と「えんどうまめ」さんの方から。「萌え~萌え~」と「TOMO」さんの方から。
同じメッセージが何回も送られてきます。ハッホー、ハッホー、と狂ったように響いてる。壊れた音楽みたいだ。
「死ぬるぅ~死ぬるぅ~」「萌え~萌え~」「死ぬるぅ~死ぬるぅ~」「萌え~萌え~」「死ぬるぅ~死ぬるぅ~」
狂ってる。


5月14日(金) 曇り

「ね、ね、sakky、今度一緒に遊ぼうよ。会って色々お話とか楽しい事とかしたいな。いいでしょ?いいでしょ?」
うるさい。僕はもう新天地でやり直す事にしたんだ。お前なんか関係有るか。気持ち悪いんだよ。誰が会うか。
「ごめん・・・・・。私やっぱオフ会とか不安でヤなの・・・・・・・・。」と返しておきました。
凄い勢いで返事が返ってきました。連続してハッホー、ハッホー、と音が鳴ります。
「嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だsakky不安だなんて嘘だ、、、タケシとは会えて何で僕には会えないんだよ!」
「僕知ってるんだよsakkyがタケシと会った事そうだこの時タケシに何かされたんでしょsakky大丈夫だった?」
何で、僕は思わず声に出してしまいました。何でこいつは僕とタケシさんが会った事を知ってるんだ。
そんなことNSCでも書いてなかったじゃないか。「何でその事を知ってるの!?」と聞いてしまいました。
「それはねまめっちはタケシと親友だからだよ。タケシ教えてくれたモン。sakkyと二人で会うんだって。そしたら
 sakkyもTOMOちゃんに男にアプローチ受けてるって相談したでしょ僕覚えてるよ3月16日の事だよ。
 僕すぐにわかったよその男がタケシの事だって。だってsakkyとタケシの二人同時に相談受けてたからね。」
何て事。こんな所で「えんどうまめ」さんと「TOMO」さんが同一人物だった事が響いてくるなんて。
何かメッセージを書こうとしたとき、またハッホー、と音が鳴りました。
「で、で、タケシに何かされたでしょ?殺したくなるほど酷いことされたんでしょ?あいつ許せなかったでしょ?
 だから殺人依頼したんでしょ?タケシの事憎かったでしょ?分かるよ僕も。僕もあいつ嫌い。嫌いだよぉ。
 sakkyがタケシを殺してって頼んでるの見つけて喜んじゃったモン。sakkyも嫌いなんだ!やったー!って。」
「なんで依頼人が私だってわかったの!?」口に出すより早く僕はメッセージを書いてました。
「あははははははは何言ってるんだよsakky。リモホがsakkyのやつだったじゃないかIP出てたよわざとでしょ?
 気づいて欲しかったんでしょ?僕sakkyの心の声が聞こえたよタケシを殺してくれってだから殺さなきゃって。
 僕すぐに実行したよ殺してあげたよsakkyの為に。あ、でも処刑人は僕じゃないよあれ誰かのイタズラだよ。」
リモートホスト。そうだ。僕がカイザー・ソゼを追いつめたのと同じじゃないか。あの時ソゼは串を知らなかった。
そして、僕も。とうとうタケシさんを殺した犯人を見つけたのに。逆に僕が窮地に立たされてる。あああああああ
「sakkyどうしたの返事してくれよ返事してよ返事しろよ聞いてるの聞いてるんでしょ聞こえてるんだろ返事しろ」
返事できない。逃げるなんて甘い考えだった。こいつから逃げることできるのか?いや、逃げていいのか?
息が苦しい。


5月15日(土) 雨

「希望の世界」で、奴が本性を現しました。でもそれは僕にはどうすることもできません。
「えんどうまめ」さんが「sakky!タケシを殺してくれって依頼したの、sakkyだったんだって!?」と言ってる。
「TOMO」さんも「殺人依頼掲示板はsakkyが作ったのね!何でそんな事したのよ!信じてたのに!」と。
ICQでは「僕悪くないよねsakkyが殺してって言ったんだからタケシを殺したのはsakkyだよね」とほざいてます。
ここで僕が「えんどうまめ」さんと「TOMO」さんは同一人物だ、と告発したところで誰も信じてくれない。
第一、殺人依頼掲示板を作り、タケシさんを殺してくれと頼んだのは本当に僕なんだから反論できません。
「渚」さんは「sakkyがそんな事するわけないよ!そうでしょsakky、私は信じてるよ!」と言ってくれてる。
「三木」君は「sakkyさん本人のコメントがないと僕には何とも・・・・・・。」と言ってます。何て言えばいいんだ。
ここで嘘を付いても遠藤智久によって論破されるだけです。どうしようどうしようどうしようどうしようどうしよう。
・・・・・・・僕は、自分の手で、「希望の世界」を荒らしてしまいました。みんなの発言を流してしまいました。
こんなつもりじゃなかったのに・・・・。


5月16日(日) 曇り

僕は今、混沌の中にいます。狂ってるNSC。荒んでしまった「NSCS」。壊れてゆく「希望の世界」。
NSCでは昨日の事について話題になってました。「sakkyが依頼人だったんだってよ!!」こんなのばかり。
そして、「ダチュラ」が「昨日の荒らしはたぶん返事に困ったsakkyが自分でやったんだ!」と言ってます。
「ロロ・トマシ」が「sakkyの自作自演の歴史」と題して今まで僕が騙ってきた人物の名前を紹介してました。
「sakky」「依頼人」「王蟲」「紅天女」「クラッシュ・B」「SEXマシーン」・・・・・・これは僕の、恥の歴史です。
ICQでは「渚」さんや「三木」君からもメッセージが来てます。殺人依頼掲示板についての問い合わせです。
この二人には「私そんな事してないよ!安心して!」と答えてしまいました。奴からもメッセージが来てます。
「ねぇねぇsakky全然返事くれにゃいねぇどうしたの僕寂しいよぉ。今度のオフ会の詳細決めなきゃいけないね
 何処がいいかな僕はすぐに会いたい君に会いたくてしょうがないsakkyカワイイから萌え萌えだから大好きさ
 sakkyの声が聞きたいよsakkyの体が見たいよsakkyの全てが知りたいだから会おうよ会ってくれなきゃ殺す。」
「僕こんなに人を好きになったの初めてかもしれないsakky君は僕のお姫様だよ僕が白馬の王子様になって
 あげるから結婚しようね。タケシばっかにいい思いはさせないよそういえばアイツ死に際面白かったな電話
 なんかしてやんのでも死んだから意味ナシって感じsakkyもタケシみたいになりたくないでしょだから会おう。」
見てごらん早紀、これがストーカーだよ。ネットストーカーじゃない。本物のストーカーだ。
・・・・・・・・・・遠藤智久。お前さえいなくなればNSCから逃げられる。「希望の世界」を切り離せるんだ。
奴だけを切り離す事なんて、出来るのか?ストーカーを切り離す事なんて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・できるかもしれない。ストーカーだからこそ、うまくいくかもしれない。閃いた。大逆転の裏技を。
相手が正常な神経の持ち主ならまず引っかかってくれないだろう。でもあいつは、異常だ。いける。
ただ、これには幾つか条件をクリアしなければいけない。条件さえクリアできれば、やれるはず。
もうこれに賭けるしかない。



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